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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

橋本関雪 剛腕画人登場

こちらも終了した展覧会。
兵庫県立美術館「橋本関雪 剛腕画人登場」
銀閣寺道の白沙村荘に記念館があるから、わざわざという気持ちがあったのだが、やっぱり行っておいてよかった。たとえ終了前日であっても。
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関雪は神戸生まれの儒学の家の人で、師匠の栖鳳と袂を分かちながらも、大成した。
賢そうな動物たちと、物語性豊かな絵が多く、たいへん好きなものが多い。

第1章 誕生から文展入選まで

静御前 堀川夜討から材を得ている。急襲してきた土佐坊昌俊に対抗するため、静御前が義経に鎧を渡そうと走る姿。義経の鎧の胴には三頭の青獅子。この画題は人気があり、橋本雅邦も描いている。

恩賜の御衣図 菅原道真の流謫での1シーン。菅公はかつて帝から下賜された衣を戴いて涙している。
解説によると、この時代の関雪は播磨放浪期で、楽しまぬ日々を過ごしていたらしい。不遇さに共感したのだろう。

画題不詳 こちらも播磨遍歴の最中の作品。大達磨を江戸風俗の女たちがひっぱる、という戯画風な絵。

達磨大師像 ぎょろりとした大きな目玉のオヤジ。ちょっとばっちそう。

放牛図絵馬 力強い。これは播磨の曽根天満宮の所蔵。

十二幅対 わたしが見たのは7から12。ちなみに1~6のタイトルも挙げる。基本的に中国を舞台にした1シーンとして描かれている。
1. 桃林晩帰 2. 灯下鳴機 3. 田家暮雪 4. 柳堤春霞 5. 江上遇雨 6. 松林翠嵐 

7. 藤陰読書 
8. 繊手摘桑 やさしい手の婦が佇む
9. 清暑試茶 剪髪のチャイナ服の若い娘が庭に敷物を敷いて寝転がってる。
10. 柳陰老漁
11. 霜林樵父
12. 榴下公子 曲がる幹に体をもたせ掛け、頬杖して夢見る公子。明代風。

涼蔭

群仙図襖絵 アクの強い仙人たちがわいわいと楽しそう。蝦蟇も大きい。

第 2章 文展での活躍

失意 楽人らしく月琴を傍らに置く男と、ベッドにする男との対話。宋代から明代くらいの風俗。

琵琶行 この絵は上京区の美術館案内ガイドにもく出るもので、歌のタイトルでもある。中身もそれに沿う。
容色の衰えはいかんともしがたいが、彼女自身のこしかた、また身の処し方はこの場合、どうしようもなかったと思う。後悔しても始まらない。しかしそれでは物語にならないか。

片岡山のほとり 「ウッドワン美術館展」大丸神戸2011.1で見た。感想はこちら
左手の林の中にインド風な飢人がへたりこんでいる。右に聖徳太子一行。馬は白馬。太子に傘をさしかけるみずらの少年がいるが、可愛らしい花形の飾りを髪につけている。
 
南国  「姫路美術館の日本画」2006.6で新収蔵として紹介された。
感想はこちら
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威勢が良くていい絵。小さい黒いものは燕が飛んでいる姿。ウミツバメ。可愛い。右手の奥の船には猫も。

猟 今回のチラシのメインだが、基本的に猟はいやなので出さない。

煉丹 ぶきみな弟子と師匠が嬉しそうに煉丹作りに勤しむ。この様子を見ると、諸星大二郎の怖い短編を髣髴とさせる。道士というのはけっこう気持ち悪いものが多い。

寒山拾得図 賢そうな二人が林の中、静かに佇む。それぞれ離れて立ち、互いを見るともなしに見る。
容貌はヘンだが、奇矯さは見いだせない。

木蘭nec642.jpg
これを最初に見たのは白沙村荘で壁にあったチラシ。所蔵先の川村が回顧展をしたのだ。
今も手元にあるが、当時はディズニー「ムーラン」もないし、静かな美しい娘の男装姿にときめいたものだった。

