FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

今年の正倉院展

奈良の秋といえば、なんというても正倉院展。今年は65回目ということです。
わたしが最初に行ったのは大学の時。学生チケットは昭和の終わりで700円。今は平成も四半世紀で、学生料金はやっぱり変わらず700円。貨幣価値が多少変わっても同じお値段。
なんとなく面白い。

前日の荒天のせいで、関東からの大型ツアーが中止になったりしたそうで、わたしが夕方に出かけた時点では行列待ちは5分程度でしたな。
毎年だいたい初日・二日目に出かけることにしてるので、「ああ、長いなあ」と思ったのが、ちょっとばかりラッキーな状況になったのですよ。
BXfMrZhCcAAXU2O.jpg

サイトの出陳リストを見ると、会場で戴いたリストと違い、前回出陳年が書かれてた。
これは嬉しい。そういうのを見ると「ああ、見たんだなあ」とか「おお、これは初見」などと感慨が一層深くなる。だから今年はそれに準じての紹介とします。

名称・よみがな・初出陳または前回出陳年、その順で。

平螺鈿背円鏡 附 題箋 へいらでんはいのえんきょう 附 だいせん 2003年
nec654-1.jpg
これこそわたしが最初に見た宝物。しつこく眺めて、欲しさのあまりに貼りついていた。
むろん個人の手に入るものではないから、そのときショップでこの文様を写した大判ハンカチを購入。今も壁に掛けてある。本当に今もどきどきする。1986年のトキメキは今も活きている。
雀らしき小鳥たちが花びらの上に四羽並ぶ。nec654-2.jpg
唐代の歓び。千二百年後にはモリス商会も鳥と花の楽しい世界を生み出す。

後日手に入れた画像nec736.jpg
雀たち。nec736-1.jpg

平螺鈿背円鏡 附 緋絁帯 へいらでんはいのえんきょう 附 ひのあしぎぬのおび  1999年
こちらもまた花の宝石。
実はこの宝物は1230年に盗難に遭い、何枚かが砕けてしまったのだ。
そして明治になり1896年にこのように修復。今ならその技術は、北村昭斎さんくらいしか持たないかもしれない。
その破片も展示されている。
平螺鈿背円鏡残欠 へいらでんはいのえんきょうざんけつ。初めて世に出た。
そして鏡の箱もある。
漆皮箱 しっぴばこ 1999年 大事に守られてきたのだ。
nec656.jpg

鳥毛帖成文書屛風 とりげじょうせいぶんしょのびょうぶ 第1扇=1979年 第4扇=1977年(ともに1990年・東博)
鳥毛文字の屛風。字は隷書体に近いのかな。可愛いふくよかさがある。褪色しているが緑と朱との二色。「種好田良易以・・・」「父母不愛不孝之子・・・」

鹿草木夾纈屛風 しかくさききょうけちのびょうぶ 1998年
これは板締め染めのものを屛風仕立てにしたもので、木を挟んで鹿が向き合う図。鹿の子もよく出ている。
何でも同じ染物は17あるそうだ。かなり断片になっているものも一緒に並べている。
そちらは1950年以来の展示だとか。襤褸に近くなっているが、貴重な宝物。
そしてその屏風を収納する袋もある。かなり大きい。
揩布屛風袋 すりぬののびょうぶぶくろ 1974年

nec656-1.jpg

菴室草木鶴夾纈屛風 あんしつくさきつるきょうけちのびょうぶ 1956年
夾纈染とは板締め染めということらしい。色んな染の技法がある。上部に庵室があり、そこに二人の人物が見え、真ん中に草木。しかし鶴はわからなかった。
その袋もまたある。
揩布屛風袋 すりぬののびょうぶぶくろ1956年
同年の展示。半世紀以上前に出たのか。

檜和琴 附 玳瑁絵 ひのきのわごん 附 たいまいえ 1997年
「やまとごと」と中国の琴とは異なる。この少し前の時代、大伴旅人は当時の左大臣・藤原房前に見事な和琴を贈ったそうだ。
本体のサイドに8枚ずつの玳瑁(実は牛の角らしい)の絵のプレートを貼っている。
その絵は1.5x10cm大で、それぞれ花・鳥・虫などが描かれている。鹿・兎・山の絵もあった。実際に貼られたままのものはさすがに裸眼では見えない。細い墨絵である。
琴の両端にも玳瑁絵があり、そちらは左右ともに花の絵。琴本体には綺麗な螺鈿が鏤められている。

