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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

黄河と泰山 中華文明の源と世界遺産

和歌山県立博物館「黄河と泰山 中華文明の源と世界遺産」展はたいへん面白い内容だった。
10/20本日までなのがとても惜しいが、わたしが見たのは昨日だった。もっと早く気づくべき展覧会だった。
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一級文物(中国における「国宝」)もいくつも来ていて、まことにありがたい。
そして後から気づいたことだが、中に一つ、2005年の「中国国宝展 新石器時代から北宋時代まで」国立国際美術館に出た菩薩の片割れが登場していた。まず間違いないと思う。
今回は右部分、前回は左部分の菩薩。釈迦如来像の背景の菩薩やと思うがご本尊は欠損。
しかしアルカイックスマイルといい、周囲の装飾といい、絶対そうだ。
右部分の菩薩の頭上には天人たちが奏楽にいそしんでいる。
因みにこちらはその左部分。右の今回のは惜しいことに画像を持たない。
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さて、先走ったがシンプルに並ぶ展示品を見て歩き、その私的感想をなんやかんやと書いてゆこう。もう期間も過ぎたので、いつも以上に好きなことを書く。
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獣面像 土製 新石器時代・後李文化 章丘西河遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
なんだか鼻筋が蛇柄のような。額から鼻にかけて「・・・・・・」と入ってる。

豚形像 土製 新石器時代・後李文化 章丘小荆山遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
こっちは背中に「・・・・・・」と入る。ウリ坊ぽい感じもある。豚も猪も変わらないというのがたしかこちらの事情だったな。おいしく食べていたのだろう。

磨盤、磨棒 石製 新石器時代・後李文化 章丘西河遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
これは穀物を磨る道具。いうたら板と麺棒。こういう器具はディズニーの「白雪姫」で見たのが初めてだったが、よく似ている。

灰陶豆、灰陶刻文尊 土製 新石器時代・大汶口文化 泰安大汶口遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
いずれも同じ時代のもの。よく残っていたなあ。山東省はこうした古いものが活きていてくれたのだ。

玉首飾 玉 新石器時代・大汶口文化 鄒県野店遺跡出土 山東博物館蔵
薄緑のものが6つ。玉への偏愛はこんな時代から。

牙雕筒 骨製 新石器時代・大汶口文化 鄒県野店遺跡出土 山東博物館蔵
元はトルコ石の嵌め込みがあったらしい。不透明な玉や石への偏愛。

黒陶甗 土製 新石器時代・龍山文化 臨淄桐林遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
チラシにあるが、これは蒸し器らしい。下を温めて上に置いた食べ物が出来上がる。

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玉刀 玉 新石器時代・龍山文化 日照両城鎮遺跡出土 山東博物館蔵
でかっっ!むろん実用ではなく儀礼・儀式用。

鼎 青銅 商時代 済南大辛庄遺跡出土 山東大学博物館蔵
饕餮くんがちらっと見える。埋もれが多い。

盉 青銅 商時代 済南大辛庄遺跡出土 山東大学博物館蔵
さらに時代が前かも知れないらしい。殷(商)の前は夏。夏の滅亡は褒似と幽王だったか。

玉人 玉 新石器時代・石家河文化 済南大辛庄遺跡出土 山東大学博物館蔵
横姿、どう見ても山羊人間。片手を突き上げている。(ポーズ的には「わが生涯に一点の悔いなし!」ではなく「米よこせ!」である)

次に殷周伝説の立役者・太公望(斉公)の実在が証明された高青陳庄遺跡からの出土品。
簋 青銅 西周時代 高青陳庄遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
盤 青銅 西周時代 高青陳庄遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
玉鳳 玉 西周時代 高青陳庄遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
この遺跡から「斉公」の銘を刻んだものが出ている。

盂 青銅 西周時代 曲阜孔林林前村遺跡出土 山東博物館蔵
魯の司徒の役を負うていた季氏が働いていたことの証明とか。
孔子の家の前の遺跡だったか。
わたしなんぞはすぐに「孔子暗黒伝」を思い出す。どきどき。

鳥飾支架 青銅 春秋時代 長清仙人台墓地出土 山東大学博物館蔵
これは上部と中部に鳥の飾りが二つある、ひっかけもの。そんなに大きくない。何をひっかけていたのだろう。バナナ吊りくらいの大きさに見える。造形的に可愛いが。

升(陶量) 土製 戦国時代 前斉魯大学明義士採集 山東博物館蔵
これは20リットル入るらしい。古代の度量衡は国によって異なっていたのでややこしい。

兵器をいろいろ見る。いずれも青銅で、山東博物館蔵
なにに分類できるかわからぬものもある。
戈  周時代 胶東文管会収集
矛  春秋戦国時代 山東省博物館文物組収集
刀子  春秋戦国時代 斉魯大学収集
剣  春秋時代 五蓮遅家庄出土 ウッチ、か。
鏃  戦国時代 滕州柴胡店区前井亭村出土 くっきりした鏃。

斉刀幣がある。こちらもむろん青銅。
春秋戦国時代のものばかり10点。刀の形のおカネ。
いつくらいまで流通していたのか聞いたけど、忘れたなあ。

編鐘(8点)青銅 戦国時代 章丘女郎山墓地出土 山東省文物考古研究所蔵
あああ、なんだか古代の高士なり役人なりがポンカラキンコンカン、と打ち叩く姿が浮かんできた。風にそよぐ袖ということは、外での演奏なのか。ときめく。
音楽も正しく演奏することで、世界の秩序回復をもたらす力を持つ。
音色自体は泉屋博古館の本館で録音されたものを聴いている。

孔子像軸 紙本着色 明時代 曲阜孔廟旧蔵 山東博物館蔵
おおっフルカラー。役人姿の孔丘。前歯がけっこう大きい。上に「元氣萃聚」から始まる一文がある。萃も聚も集まる、の意味。元気が集まるという意味なのか、元の氣が集まる、という意味なのか。

骰子 青銅 秦漢時代 濰県陳介祺出土 山東博物館蔵
18球面体。始皇帝は無辜の罪人を拵えるような厳罰化した法治国家を作り上げたが、一方で沛県に住まう劉希なんて任侠の徒(というよりやくざだな)なんぞもいたわけで、取り締まりは厳しいがそれでも抜け道があった。
またそれ以前から闘犬・闘鶏も盛んで、サイコロ賭博も人気だったのだ。だからこうして現物が残る。
後に皇帝になった季(劉邦)は晩年になってから、サイコロ賭博を楽しんだ昔を思い起こすことがあったろうか…。

升(陶量) 土製 秦時代 鄒城市紀王城出土 山東博物館蔵
これは1000ml入る。度量衡はすっきり統一した方がいい。

香炉 青銅 漢時代 伝世品 山東博物館蔵
よく守られてきたなあ。最初からずっと大事にされ続けてきたらしい。
可愛らしい鳳とも孔雀ともつかぬ華やかな鳥が摘みについている。

「済南都尉」印 青銅 漢時代 済南植物園出土 山東博物館蔵
なんとなくロマンティック。植物園から出土という所が。

青銅鏡を色々みる。前漢から後漢まででいずれも滕州豊山墓地出土品。
日君忠連弧文銘帯鏡  前漢時代 
四乳禽獣文鏡  前漢時代 
四乳四虺文鏡  前漢時代 
蟠螭文鏡  前漢時代 
四乳八鳥文鏡  前漢時代 
五乳五鳥文鏡  後漢時代
八鳥簡化博局文鏡  後漢時代
鳥文鏡  後漢時代
王氏四神博局文鏡  後漢時代
特に可愛かったのは五羽の小鳥がくるくる舞う鏡。ハイジの可愛がったピッチに似てる。

次に明器をみる。いずれも漢代のもの。仏像が現れるまでは全て、死者への鎮魂のものが並ぶ。

楼閣 土製・彩色 臨淄乙烯廠墓地出土 山東省文物考古研究所蔵
尊 施釉陶器 長清前夏墓地出土 山東省文物考古研究所蔵
博山炉 施釉陶器 長清前夏墓地出土 山東省文物考古研究所蔵
神仙思想は絶えることがない。

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漢代の頃、既に生きた殉死者ではなく、ヒトガタや馬の形のものを埋める。
武人俑 土製・彩色 長清前夏墓地出土 山東省文物考古研究所蔵
凄い大きな目っっ!口開けてるが、びっくりするなあ。

人物俑(3点)土製・彩色 青州香山漢墓出土 青州市博物館蔵
これはまた三種みんな顔が違う。朱がよく残り、はっきりしている。

馬俑(2点)土製・彩色 青州香山漢墓出土 青州市博物館蔵
どちらも足がない。最初見たとき、てっきり座る馬なのかと思ったほど。
赤と白。汗血馬とアラブ馬風。

耳杯(3点)土製・彩色 青州香山漢墓出土 青州市博物館蔵
これがまた今の耳付きシリコンスチーマーの蓋なしにしか見えない!グラタン皿というよりシリコンスチーマー。シンプルさがまるで北欧風。

いよいよ仏教伝来後である。
仏坐像 銅造鍍金 北朝時代 省文管会収集 山東博物館蔵
仏坐像 銅造鍍金 北斉時代・武平5年(574) 前省立図書館収集 山東博物館蔵
関係ないが、この時代に蘭陵王(羅陵王)がいたのだなあ。

仏三尊像 石灰石 東魏時代・武定2年(544) 伝世品 山東博物館蔵
先般、大阪市立美術館で北魏の白い仏像を堪能したことを思い出す。

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牛車 土製・彩色 北朝時代 済南八里窪北朝墓出土 山東省文物考古研究所蔵
牛の目にアクセントがある。大きな牛。
こうして見てみると、海洋堂のフィギュアのようにも見える。
大英博物館の海洋堂製品を想う。

風帽俑 土製・彩色 北朝時代 済南八里窪北朝墓出土 山東省文物考古研究所蔵
ああ、Aみたいな形の帽子ね。

胡人俑 土製・彩色 元時代 済南祝甸遺跡出土 山東省文物考古研究所蔵
動きだしそうな形。鼻も高い。

1996年に発掘され世に出た仏たちを観る。
仏立像 石灰石・彩色 北朝時代 青州龍興寺址出土 青州市博物館蔵
白鳳仏の原型のように思われる。6世紀後半の寸胴な仏像。

菩薩立像 石灰石・彩色 北朝時代 青州龍興寺址出土 青州市博物館蔵
これが冒頭に挙げた菩薩像の向かって右の菩薩かと思う。
画像がないのが残念だが、とても綺麗なのだった。
アルカイックスマイルをたたえ、綺麗で、マリア観音のような風情もある。頭上の天人たちの奏楽もたいへん楽しそうだし、浮彫もきれい。
どきどきした。

白磁刻花魚文碗 白磁 北宋時代 省文物店購入 山東博物館蔵
英語だとボウルか。そのボウルの底にうっすらとお魚。いいなあ。

青花杯 白磁 元時代 益都県糧庫工地元代墓出土 青州市博物館蔵
これは日本の茶人だと何か別なものに転用しそう。可愛い。そんなに濃い色でもない。

青玉佩飾 玉 明時代・洪武元年〜22年(1368〜89) 鄒城魯荒王墓出土 山東博物館蔵
全長60cmで工夫の凝らされたつなぎ方。水色の綺麗な玉が大小のパーツもいい配置に。

藍綢蟒袍 錦・金襴・繻子 清時代 山東軍区移管 山東博物館蔵
うむ、高級な袍。

ここからは泰山。
泰山と言えばこのセリフ。
「泰山は崩れんか、梁柱は折れんか、哲人は死なんか」
ときめくなあ。
始皇帝が封禅しているが、それ以前からの山岳信仰と言うものがあったようだ。
中国の山岳信仰と言うものはどのような形なのか。
知りたいと思う。

再び旧時代のものを見る。
玉璋 玉 新石器時代・龍山文化 沂南羅圈峪祭祀坑出土 沂南県博物館蔵
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玉璋 三点 玉 新石器時代・龍山文化 沂南羅圈峪祭祀坑出土 沂南県博物館蔵
太古の時代の神々への供物は生命であり、そして祈願するものは玉を身に着ける…

玉斧 玉 新石器時代・龍山文化 沂南羅圈峪祭祀坑出土 沂南県博物館蔵
大変緑色が濃い。

罍 三点 青銅 戦国時代 泰安城南霊応宮南半里許窯業工地出土 山東博物館蔵
神への供物を煮て食べる…

玉音仙范 紙本墨書 清時代 岱廟旧蔵 泰安市博物館蔵
時代の飛び方がすごいな。

法輪 銀製鍍金 清時代 岱廟旧蔵 泰安市博物館蔵
真ん中に三つ巴の意匠があり、トルコ石と貴石が嵌め込まれている。あとは欠損。勿体ない。綺麗な透かしづくり。

清乾隆五岳銅方炉 青銅 清時代 済南金属回収管理局採集 山東博物館蔵
どこがみつけたかをよくよく見て、ひっくり返りそうになった。

清刊『泰山志』(12冊) 紙本墨刷 清時代・光緒24年(1898) 省文管会旧蔵 山東博物館蔵
この近代でも泰山はまだ尊い山なのだな。

泰山娘娘 紙本色刷 民国時代 採集 山東博物館蔵
北京辺りにもよく残る民画の版画。真正面の泰山娘娘の神様。赤色が強い。にこやか。

鸚鵡の置物(民国店坊商招-鸚鵡家) 木製彩色 民国時代 泰山管理処寄贈 山東博物館蔵
これはまた可愛い。赤い門の内に緑の鸚鵡が二羽止まるという形。何の店屋か知らんけど、民国時代の工芸看板は楽しいものが多い。天理の博物館がたくさん蒐集している。

特別出品がいくつか。
漢画像石・河伯遠出 紙本墨拓 原品は後漢時代 滕州漢画像石館蔵
河の神様がお出かけなのか。中国の拓本技術について、谷崎潤一郎は「瘋癲老人日記」でたいへんほめそやしていた。

漢画像石・孔子見老子 紙本墨拓 原品は後漢時代 滕州漢画像石館蔵
いるいる、二人が遭う所。何段かに分かれているが、間に人面の獣が見える。これはあれか、開明獣か。だとするとますます「孔子暗黒伝」~~~♪

泰山石刻 紙本墨拓 原品は秦時代 泰安市博物館蔵
この書は李斯のものらしい。

経石峪金剛経石刻(4幅) 紙本墨拓 原品は北斉時代 泰安市博物館蔵
書いてある順から書く。隷書と楷書の間くらいの書体だった。
一文字目は字が出てこない。残りは、謂 如 善。

第一山 紙本墨拓 原品は北宋時代 泰安市博物館蔵
縦書き。草書体。これは扁額。

泰山神啓蹕回鑾図(2巻) (複製) 原品は北宋時代泰安市博物館蔵
象に乗る姿も見える。なんだかうらやましいぞ!

出る文字はみんな出してるが、これらはwindows7での打ち込みなので、macやケータイ・スマホでは文字化けしている可能性がある…

実にいい展覧会だった。
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