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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ミケランジェロ展 天才の軌跡

西洋美術館の「ミケランジェロ展 天才の軌跡」を見た。
システィーナ礼拝堂500年祭記念だと銘打ってある。

2000年のミレニアム行事の終わった直後にイタリアに行った。
システィーナ礼拝堂に入った時、その巨大な存在感に圧倒され、草食・農耕民族の日本人にはこんな体力などない!と強く思った。
後年、大塚国際美術館に行き、実物大の複製陶板を見たが、やっぱり凄いと思った。

さて、実物は持ってこれないが、そのための習作、エスキースなどはアジアの片隅にも持ってこれる。楽しみに見に行った。

第1章 伝説と真実 ミケランジェロとカーサ・ブオナローティ
ここではミケランジェロの残したメモや手紙などがある。

改めてよくよく考えると、ミケランジェロは長命だった。
15世紀後半から16世紀に活躍した中世イタリアの有名人と言えば、ダ・ヴィンチ、ラファエロ、芸術家ではないがマキャベッリ、チェーザレ・ボルジアの五人がすぐに思い浮かぶが、その中でもミケランジェロは随分長命のクチである。
彼は男色家なので子を持たなかったが、甥を可愛がった。甥はレオナルドという。(この時代の流行りの名前なのか?)
甥への手紙が何通もある。年月日の特定できる手紙。

ミケランジェロはこの時代のイタリア人とも思えぬほど慎ましい日常生活を送っていたようだ。美食もせず、装いもしない。
メニューを見ると、この時代によく名前を見かける食材が記されている。
ウイキョウのスープ、ニシン、ワインにパン。
いい匂いのするウイキョウはこの時代、よくスープになったのだろうか。

カーサ・ブオナローティはミケランジェロが10年ほど住み、その後に甥一家が譲られて、19世紀くらいまで一族所有の邸宅だったのを、フィレンツェ市に寄贈し、美術館となったそうだ。
19世紀の誰かがその邸宅の外観を描いているが、それが出ていた。華美さの見当たらない建物である。

ミケランジェロのスケッチが出てきた。
本画もいいが、彼のスケッチやデッサンの魅力は時に本画よりはるかに魅力的なものが少なくない。

レダの頭部習作 ギリシャ神話の美女を描くにあたり、モデルに男性を使うミケランジェロ。

nec650-1.jpg

雑誌のタイトルは忘れたが、某業界の月刊誌表紙がずっとミケランジェロのスケッチやデッサンなどを使っている。
会社でそれらを見て大変綺麗だと感銘を受け、勝手に切り取って後で問題になったことがある。しかしそんな印刷物にすらときめくのだから、いかにミケランジェロのスケッチの魅力が大きく(あるいは罪深く)あるかを感じてほしい。


第2章 ミケランジェロとシスティーナ礼拝堂
冒頭で述べたように、日本人にはこのエネルギーはないと思う。
細かいものを濃やかに拵える技術や愛情はあっても。
キリスト教と仏教の違いだけでない、民族性の違いを強く実感する。

1508~11534年に至るまでのシスティーナ礼拝堂のための習作が並ぶ。
アダムの横顔の確かな美しさ、神とのつながり、緊迫感ある構図。
男性裸体の筋肉のありよう、その強さ。
ルネサンスの本質は実はそこにあるのではないかとすら思う。

ミケランジェロの原画を基にした版画作品も多く作られている。
彫刻家としても超一流のミケランジェロは、その三次元的視線を二次元作品の上にも投影させる。
フィレンツェでみたダヴィデの像の美しさ。欧州でしか生まれえない容貌。
それを思い出しながら数々の習作を見る。

やがてシスティーナ礼拝堂の最後の審判の複製が現れる。
壮麗な眺めだった。たとえ複製であろうとも。


第3章 建築家ミケランジェロ
昔も今も施主と建築家との間には事態逼迫の手紙が活きる。
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装飾の入った綺麗な柱やこれは床面図か、華麗な計画案が次々と現れる。
このようなものを見ると、中世と現代との深い断絶を感じる。
ミケランジェロの設計図、またシスティーナ礼拝堂の資料を見ると、「シンプル・イズ・ベスト」という概念が貧乏くさいものにしか思えなくなる。


第4章 ミケランジェロと人体
絵を見る楽しさはこの章がいちばんいいかもしれない。

階段の聖母 若い頃のミケランジェロの彫像。15歳でこんなのを拵えるのだから後生畏るべし、だったろう。
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そしてそれからほぼ半世紀後の作品。
クレオパトラ 素描の美しさにときめく。これは彼と<親しい>青年貴族のために描いたもの。複雑な結髪。とても綺麗な顔だった。

nec650-2.jpg

キリストの磔刑 最晩年の彫像。腕は見当たらない。筋肉はシンプルなつけかたをされているが、磔刑像だから当たり前なのかもしれない。

ここでも4K映像が流れていたのだが、どういうわけか記憶にない。

久しぶりに愛するフィレンツェに行きたいと思った。
わたしはイタリアではいちばんフィレンツェが素敵だと思っている。

11/17まで。
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