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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

和様の書 1

東京国立博物館「和様の書」展に二度足を運んだ。
内覧会と三日目と。
観客はやや年齢層の高い状況だった。

既に五島、出光と見て歩いたことで気持ちもそちらに向いている。
脳もいい具合に落ち着いている。
nec482.jpg 最初のチラシ。

第1章 書の鑑賞
「和様の書」というだけに手鑑以外は全て平安時代以降のものが揃っている。

鹿下絵和歌巻断簡 書:本阿弥光悦、画:俵屋宗達  ああ、やはり綺麗。鹿ップル。
絵と書の配置が絶妙。五島美術館の鹿たち。

虎林字号 徹翁義亨 南北朝時代 東京国立博物館  おお、古い方の「乕」の字。チカラギッシュでいいなあ。 東博で見たかどうか定かではない…

源氏物語和歌色紙貼交屛風 書:近衞信尹 陽明文庫  わたしが一番好きな書家はこの三藐院信尹。素敵だ、ほんとに。前に陽明文庫の名品展でも見ている気がする。
最近は大和和紀が自作に信尹を出演させているので、とても嬉しい。
金銀泥の優美な背景。右は白菊、左は雲。

8/6~8/25には「檜原図屛風」 書:近衞信尹、画:長谷川等伯 禅林寺という代物が出てくるので、そちらを見るのがまた楽しみ。等伯も大和和紀の作品に出てきている。

リストを見ると「萩に鹿図屛風 書:伊達政宗」が会期末に出るようだ。
それをみて「伊達家は笹に雀だったな」と紋所のことを思い出した。政宗の書といえば、秀吉相手に詭弁をまくし立てたとき、自分のサインには<・>と目を開けているとかなんとか言うて、丸め込んだことがあったはず。
平和な頃には文化的なこともいたします。
見たいが見れるかどうかは不明。

初音蒔絵調度のうち 眉作箱 幸阿弥長重作 1式のうち 寛永16年(1639)   つい先般、このシリーズの他のものも見ている。なんとなく鳥籠を思う。

書状(与一郎宛) 織田信長 天正5年(1577) 永青文庫  与一郎は細川忠興のことだとか。ちょっとピリリとしている字。

吉野懐紙(豊臣秀吉和歌懐紙) 文禄3年(1594)  これは祐筆が書いたものだったか。この年、秀吉は吉野で花見をし、信尹を薩摩に流し、太閤検地を行っている。

消息(おね宛) 豊臣秀吉 文禄2年(1593)  これは以前に見ている。下手な字ではあるが親しい感じがする。おしゃべりしているのを文章にしたような。淀殿に生まれた子の名前を「おひろい」にしたい、という内容。
そういえば、おひろいの兄の棄丸のために作られた立派な船のおもちゃ、あれは現在京博で開催中の「遊び」に展示されている。

消息(ちょほ宛) 徳川家康  千姫の侍女ちょほへの手紙。孫娘をどん底に突き落とした爺さんの、いろいろ気遣いのある手紙。侍女へもこうして書いたのだなと知る。

紀貫之、小野道風、藤原行成らの色紙がある。並び方がうまい。なにか音楽的なものを感じる。寸松庵色紙「あきはきの」、 継色紙「よしのかは」、升色紙「むはたまの」 。
料紙の美麗さと文字の配置。
そういえば「むはたまの」は「ぬばたま・の」の意味だと思うが、ぬとむとは転換可能だったのか。
こういうことを考えるのも楽しい。

あ、当然だが定家がいる。むむ。苦手なのは変わらない。
ところでシロートの勝手な独り言だが、蕪村の字もどこか定家を思わせる。しかし蕪村は好きだ。
こういう感覚はもしかすると、武者小路実篤は好きだが、相田みつおはイヤやというのと同じかもしれない。

色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿 尾形乾山 出光美術館   これはいい見せ方をしてくれた。皿の裏に書かれた和歌もわかるようにしてくれる。可愛い千鳥の絵もある。
乾山ファンの心をくすぐる。

着物や鏡「竹双雀葦手絵鏡」などの小物もある。つまり文字が文様になった状況。
葦手もあるが、文字そのものを文様として楽しめもする。
厚板 金紅片身替文字模様 奈良・金春座伝来
小袖 白綸子地斜縞文字模様
これで思い出したが、白土三平「カムイ」に出てくる浪人剣客が「不死身不死身不死身」と書いた着物を着ていた。それから石ノ森章太郎「さんだらぼっち」の主人公とんぼもまた「とんぼ とんぼ」と書いた着物を着ていた。
nec483-1.jpg

国宝として大事にされている手鑑が出ていた。
手鑑 藻塩草 1帖 奈良~室町時代 京都国立博物館
手鑑 翰墨城 1帖 奈良~室町時代 MOA美術館
それから8/13~8/25には「手鑑 見努世友」 奈良~室町時代 出光美術館 と、ほぼ同時期に「大手鑑 2帖 奈良~室町時代 陽明文庫」が出る。頁替ありなので全部を見るのは難しい。
このうち「藻塩草」と「見努世友」は去年の2月頃に出光美術館で見ている。
わたしの好きな奈良時代の書の断簡もあり、楽しい。
昔の大層熱心なコレクターのおかげで、これらが今の世にも残っている。
ありがたいことではある。

nec484.jpg

第2章 仮名の成立と三跡
ニガテな時代の書ではあるが、先に五島・出光で見たことが、理解を進ませてくれる。理解が進めば妥協(あるいは和解)も生まれ、親愛の情も起こってきもする。

藤原良相邸跡出土墨書土器 京都市埋蔵文化財研究所  かわらけのかけらに。
なんだろう、謎やなあ。

綾地歌切 伝藤原佐理 春敬記念書道文庫  五島美術館で見たのと同じコレクションの一。すごくときめく。それにしてもこの佐理というひとは、能書である以外はどうもコマッタちゃんだったぽい逸話が色々あるのだった。

世界遺産になるからか、人だかりしていたのがこちら。
御堂関白記 寛弘元年(1004)上巻、寛弘四年(1007)下巻 藤原道長 陽明文庫  これは京都で見ているが、やっぱり改めて眺めると、千年前の大貴族の生活や心情が伝わってきて面白くもある。

道風、佐理、行成らの書を堪能する。

後嵯峨院本白氏詩巻 藤原行成 正木美術館  おお、これはこれは。つい先日正木で見たばかり。覚えてる箇所を見る。酒飲みの自己弁護のような文章。字がしっかりしてるのが、却って開き直りにしか見えなかったり(笑)。

白氏詩巻 藤原行成 寛仁2年(1018) 東京国立博物館 nec485-1.jpg
白楽天(白居易)は日本で大人気だと思う。特に平安時代。ちょっといいのがあれば白氏詩巻。時代のブームだったのか。
こちらは今回、図録表紙にも使われている。全体としても綺麗な字の並びなのだが、それよりも個々の字にときめくものが多い。
塊ごとに書体を変えているのだが、共通して「夜」「月」「行」という字がすばらしく魅力的なのだった。


第3章 信仰と書

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平家納経 法師品第十 長寛2年(1164)嚴島神社  何度見ても美麗なのは変わらず、一つの時代が終焉を迎えるときに文化の頂点が来る、と言うのを実感する。
わたしは法師品をみたが、順次展示替え。

扇面法華経冊子 巻第一、平安時代 四天王寺  この実物を初めて見たのは四天王寺の国宝館だったか。書も肥痩のあるいいもので、その下に展開するくっきりした平安時代の絵画。
nec483.jpg
これなども仲良しな二人の図なのだが、女の様子を見ていると、とても親しい仲だと感じる。
そうそう、教科書などの画像で見ていたときはこれが扇面図だとばかり思っていて、冊子つまりほかにもページがあるのを、現物を目の当たりにして初めて知ったときは、ちょっとした感銘を受けたのだった。
絵はほかにも庶民の暮らしなどをえがいたものもある。

綺麗なお経がいくつも現れる。いずれも平安時代。
やはり末法思想の表れか、すがることで安寧を得て、それならいっそ綺麗にして盛り上がろう、ということなのか。
竹生島経 東京国立博物館  地にたんぽぽらしき花の絵がある。
浅草寺経 巻第一 浅草寺  キラキラーッッ
久能寺経 方便品第二、静岡・鉄舟寺   見返しが素晴らしい!

金峯山埋経 藤原道長 長徳4年(998)  2007年春に「藤原道長 金峯山埋経一千年記念」展があり、そのときにお経を埋めていた経筒などを見た。
その感想はこちら


阿字義 藤田美術館  にっこりした僧形の人と公家の人が並んで座って、胸に梵字を抱っこしている。ピカーッと光っているかのよう。いい音楽がついてそうな巻物。

目無経 鎌倉時代 東京国立博物館   虫食いがある。・・・というくらいの大きさで、これがちょっと目になってる人物もいてそう…

長くなりすぎるので、第一部はここまで。
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