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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

幸之助と伝統工芸 後期

汐留ミュージアムでの「幸之助と伝統工芸」展も後期になった。
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前期・中期と既に二期を楽しませてもらい、今度は最後の後期を堪能させて貰った。
伝統工芸と言うても何もかもが旧幕以前のものではなく、近代から幸之助の生きた現代までのリアルタイムの作品も多い。
その辺りの感性は、ほかの実業家仲間とは違う。
かれら美術や茶道具のコレクターは旧いものを尊び、偏愛する。
しかし幸之助はここにあるうち本当に旧いものは数えるほどで、あとはその当時の現代作家を支援した。
だからここにある作品の大半は、実際に幸之助に励まされ・叱咤されたこともある作家たちの手によるものなのだった。

三期通じて出たものでも特に好きなものも含めて、主に後期展示の作品について、少しばかり書く。

茶杓「千代の寿」裏千家14世無限斎宗室 戦後10年ほどの間に作られた茶杓。下削りは12世黒田正玄。千家十職のつながりというものを感じる。
共筒にある銘の「千代の寿」はうねるように書かれている。櫂先はやや太めであとはまっすぐ。恒久に平和な時代であることを願い、その思いをかみ締めるような作。
 
裏千家14世無限斎宗室好 一重切花入「末廣」 12世黒田正玄 こちらも同時代の作。竹を花入れにしたもの。景色が面白い。

裏千家15世鵬雲斎宗室好 菱篭花入 13世黒田正玄 1975~1984 一世代後の人々になる。持ち手はねじり。可愛い篭で、買い物にも使えそう。中には黒に金が鏤められた筒状の花入れがある。

萬暦赤絵枡水指 これは通期で、やはり見過ごせない。今回は龍のまつげを眺める。ペコちゃんのような目をした龍である。

同じく通期展示の、近藤悠三「梅染付壷」、清水卯一「藍青瓷鉢」はやはり素晴らしく好ましい。

亀甲花文経錦着尺 北村武資 1992年  古代の作のような趣がある。

紬織着物 七夕 志村ふくみ 1960年 すっきりした着物。女物なのか男物なのかもよくわからないのだが。
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型絵染字入四季文様屏風 芹沢ケイ介 1954年ころ パッとした青地に絵文字が並ぶ。琉球の紅型(着物)を思い起こさせるような屏風。
絵文字に使われているものも牧歌的。

刺繍訪問着 生々去来 福田喜重 1980年 花の波が打ち寄せるような構図。貝も散る。菅繍(スガヌイ)という技法。細かい技術。
この全体のうねりを見ていると、王朝継紙を思い出す。美麗な料紙のようだ。

綴帯 薫風 細見華岳 2000年 グラデーションがみごと。ああ、13年前なのか。

ほかにもモダンな着物があり、とてもかっこいい。2010年のものもある。

螺鈿中次 黒田辰秋 1960年頃 綺麗!!これは本当に綺麗で、どきどきした。
図録は箱入りという代物だが、その箱の表紙に選ばれている。
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流水文朧銀扁壷 鹿島一谷 1979年 三期通じてやはりこれが一番綺麗だと思う。
ただし惜しいことに図録になると平面の輝きしか捉えきれず、魅力が半減する。
こればかりは実際に見ないとその美に打たれない。

春日杉木画色紙箱 中川清司 1982年 ・・・マーブル文様というかたらしこみというか、木がこうなるのか。「ウルトラQ」オープニングのようだ。

童女牧神 鹿児島寿蔵 1980年 ああ、いかにも鹿児島風な可愛らしい人形。小さくてとても愛らしい。小ツノを持つところが牧神。天平風の装束の童女はホーン(大角笛)を抱える。

嘉納 堀柳女 1981年 ふっくら豊かな、しかしどこか権高な女の人形。

金彩色まり香盒 江里佐代子 2003年 本当に綺麗なだけに彼女の早すぎる死を今更ながらに惜しむ。

截金あみ文茶入 斎田梅亭 1981年 これまたすごい細かい仕事である。

日本の伝統工芸は活きている。
しかしこうした松下幸之助のような有徳人の支援者がいないと苦しいのは確かである。
この展覧会を機に、なんとか今世紀も次の世も日本の伝統工芸が活き続けてほしいと思う。
8/25まで。

なお、三期を鑑賞し、さらにクイズラリーに参加して正解を得たことから、ご褒美として今回の図録をいただいた。とてもうれしい。ありがとう、汐留ミュージアム。
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