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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

仙厓と禅の世界/特集展示:一休ゆかりの床菜菴コレクション

出光美術館で「日本の美・発見Ⅷ  仙厓と禅の世界/特集展示:一休ゆかりの床菜菴コレクション」を楽しんだ。
仙厓さんは出光美術館のそもそもの始まりの重要な存在。
その仙厓さんが先人として敬ったのが一休さんである。

禅の道は厳しい。
道の中にいる者にも、道の外に佇むものにも厳しい。
師から弟子へ教えを伝える。衣鉢を継ぐ、というのは実感のある言葉なのだ。
臨済宗の高僧で、博多に住まい、近辺の人気者だった仙厓和尚。
禅の厳しさをわかりやすく可愛らしい絵にして世に送った。

2010年「生誕260年 仙厓 ―禅とユーモア―」
(感想はこちら
2011年「大雅・蕪村・玉堂・仙厓 「笑」のこころ」
(感想はこちら
それ以来の仙厓の展覧会なので、お客さんもわいわいと湧き出ている。

昔はこうした禅画や俳画といったヘタウマというか「きれいでない絵」は好きではなかったのだが、だんだんと感化され、しみじみと味わえるようになっている。

東輝庵画賛 若い頃の厳しい修行の日々を思い出し、その庵を描く。田舎の風景の中。

馬祖・臨済画賛 吠えてはる~。いや、ほんとに吠えてはるわけです。禅は吠える人が多いなあ。それだけ弟子との人間関係が密接だとも言える。
しかし怖いよ、「一喝三日」vs「打拳爺」ですがな。手をグーでどつく。

千光祖師(栄西)画賛 来年は東博でこの人の展覧会がある。この絵も出るのかな。

自画像画賛 後ろ向きの姿。形が福岡銘菓の「ひよこ饅頭」ぽい。さすが「博多の仙厓さん」。達磨風なイメージで「そちら向いてなにしやる」とあるけど、ひよこ饅頭。可愛くておいしそうですなあw今なら「博多通りもん」のお菓子になるかな。

虚白院独居画賛 博多の日本最古の禅寺・聖福寺の123世住職を務めた後、隠居してこの可愛い庵に住まう。博多っ子(ときたら長谷川法世「博多っ子純情」)のたまり場になったそうな。それも人徳やなあ。
わび住まい。木に囲まれた建物。落ち着く佇まい。

雪中虚白院画賛 絵としてとてもいいと思う。深い情趣がある。雪は全ての音を深く飲み込む。心の静けさがここにある。二階建てで障子が大きい。デッサンは狂っているが、それがまたいい。この二枚の虚白院の絵はとても心に残る。

随問略記帳(『碧巌録』講義) これを見てから偶然にも四天王寺さんで『碧巌録』の解説だったか、平凡社の東洋文庫の本、それを見かけた。ただ、こちらにそれを読み解く力がない。

舟子徳誠画賛 弟子になるべき人材を探し求めていた舟子。ようやくみつけたのはいいが、なんとそれを舟から蹴落とす荒行。そして弟子としてすべてを託せると見極めついた後は、自身が舟からドボン。…禅の道は険しい。
絵は舟から蹴落としたところなので、わたしのような慌て者は「あっ!事件の現場!!」と思ってしまうのだった。

香厳撃竹画賛 悟りを開く契機が、竹にあたる音か何かで「!!」というのも、人間の心の不思議さ。津本陽の剣豪小説「柳生兵庫助」で面白いシーンがあった。
甥や息子ほどの天与の才を持たぬ柳生但馬守だが、若い頃に些細なことで、「西江水」の理を会得する。それもまた人の心の不思議さを思わせた。

2. 仙厓版「禅機図・祖師図・仏画」集成-仙厓と禅の世界
世間に流布しているものを和尚の解釈で絵にして賛も付ける!
(もしかすると、ある意味われわれブロガーの先達かもしれない…)

臨済栽松画賛 次世代のために松を植えた師の黄檗は、やがて来る隆盛を確信する、という話。ここではスコップもって立つ姿。エコロジー。松だからスギ花粉症にもならないし。

南泉斬猫画賛 これは今回のチラシ・チケット・図録を飾る絵なんですよ。
nec637.jpg

わたしもこの話は知っている。ネコの可愛さ。うう、それだけに無惨。
この猫は可哀想なの。それでか、以前に永青文庫の「小さいもの 骨董入門」ではナビゲーターとして頭の上に光のわっかを載せて、働いていた。
その感想はこちら
ブサカワなにゃんこ。尤も仙厓は斬った南泉にも・斬らせる状況に陥れた連中にも、容赦はない。
首座も老師もみんな斬られてまえ、ということ。
そういうのを読むと、やっぱりまだほっとする。 

狗子仏性画賛 にゃんこコロシする奴らでも、このわんこ二匹には「わー可愛い~~」という状況になる。
なにかあるのか、禅僧たち。みんな犬派なのか。
nec637-1.jpg

狗子画賛 この絵は最初に見たとき何も考えんと「わー可愛い~~」とどこぞの禅僧のような状況になって、絵葉書喜んで購入したのだった。
ところが一見可愛い絵でもよくよく読み解けば、深い心が潜んでいもする。
わたしなんぞはそんなところまで読めないし、読まない。

阿弥陀如来図(宗像大社阿弥陀経石拓本) 立派な拓本の隙間に和尚の絵が入る。
阿弥陀の弥は正字の「彌」で中のxxあるいはメメから妙な連想が湧いて、「ねじ式」の「メメクラゲ」を思い出している。

三聖吸酸画賛 老子が割とフツーに酢を舐めてる。釈迦は円満具足なお顔。孔子は「すっぱーっっっ」な顔。

3.仙厓禅画にあらわされた教訓 厳しくも優しい導きのかたち

指月布袋画賛 この絵を見て若き出光少年は はっ となり、それから大コレクターの道を行くようになったそうだ。仕事にも趣味にもそうして邁進して、立派な生涯を送ったわけだが、こうなると、この絵こそが出光佐三の「禅機」そのものかもしれない。
プリッとした子供と布袋さん。

坐禅蛙画賛 蝦蟇がにっこり笑って坐っている。いちいち意味を考えないといけないのだろうが、やっぱり可愛いと思う気持ちが先に立つ。
江戸時代の識字率は高いと言うが、実際のところ、みんな理解していたのだろうか。
ちなみにこの賛がすごくイケズ。「坐禅して人から仏になるならハ」蝦蟇もなるがな、ということですな。蝦蟇にも仏性具わってるかもしれんぜ~~山川草木悉皆…
いや、あれだわ、仙人の使い魔か、蝦蟇は。妖術もOKだしね、自来也(児雷也)。

一円相画賛 これをみると吉原治良とか八木一夫の作品が頭に浮かぶのだよな。
そうそう、車田正美「リングにかけろ 2」で剣道家の倅たる伊織が、いたずら好きの主人公・麟童により、家に伝わる「一円図」に落書きされて激怒するエピソードがあるけど、その父たちはむしろ、その一円図に素直に顔を描く主人公の心根を楽しむのだった。
こういうのが実はいちばん禅問答に近いのかもしれない。

切縄画賛 蛇や思うたら切れた縄だった、という情景。「夜にはすべての猫が灰色に見える」ということですか。いや違うな、蛇=やっぱり怖いものという意識での話か。

頭骨画賛 「よしあしハ目口鼻から出るものか」髑髏の穴ぼこからヨシだかアシだかが伸びている。打ち捨てられた髑髏の話には色々と興味深いエピソードがある。

夕納涼画賛 そしてそのヨシだかアシだかの生えるところで夕涼み。人間は良し悪しを選べない状況にあることも、ある。

尾上心七(新七)七変化画賛 江戸を穢土にしての口上だが、どうもあほだら経を思わせるテンポの良さがある。チャカポコチャカポコ…ぽい感じ。

二つの同じような絵がある。
鯛釣恵比須画賛 鯛がうんざりしている。
鯛釣恵比須画賛 二匹も釣らぬのが美徳、ということ。

恵比須・大黒画賛 まぁこれは大物釣った後の嬉しそうな顔を記念撮影した、ような雰囲気。
大黒さんがにこにこして可愛い。
 
さじかげん画賛 「生かそうと殺そうと」おいおい。御匙が腹黒い顔してる。

七福神画賛 手前で布袋が寝てる絵で、これは前々回の展示の時にも人気だった。
ちょっと水島新司のキャラぽい雰囲気がある。

4. 斎藤秋圃筆「涅槃図」と仙厓遺愛の品々参考出品

絶筆碑画賛 将棋の駒みたいな形の石に「絶筆」て…これ実在したのか。

老人六歌仙画賛 これは透明なポストイットがショップにあるはず~~可愛い。

百老画賛 メガネ爺さんが可愛い。大久保彦左衛門メガネ。

涅槃図 ばっちぃ賛やなー。筆の見た夢という形。煎茶道具も泣いている。

双鶴画賛 鶴は千年、亀は万年、われは天年…天然とは違う、すごい技巧な人だな~~

これまでなかった広い空間が出来ていて、そこにも展示が並んでいる。
あるのは仙厓の遺愛品。

姥ヶ餅焼茶碗 大津の名物餅?梅が枝餅の方がリアルくないですか?たまにはこういうのを食べてのんびりしたい。でもわたしはちらっと見て通り過ぎるだけ。
歯磨きとか色々考えるし。

