美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

宮川長春展 前期

宮川長春の特別展が大和文華館で開催されている。
どうも日本初の本格的な回顧展らしい。
会期は一か月ほどだが、前後期と分かれている。
宮川長春は初期のころは菱川師宣派のような絵を描き、やがてスタイルを決めた。
一貫して肉筆浮世絵のみで作品を生み出し続け、弟子も肉筆の達者がいる。

元禄後期から宝永そして享保までの30余年の間の作品が集められている。
所蔵先も様々で、それだけでも華々しいくらいだ。
美人風俗図だけに一命をささげた長春の一代記を読むように、その残した絵を見る。


最初に「蚊帳美人図」を見る。三点並ぶ絵。個人・個人・太田記念のもの。
構図はほぼ同一。蚊帳から寝そべったまま半身乗り出し、頬杖をついて物思いに耽る美人。
着物や布団や小物の柄がそれぞれ違うくらいが大きな差異で、あとはちょっとばかり表情が違うくらい。
にんまり ・ふ~ッ… ・うむ。
こんな感じに違う。nec659-2.jpg


同じ構図の絵が大変多く、マイナーチェンジしたものが並ぶ。髪型が違うものや手の位置が違うものといったのはわりとはっきりしているが、「着せ替え」したようなものも多い。
年代により差異もあるが、段々とイライラしてきた。
メモを取っていたがそれに何の意味があるのか、と思いだすともぉ駄目である。
メモには着物の柄の違いや髪型のことも書いているが、ここで個別に挙げてゆく気にはならない。
それにしてもきっとこれなどは本当にごく一部だと思う。
生涯に描いた立ち美人の数だけ、衣裳や髪型や装身具が微妙に違うに違いない。
nec658.jpg

ファッションショーだと思うべきかもしれなかった。
そこに気付いた途端、飽き始めていたのが打って変わって、楽しくなってきた。
尤もわたしは着せ替え人形を想っているのだが。

タボをぐるっと巻き上げた髪型もあり、こういうのは今でもあるなあと思ったり。
豊かな頬に薄い微笑。

若衆図 梶文をつけているが、名前の知れない人。なかなか魅力的。

雪の中を道中する太夫図などでは現実にはありえない構図を採ることで、面白さを優先したりするもする。

万歳と才蔵も見立てで描いている。
春信なども描いている。みんな見立てが大好きなのだ。

歳旦の遊女と禿図 これは2008年に初めて世に出たそうだ。松飾を見る二人。松師の仕事は正月に集中する。
薩摩島津家の殿が、帖佐島津家の家老へ拝領つかわしめたものらしい。
長春の絵はそうした贈り物にも使われるような存在だったのだ。

柳下腰掛美人図 これこそが長春の専売特許。立ち美人図だと懐月堂一派もよく描くので、どれだろうと後世のものは色々思い浮かべるが、柳の下の床几でくつろぐお姉さんの肉筆画、というと「ああ長春か」となる。
実際色んなところが所蔵している。

梅の下にいるのは羅浮仙をイメージしたものだとも言われるが、江戸時代の教養の高さには、常々感心するばかりだ。

遊女聞香図 東博と熊本のが来ていた。どちらも以前から見ている。いい感じ。
実のところいちばん女の肉体を感じさせるのは、この構図だと思う。

見立て図がまた色々で出て来た。
与一、小倉山、許由巣父、東下り、江口などなど。

形見の駒 これは虎御前と化粧坂の少将の二人が恋人の残した馬を曳く図。五郎十郎どちらの愛馬かはしらない。
この二人は曽我兄弟それぞれの愛人だが、虎御前はどうやら実在らしい。彼女は兄の方の十郎の恋人で「吾妻鏡」にも名が出ている。

柳下流水図 川に流れる「嘘」と「信」(まこと)の文字を拾う人々。

風俗図巻 nec659-1.jpg
のんべんだらりと楽しそう。

江戸風俗図巻 歌舞伎図は色子と男とがいちゃいちゃ。隅田川の舟ではノビをする男がぶさかわ。女もいるし女形もいる。花火ばちばち。

風俗図巻 山伏風な風貌の小人がいる。左端ではカップルいちゃいちゃ。

ほかの屏風などもおもしろい。
こういう人もいる。nec659.jpg

物語図屏風 詞書なしなので展開もよくわからない。泣いたり川で溺れたりの女たち。

後期はもう始まっていて、11/17まで。
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