郭巨図 二十四孝の釜を掘り出すひと。三幅対。左に妻子、中に木と根元に釜、右に郭巨。キリスト教の絵のようにも見える。堂本印象的なタッチ。

林和靖 鶴好き林さん。

僊女mir530-1.jpg
西宮大谷でしばしば出るが、大きくていい絵。鹿の懐き方も可愛いし、小鳥もいい。キノコもはえて、秋の林のよさがある。ふっくら丸顔の優しい風情がある。

長恨歌 「京都と近代日本画」展2007.11 京都市美術館
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感想はこちら
「線を探して」京都市美術館2006.6初見。
感想はこちら
ちょっと大きいが、実物は薄い薄い白描なので、これを採用。

後醍醐帝(草稿)この絵巻がたいへん躍動感があって、よかった。わたしは物語性の濃い・文芸性の強い絵が好きなので、わくわくした。完成品は見ていないが、本当に素敵だ。

凍雲危棧図 浦上玉堂へのオマージュ。

諸葛孔明 三顧の礼。右手に孔明の寛ぐ草庵。雪が吹き荒れる状況が広がり、左手に赤・青・黄色の三人組が見える。そう劉備ですね。さすがに耳が大きい。

漁樵問答図 静かでいい世界。右に止まる舟の囲いの中少年が眠る。

仙娃図 黄色い衣服の婦がこれまた大きな兎耳のような髪型をしている。わりと好きな絵だが、やはり髪型が目立つ。

拾牛図 けっこうアクティプな牛~~~

邯鄲炊夢図 大きな屏風に眠る姿、家の中などが描かれる。邯鄲の夢は描かれず、現実の姿だけがそこにある。

羅浮僊図 しかし梅はなく、彼女は松の幹に身をもたせ掛けている。

楊妃酔酒 これはもしかすると、梅蘭芳が来日したときの感銘を絵にしたものかも。清方にもある、梅原にもある。そうだと思う。

摘瓜図 リアルな中国婦人を描きたいという気持ちで描いたそうな。丸顔の婦人が瓜を手にする。足元には福々しくワルそうな大猫がいて、彼女を見上げている。
この猫をみていると「金瓶梅」の雪獅子という猫を思い出す。ただしそれはわたなべまさこの絵の話。

武陵桃源図 角を曲がった途端、この大きな作品が!ぱぁぁぁっと気持ちが豊かになった。自分もここへたどり着いたような心もち。ああ、桃の香りがするようだ。

海鶴蟠桃図 まさにタイトル通り。モモはおいしそうな実をたわわに実らせ、花も咲く。花喰い鶴。
 
第4章 動物画の世界
誰よりも関雪の動物たちは賢そうである。ただしその分、可愛げは足りない。

意馬心猿 この絵を見知る直前に平凡社刊の水滸伝120回本(駒田信二訳)を読んで、「意馬心猿」の単語を知った。それで見たから、ははははは、という感じがある。
しかしその言葉が落ち着いた後、今こうして絵を見ると、馬も猿もやはり賢そうに見える。

一路功名図 鷺です。吉祥画。鷺が野心的な顔をしている。

玄猿 腕の長い猿でやはり賢そう。


唐犬図 これは大阪市立美術館の方のボルゾイとグレイハウンド。足立美術館の犬ではない。

霜猿 この絵の制作過程を映像に残していたので、興味深く見る。

第5章 戦争そして晩年
吉川英治と共に朝日新聞の嘱託として南方方面へ飛んでいる。

防空壕 東近美にあるが、実物は今回初めて見た。エネルギッシュなジャワ婦人の赤い唇、むっちりした身体。そして珍しく柄物の服、いいなあ。バティックて好き。

香妃戎装 この絵は院展90年記念展のとき、大丸で見た。チラシにもなっている。
香妃の話は神坂智子のシルクロード・シリーズで読んだ。その後に見ている。彼女は乾隆帝の要求に応じず、自分の信念を貫いた。いいなあ。
香妃戎装(下絵)もわるくない。

防空壕(下絵) 京都市美術館にある。最初に見たとき、とてもショックをうけた。いい絵だった。
本画とはまた違う魅力がある。

見たその日、図録完売だと聞いた。残念。
ところが翌日、図録が出現したそうな。
惜しいな、こういうこともあるか。

行ってよかった展覧会だった。

追記:2016.05.20
こんなチラシを見つけたのであげておく。
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