茶杓 銘 明けぼの 櫂先が暗い。

茶杓 銘 寿 白い山のようだ。

箱崎宮鳥居形陶硯 びっくりしたなあ。モロに鳥居ですがな。大浪も来てる。わざわざ拵えたそうな。

志賀宮古材文台 志賀島の宮司からもろたそうな。ここから金印が出たんだっけ。あとそれから檀一雄が晩年住んでいたはず。

書画入煎茶碗箱 目鼻を書き加えてて可愛い。

亀石之銘巻/亀石 亀に似た石で、甲羅には子亀も乗ってるがな。
飛鳥の亀石とはまた全然違う代物です。

一休ゆかりの床菜菴コレクションと仙厓
一休さんが応仁の乱を避けて、堺手前の住吉大社近くへやってきました。
野菜畑を埋め立てた地に拵えた庵です。
今は住吉公園の裏手に石碑だけが残るそうな。

一休宗純像 本人の賛あり。髯に唇には朱。1989年秋、東博へ初めて出かけたとき、一休禅師の特集陳列があった。長渕剛そっくりだと思ったなあ。
この絵もよく似てる。

額字「床菜菴」 力強っっ!ここからは全て一休さんの書。絵は別。

羅漢図 青と白の獅子が機嫌よく噛みあう。可愛いなあ。

禅寺特有のおっしょさんの肖像画シリーズ。賛は全て一休さん。これは殆どが賛美なんだが、その調子を見ていると、司馬遼太郎「韃靼疾風録」に描かれた、草原の人々の賛美にそっくりで、笑えた。要するにヒトサマのことをエエように書くとこうなる、という見本ですかな。

臨済義玄像、虚堂智愚像、南浦紹明(大應国師)像、徹翁義亨像、言外宗忠像、華叟宗曇像、宗峰妙超(大燈国師)像。
最後の人は前に読んだ本に出ていたので、なんとなく親しみがある。

一行書「一日不作一日不食」 働かざる者食うべからず、の標語を掲げてその通り実行したそうな。

さて、出光美術館と言えばやきものを忘れてはいけない。
主役の時もあれば脇役としてピカッと光ることもある。
今回は脇役でピカッと光っていた。
(主役の時は不意打ちがないので、いきなりピカッと光ることはない)

色絵呉須赤絵写花鳥文水指 おお、奥田穎川やん。なんか嬉しい。

今回、「上野焼」というものを見た。
上野と書いて「あがの」である。コウズケでもウエノでもない。
栃木や伊賀でもない。福岡県田川だという話。
三彩、色絵、織部、黄釉、鉄釉、飴釉、緑釉など色々。
上野緑釉象香炉 これがとてもよかった。わたしはゾウさんが好きなのだよ。

ああ、やっぱりまだまだ見るべきものが多いのを実感した。
11/4まで。
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コメント
能古島
檀さんは 能古島ですね。今 太郎さんご夫婦が 住んでいます。
上野焼は シンプルな色で わかりやすく 普通の一輪挿しくらいなら
家庭にある 焼きものです。あがのと ちいさい頃から読むので 
はんたいに  うえの、こうずけとは 読みにくいです。
2013/10/21(月) 19:55 | URL | 小紋 #-[ 編集]
そうだそうだ
☆小紋さん こんにちは

ありがとうございます、さすが地元の方!
わたしは檀一雄の男らしさ(弱さも含めての)がとても好きです。
太郎さん、「味の味」という冊子に連載されているエッセーが楽しいです。

> はんたいに  うえの、こうずけとは 読みにくいです。

なるほどーーーっわたしは近所に「うえの」という町がありますし、
伊賀上野(忍者の産地!)もありますし。
吉良は上野介(こうずけのすけ)だし、というので
やっぱりウエノにコウズケですわw
2013/10/22(火) 09:04 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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