なにやら音階の歪みを伴うドレミが聴こえる。宝物の尺八と横笛とを実際に演奏した(のか?)音を流しているのだが、元来が西洋音階とと異なるので、妙な具合になっている。
それならいっそ当時唐で流行した音曲の譜面で活きてるものをアレンジしたのを流した方がよかったのではないか。
尺八は1998年、横笛は1999年以来。
なお、その奏者の衣裳もあった。
笛吹袍 ふえふきのほう 2002年

当然ながら音楽に伴ってそれを背景に踊るためのものも展示されている。
伎楽面 酔胡従 ぎがくめん すいこじゅう 1958年(1959年・東博)
伎楽面 治道 ぎがくめん ちどう 1960年
伎楽面 太孤父 ぎがくめん たいこふ 初出陳
わぁ、なんだか凄い。先般龍谷ミュージアムでお練りの展覧会で巨大被り物系仮面を色々見て、ヒーーッとなったことを思い出したわい。

娯楽も一つ。
投壺 とうこ そして 投壺矢 とうこのや ともに2002年
これは何かと言うと、投げ矢の壺とその矢が8本。
形だけ見れば壺は南宋あたりの出土品にも見える。室内娯楽。
輪投げ、投扇興のお仲間と言うてええのかな。


漆金薄絵盤 附 蓮弁 うるしきんぱくえのばん 附 れんべん(香印坐)
nec653.jpg
これを見るのに行列の人々。わたしは並ぶのだめ人なので二重目で見る。
かなり細かい。飛天がにこにこする絵があり、それが特にお気に入り。

黒漆塗香印押型盤 くろうるしぬりこういんのおしがたばん(香印の押型)
黒漆塗平盆 くろうるしぬりひらぼん(香印の受け皿) いずれも1990年
これは押し型をみただけではよくわからなかった。倶利文の変形のようにも見えてなかなか可愛いのだが、どう使うのかと思ったら、パネル展示があった。
日本香堂の協力を得て、使用法の再現が説明されている。
まずお香の灰をその倶利の鋳鉄の押し型盤のところに敷き詰める。
次にそれを綺麗に均してからひっくり返す。
台の上に倶利文様の凸が浮き上がる。そこへ火をつける。
なるほど~~~

白石火舎 はくせきのかしゃ 1997年
大理石の香炉でライオン5頭が「必死のぱっち」で香炉を持ち上げている。
可愛いし勇ましい。縁を大きい四角な歯で噛みながら、太い前足でググーッと持ち上げ、後ろ足で懸命に爪先立ち。働くライオンさんたち。
みんな2.5頭身くらい。nec655.jpg

密陀絵盆 みつだえのぼん 1996年
これは油絵を施した盆で、ほかでも時折見かける。絵はしかしもうわからない。だが、裏側の黒地に大まかな花の絵が描かれているのはよく見える。

漆彩絵花形皿 附 旧脚 うるしさいえのはながたざら 附 きゅうきゃく 1999年
複合型・花形の脚付き皿で、真ん中に四弁の花、それにくっついて四辺に花皿。それぞれになんらかの供え物が載せれる。

ふと壁面を見ると実物大のクジラのひげの写真があった。
そう、クジラは余すところなく使える存在なのだ。
鯨鬚金銀絵如意 げいしゅきんぎんえのにょい
黒柿蘇芳染金銀絵如意箱 くろがきすおうぞめきんぎんえのにょいばこ 2002年
二つ揃って11年ぶりのお出まし。霊芝雲の絵が描かれていた如意。
箱は花柄で☆型の鋲が打ってある。

蘇芳地金銀絵箱 すおうじきんぎんえのはこ 1999年
蓋には猛禽と虫と花。本体サイドにはインコらしき鳥たち。可愛らしい。
嘴と羽の感じが違うから勝手に猛禽とインコに分けたが、本当は知らない。
nec654-3.jpg

彩絵長花形几 附 白綾几褥 さいえのちょうはながたき 附 しろあやのきじょく2001年
本体はモコモコした花形で縁に花柄がついているところなぞは、バイアステープを巻いて回ったかのよう。脚も吉祥な花柄文つき。

夾纈羅几褥 きょうけちらのきじょく 2002年
花に囲まれて座す鹿の文様がある。平和な世界を感じさせる。唐をこえて天竺をこえてイスラーム文化すら感じる雰囲気。

ミニチュアを二つばかりみる。中国の明器とはまた違うと思うが。

金銀絵小合子 きんぎんえのしょうごうす 
紫檀銀絵小墨斗 附 旧糸車 したんぎんえのしょうぼくと 附 きゅういとぐるま
先のはふたもので形は仏具の百万塔陀羅尼でも入ってそうなもの。ともに2000年。

これはミニチュアではないが、小さな刀子。
斑犀把金銀鞘刀子 はんさいのつかきんぎんのさやのとうす 1999年
斑犀把紅牙撥鏤鞘刀子 はんさいのつかこうげばちるのさやのとうす1994年
それぞれ繊細な作り。茜色に染まった把が印象的。
こちらは色が違う。
白牙把水角鞘小三合刀子 はくげのつかすいかくのさやのしょうさんごうとうす
その模造品もある。三本組のもの。

nec654.jpg


宮中では既に色々な行事を執り行っていた。
卯日の儀式用のものがいくつか。
三十足几 さんじゅっそくき 1997年
これはテーブルで高さで言うと演壇用に見える。そして天板を支える足が30本の細い角材の集合体。なんだかすごくかっこいい。欲しくなる構造。

黄地花文臈纈羅 きじかもんろうけちのら 初出陳
これは机にかける敷物。その残片は1997年以来の出陳。本体は出なかったのに。

椿杖 つばきのつえ 1997年
儀式用の杖が二つ。木の枝を細く長く。椿が奈良時代に愛されていたことを想う。


ここからは文書がメイン。
播磨国郡稲帳、備中国大税負死亡人帳、周防国正税帳、近江国志何郡古市郷計帳手実 1995年などなど。字は案外アバウトに書かれている。

鍵などがある。みんな初出陳。
nec656-2.jpg

正倉院古鑰 しょうそういんのこやく 正倉院正倉の錠と鍵。これは江戸時代のもので海老錠と言われるもの。
鑰匙 やくし また別な鍵。

古櫃 こき 宝物の収納容器。脚なしでしょえるような形。封印なのか紙に「辰中 天保改」とある。
古櫃 こき こちらは1995年。紙には「明治五年改」。☆鋲つき。
慶長櫃 けいちょうき 初出陳 これは中に徳川家康が作らせた由が書かれている。ラベルは明治25年に調査したというような意味のもの。

布の残欠などを見る。
緑地唐草襷花文錦 みどりじからくさたすきかもんのにしき 初出陳
緑地霰花文錦 みどりじあられかもんにしき 1999年
樹下鳳凰双羊文白綾 じゅかほうおうそうようもんしろあや 1999年
花喰鳥刺繡裂残片 はなくいどりのししゅうぎれざんぺん 1999年
それぞれ凝っている。最後のものは鳳凰らしい。

聖語蔵からはお経。和様の書以前の唐様の書で端正に書かれている。みんな初出陳。
大乗阿毘達磨雑集論 巻第十四 だいじょうあびだつまぞうしゅうろん
冒頭に阿毘達磨とある。ビの字は正確には田ヘンにツクリが比で書かれた字。

毘邪娑問経 巻上 びやしゃもんきょう 光明皇后御願経
いわゆる五月一日経の一つ。いい文字の列び。目についた一文を抜き出してみる。
「此身爛到地獄門猶更…」

摩訶僧祇律 巻第一 まかそうぎりつ 今更一部一切経の一つ。

本当に毎年目が開かれる思いのする、ありがたい展示なのだった。
最後に今年のスタンプをご紹介する。BXfd8t5CMAAKY3b.jpg


また来年も来よう。
関連記事
スポンサーサイト



コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア