FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

北魏 石造仏教彫刻の展開

本日三本めの感想文。ぶつぶつ書き綴っております。
ということで、またもや仏像の感想。いずれもフラチモノの独り言です。
nec614.jpg

北魏 石造仏教彫刻の展開
大阪市立美術館ほまれのコレクションたる北魏石造仏をメインにした展覧会である。
以後、所蔵先を書かないのは大阪市美の山口コレクションということで。

1.北魏の仏像
北魏と言うくらいだから完全に年代は定まっている。
薄暗いあの空間に、ぼやーーーーーっ と浮かび上がる白い仏たち。

如来坐像 天安元年(466) ドレープが綺麗。石座には獅子と言うよりライオンが二頭。
壊れた光背にも仏の姿が刻まれている。

如来三尊像 延興二年(472) 大和文華館 背後に摩耶夫人がいる。珍しい感じ。

如来坐像 太和18年(494) これは牝獅子だろうか。迫力がある。

菩薩三尊像 延昌四年(515) やや小ぶりで寸足らずな。左右が真ん中を心配そうに見る。

如来三尊像 大統8年(542) ドレープが大変綺麗。フリルといってもいいと思う。下の唐獅子もモコモコ。妙にリアル。

塔台座 太平真君三年(442) 台東区書道博物館 獅子と地上を支えるギリシャ神話のアトラスに准ずる人、
何かを持って立つ人々の姿が面白い。

2.交脚像と半跏像
交脚は膝の辺りでX型、半跏は片足を挙げるあの姿。

菩薩半跏像 永青文庫 全体にやや俯きすぎな感じがあり、ちょっと不安定ではある。
そしてこの襞が凄い。裳裾のプリーツの幅の完璧なこと!この職人は後世にNATO情報部の「鉄のクラウス」が、自分のあとを継ぐような完璧さを見せることを、決して知らないだろう。

太子半跏思惟像龕 太和16年(492) 日本以外で「太子」とは悉多太子すなわち出家以前の仏陀である。日本で「太子」とは聖徳太子に集約される。
さてこの情景は文楽でいうと「檀特山の段」で語られる、「悉多太子に別れたる車匿童子の悲しみを」というあたり。愛馬カンタカもいて、太子の足をなめる。みんな悲しみに俯く。

菩薩半跏像 東魏 武定二年(544) 台東区立書道博物館 北魏ではない仏像。実際に自分の中の「菩薩半跏思惟像」のイメージにそぐう形を見せている。
即ち、頬に指を当て片足を膝上に上げているあのポーズである。
像はやや茶色い。河北は大理石なのか?下には鬣の見事な、二頭のライオンとアトラスがいる。

菩薩交脚像龕 裾に赤色が残る。色をつけていたことがわかる。周囲に仏たちもいて、獅子は両横から膝をなめてくる。

菩薩三尊像龕 神亀三年(520) 京都国立博物館 摩滅したのか破壊されたのか?龍門石窟の影響がある、と解説にある。そこにある種のロマネスクが活きるのを感じる。

3.平行多線文造像
字面を見て意味は分かるが、実際を見るまでどういうことかわからなかった。
解説にイッセー・ミヤケのプリーツ・プリーズ、それだというようなことが書いてある。
基本、裏表びっしりと線が入る。

道教三尊像 永平銘(508~512) 永青文庫 脇侍も飛天も。顔のみ大きく外へ張り出している。

道教三尊像 イセ文化基金 細い線状のドレープ。うわーっすごいわ。それにこの頭上のものは蛇なのか獅子なのか?

三尊像 永平3年(510) 個人蔵 道教か仏教か不明。こちらがいわゆる「プリーツ・プリーズ」の最たるもの。下には歯をむき出しの獅子がいる。すごく大きな歯。

坐像龕 正木美術館 これはまた稚拙な面白味のある…

三尊像 東京国立博物館 ウールマークにしか見えない線描。

三尊像 浜松市美術館 上の飛天が初々しい。あとからどんどん浜松市美術館蔵の優品が出で来るので、ちょっとそこらにも関心がわく。

如来三尊像龕 神亀3年(520) 大原美術館 ほほー、大原にもこうした所蔵品があるのかと感心する一方で、これは民藝関係のルートかとも思う。
上にいるのは「交龍」絡み合う龍らしい。双頭の蛇は喰いあうが、龍はイチャイチャ。
煩悩はそっち任せで、下には真面目そうな仏たち。

如来三蔵像龕 浜松市美術館 最下には牛車に乗る三人が刻まれている。供養人らである。

菩薩三尊像龕 浜松市美術館 アトラスが持ち上げる地上。交脚の膝を噛む獅子たち。

5.多彩な地方性
中央から離れると発想が自在になる。現代ではありえないが、かつては地方文化と言うものは全世界共通で面白いものが多かった。

如来坐像 北魏~西魏 円空佛のような顔つき。というより、もっとマンガぽい。ベロ出してニコッ!思わずわたしも絵をかいてしまった。可愛い。

道教四面像 西魏 「甲戌」銘(554) 細い書き込みの多い像で、獅子はもう殆どグリフォン風。渦巻きがまた多い。西からの文化が入ってきてるのだろう。

如来三尊像龕 正光6年(525) 足裏が大きい!しかもこの風格。なんだか「親方!」と呼びかけたくなる。

菩薩騎象像龕 アジアゾウに天蓋つけたところへ乗る婦人。摩耶夫人かもしれないとのこと。摩耶夫人の夢に白いゾウが現れて、シッダルタが生まれる。

四面像 京都国立博物館 騎馬の人の手には月もしくは沓形のものが載せられている。意味は分からないが、中央アジア風な趣もある。

碑像 正光元年(520) 真ん中の仏には朱が残る。二人の僧の手にはそれぞれ花と香水の杓とがある。

四面像 普泰元年(531) 正面には不思議なパターンが連続する。▽○の人々と▽のない人とが交互に並ぶ。右側には魔除けの意図なのかベロを出す大顔が刻まれる。
一方で文殊vs維摩もある。カーテンの向こうで。

如来坐像龕 正光四年(523) 正木美術館 長い顔の如来。右にはゾウの上に立つ塔もある。下にはお店のような建物が二軒刻まれていて、そこで杯を持つ人々がいる。

四面像 永平三年(510) 京都国立博物館 磨滅してしまい、よく見えない。裏には人々の姿があるが、あばら骨の目立つ人や馬らしきものがある。苦行ですか?馬はカンタカ?

四面像 京都国立博物館 博山らしきものが見える。多分そう思う。左には馬や人々の姿がある。

四面像 西魏 アショカ王の事蹟。仏と、すがる子らと。ロン毛の人々もいる。涅槃図も刻まれている。けっこう盛り沢山。


5.河南北部の大型像

景明元年(500) 実に大きい。鮮卑族の人々が刻まれている。供養人として。

如来三尊像 裏の刻みがいい。日のカラス、月の蝦蟇がはっきり出ている。笑う天人たち。


6.石窟寺院
実は一番ロマンを感じるのはここにある作品の伝来経路なのだった。

如来像頭部 伝・山西省雲崗石窟将来 大阪市立美術館・小野コレクション 首だけ~
にっこりしている。山口コレクション以外のもの。

菩薩立像頭部 河南省龍門石窟賓陽中洞将来 でかっっっ!!しかも顔をはぎ取られているカナシサ。

紙本墨拓皇帝皇后礼佛図 河南省龍門石窟賓陽中洞将来 大阪市立東洋陶磁美術館
これまた巨大!本物はアメリカにあるので、拓本でよすがをしのぶ。

浮彫維摩坐像 山西省天龍山石窟第三窟将来 東魏 天蓋とカーテン。ベッドのようなところに座す維摩居士。

浮彫菩薩半跏思惟像 山西省天龍山石窟第三窟将来 東魏 大銀杏の下で半跏思惟。

浮彫供養人立像 山西省天龍山石窟第三窟将来 東魏 首から蓮が出てるーーーっ


薄闇の中の白い微笑、迫力だった。
ああ、かなりすごいものを見たように思う。10/20まで。
関連記事
スポンサーサイト



コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア