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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

白檮廬(はくとうろ)コレクション-中国古陶磁清玩

日頃「常設」として見ている作品も、ある一定の法則のもとで並べ替えがあったり、ある企画のもとに集められたりすると、途端に違う顔を見せることが少なくない。
その顔の変容が見たくていそいそと出かけるのだ。

東洋陶磁美術館は安宅コレクション・李コレクションなどの偉大な個人コレクターの審美眼で集められた作品で、成り立っている。
それらがここに収められた理由は様々だが、前者は住友グループのご厚意、後者は李さんの多大なご厚意によるものだ。
そして今回は白檮廬コレクションの中国陶磁器を存分に楽しませてもらう機会に恵まれた。
この白檮廬コレクションは奈良のコレクターからの寄贈品。
大阪の美術館は天王寺の美術館もそうだが、<市民からの贈り物>で成り立っている、と言っても過言ではない。
文化破壊者たる為政者が思いつきで不要な嘴を突っ込んで火傷を負うのは、当然のことなのだ。

nec657.jpg

さて、前回から少し間をおいて来館すると、多少中の配置が変わっていた。
これについては実際に来館されて確認なさることをお勧めする。
まずは鼻煙壺を見る。
不透明のガラスの美を尊んだ感性は陶磁器にも反映する。

次に安宅コレクションへ向かう。
丁度ボランティアによる解説の最中。
そもそも人の話を聞くのがニガテなので申し訳ないがパスする。

わたしがこの世で一番好きな高麗青磁の名品の陶板が出ていた。柳のもとで楽しく遊ぶ水鳥たちである。
鶴でも鷺でもどちらでもいい。どちらかといえば鷺の方がいい。
顧歩・唳天・啄苔・疎翎・舞風・警露という6つの動きを見せているという
わたしはこの陶板がこれまで生き延びてきた軌跡を・奇跡を想う。
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やきものは技法についてはきちんとヒトサマの話も聞き、質疑応答もさせてもらいたいが、鑑賞するのが目的の時は、誰の声も聞きたくないのだ。
絵を見るときはしばしば妄想に駆られるが、高麗青磁と対峙するときばかりは、その対象のことしか考えない。
これが粉青沙器だとまた妄想に駆られ、色々と邪念にまみれもする。

なお安宅コレクションについては、以前に「安宅コレクション展」の感想を置いている。

今回の初見は羅漢の首二つ。高麗青磁でともに12世紀だったか。表情も別々でどこか民画風な面白味がある。これ、首が妙に断ち切れているから、もとは胴もあったかもしれない。

黒高麗の梅瓶を見る。昔は関心がなかったが、近年この黒高麗の美に惹かれるようになった。肩の辺りに雲鶴文。こちらへ飛んでくるような。シックでいい感じ。
シックと言うものに惹かれる年頃になってきたのか、わたしも。

それにしても同時代でありながらも、全く違う感性が活き、そしてそれが後世に共に生き延びているのは素晴らしい。

折枝文の瓶がある。こちらは蒲の穂綿が垂れ下がったようなもので、いくつもだらりだらり。まぁ絵としてはあんまり好みではないのだが、器の表面に描かれていると、「ええなあ」と思う所が不思議。

蝶牡丹文の浄瓶があるが、蝶と言うよりトンボに見える。トンボの目玉が丸くて可愛いが、あの長い線は蝶の舌かもしれない。

時代は下り、鉄砂龍文壺のファンキーな龍を見る。むろん龍と言う存在が東アジア世界においてどのような価値を持つかは、今さら言うを待たない。
西洋のドラゴンとは違うのだ。
まつ毛があり、大きな丸い目を見開いて、可愛い牙を見せている龍。龍の手の肉球は見えなかった。

15~16世紀の粉青をみる。
鉄絵水禽文がある。ワイルドな鳥が花を踏みしだくような絵柄。二羽の鳥が瓶の胴回りにいる。

19世紀前半の白磁ではないものを見る。
瑠璃地花唐草瓶 これ、両耳がカエルづらした目の大きな動物だなと思ったら、張り出した体の下の瓶本体になにやら伸びるものが。尻尾ぽい。ということは…リス?リスなのか。
なんだかイメージが違いましたな~~


さていよいよ白檮廬コレクション。
新石器時代から清朝までのやきものが集まっている。
その新石器時代の壷、形はともかく絵柄と色がアールデコ風なかっこよさがある。モダンな文様に見えた。

緑釉壷の一つが、余りに長く地中に埋もれていたために釉薬の化学変化が起こって、銀色に輝いている。
本当の銀は黒くなるのに、緑が銀になる。
これはとても面白い現象だと思う。特に素人のわたしには神秘的な装いの変化に思える。

北宋 耀州青磁刻花蓮弁文碗 折り重なる菱形の花。花弁の美。オリーブグリーンの碗。

金代の澱青釉盤 薄青に貫入の綺麗な盤。

中国はガラスも不透明なものを愛する。玉への偏愛がそうした意識を生み出したのか。
「失透性の明るさ」と解説にある。それを生み出すのは、青磁釉に珪酸と燐とを混ぜたもの。

唐の三彩印花花文枕 これは小さい枕で腕用の枕らしい。以前にもほかで見ているから、ポピュラーなものだったのだろう。可愛い花柄が真ん中にある。大安寺からもたくさん出土している。

菊花文の可愛い絵柄もある。金から元くらいのもの。
大振りな花。けっこう大胆。

金から元の黒釉刻花にいいものが多い。いずれも花柄が可愛い。サイズもちょうどいい。

禾目天目 キラキラきらきら流星群。見込みに向かって降り注ぐ。

雍正帝の頃に生まれた茶碗が二つ。
黄色と天青色のコンビ。とてもさわやかな色合いで、今風。
粉彩の可愛さは今の日本の洋皿に近いと思う。

最後に急須がきた。ほんと、この急須の可愛さは出光で教わって以来、ずっと心に生きている。
ああ、可愛いなあ。


李コレクションへ向かう。
今回は12世紀の青磁陰刻蓮弁がとても気に入った。
見込みの蓮がドイツの画家の絵のように見えた。


いい気持ちで見て回ったらもうお昼になっていた。
あっという間にこんな時間。
いいものを見ると時間のたつのが早い。

11/4まで。



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