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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

円山応挙展

承天閣美術館の円山応挙展の前期を見に行った。
萬野コレクションだった名品がメインである。

牡丹孔雀図 なつかしい。御堂筋に萬野美術館があったころ、この孔雀は王様として辺りを睥睨していた。今もその様子は変わらない。羽を開くことなくとも、この孔雀は王なのだった。

遊君図 座して簪を触る。白い着物に派手な帯、優美な女。祇園なのか島原なのか、わたしにはわからないが多分、島原のひと。

雪中山水図屏風 これはバランスの怖い絵で、絵が悪いのではなく、絵がうますぎて、描かれた景色のバランスの悪さにハラハラさせられる、という情景。つまり岩と岩とをつなぐ細すぎる橋、そこをゆく人を描いているのだ。しかも底に近いところの建物から、そんな橋を見上げる人までいる。なかなか怖い構図。

白象唐子図屏風 芦雪 弟子の芦雪の絵がある。
この絵はMIHOにも出ていたが、とてもいい絵。大きな象さんは子供らのされるままに優しく見守る。堀内誠一の「ゾウのぐるんぱ」かこのゾウかというくらい、子供らに優しい。
右には30人の子供、左には川遊びする10人の子供らと3匹のわんこ。
楽しくていい感じ。幸せ。

狗子朝顔雀図 芦雪 対幅だが、もう一つはパス。こちらは朝顔を前にしたわんころたちと、朝顔のツル巻きの棒の上に止まる雀と。みんなやっぱり可愛い。

獅子図屏風 芦雪 唐獅子が二頭。サササッと描いている。勢いある絵。エネルギッシュ。
元は円満院のものだったらしい。

再び応挙。
三井南家に伝わる資料などが出ている。

堀川夜景図 窓や提灯や空のあちこちに穴を開けて薄紙を貼って、裏から光を当てたら、ピカーッといい感じの楽しい夜の賑わいになる工夫がされている。

山水図帖 富士山を描く。
大体こうしたものが残されているのも応挙先生の実力が素晴らしかったから。

大瀑布図 ああ、この絵は昔「萬野美術」として篠山紀信が萬野山荘の庭園において撮影したものだった。それがあまりに素晴らしくて、今も心に残っている。せつない。

今回の展示では本当のメインは七難七福図である。
円満院の祐常上人は憂えていて、人の世の本当の苦しみを地獄絵といった観念的なものでなく、現実の苦しさで表現しようとしていた。
しかし絵が描けない上人は腹案を練り続け、いつか自分の考えを完璧な形にしてくれる絵師が現れるのを待ち続けていた。そこへとうとう応挙が現れたのである。
応挙は藤原姓をこのとき使うている。36歳で三年がかりでこの三巻を完成させた。
わたしはこれまで萬野時代の頃にばらばらと見ていたが、全巻見るのは今回が初めて。
ちょっとばかり細かいことを書く。
なお、上人は先の事情を巻の巻頭に記しているのみならず、自身で指図書をも書いている。
応挙はマンガで言えば作画担当、上人は原作者という立場である。
人災の絵など、上人はなかなかうまいと思った。

まず福寿巻がある。こちらはのんびりした人々の様子が明るく描かれている。
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公武どちらもにこにこのんびり。楽しいお花見などをしている。
絵は萬野時代にわたしが購入した絵葉書。
貴人の還暦祝い。イセエビは本物で偽装されたものではない。
大僧正も楽しそう。庭には鶴もいる。舟遊びする子供らには魚たちが寄ってくる。
厨房は忙しくて大変。イセエビ、タイ、アワビ、マツタケ、鳥もある。みんなもう働く働く。米もどんどん来る来る。まずはめでたい図。

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いよいよ人災である。
冒頭はこの絵。民家に強盗の一段が押し込む。身包み剥がすだけでなく、犯したり殺したり。あんな木に髪をくくりつけられては困る。松に吊られたり色々。
子供は小脇に抱えられていて、これは人買いにでも売られるか、殺されるかか。

続きもひどい。二人がかりで弄んだり、また少年も裸に剥いて塀に縛っている。こちらにも手をかけたのかもしれない。
さらに「もっと金を出せ」とばかりに子供を井戸へ落とすぞと脅迫している。
切り殺されたものは臓物をばら撒いている。

旅先でも強盗被害に遭う。裸にされて泣く女。崖のところで今から身包み剥がされる女たちもいる。木に縛り付けられる夫婦もいる。子供の着物も剥ぎ取られ、若い女は攫われてゆく。

心中 相対死に。男が刀で女を刺し自らも貫く。血の海の中で事切れている二人。検視のためにか女の着物をはぐ役人。しかし検視官は傷ましそうな目で二人を見ている。
心中は日本特有の行為。

水責め 拷問である。柱に縛りつけ、口に猿轡を掛けさせつつも、どんどん水を注ぎ続ける。これをやられるともう終わりである。柄杓の水は延々と注がれる。

切腹 視に装束の男の周囲の結界には「修行門」の張り紙がある。真っ青になった武士。

一家心中 何があったのか。松にぶら下がる女。首を刺して事切れる老女。経帷子には地の手形。母子も死んでいる。前髪立ちの少年が泣きながら小さい弟を今から切ろうとしている。弟は何もわからぬながらも「南無阿弥陀仏」と手を合わせる。

火責め 放火犯の処刑である。江戸時代は必ず放火犯は死刑、それも無惨な殺し方をすることに決まっていた。杭に首輪をつけられ、周囲に柴が山に詰まれて放火され、そこで悶え死んでゆくのだ。罪深さは消えない。

獄門刑 さらし首。斬ったところ、斬るところ。

磔刑 脇腹を槍で刺すのだが、やっぱりイヤなので顔を背けつつ。キの字型の十字架に貼り付けられている罪人。

のこぎり引き 中世からこれは必ず竹の鋸引きと決まっているが、やる方もイヤなので俯く。処刑されるものの表情がすさまじい。

牛裂きの刑 極悪人専用の処刑。牛に四肢をつながれ、その牛の尻には松明。火をつけられて牛は熱くて走り出す。ぶち切れる四肢と内臓、骨まであらわになっている。
眼をひん剥いて死んでゆく。凄まじい処刑。

ああ、凄いな。

天災の巻。
この絵は応挙の摸本から持ってきた。
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地震 みんなあわてる。ひっくり返る。藪の中へ逃げ込む人々もいる。わんころもにゃんこもひっくり返る。
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大雨 蛇も流される。いっぱいいる。びっくりした。人も無論・・・・・・

火事 凄い業火。地獄草紙や北野天神絵巻同様の業火である。

他にも台風、船の難破、落雷などが続く。

大鷲に子供をさらわれる農家もある。家の中には大津絵の藤娘の絵もあり、和やかそうな家庭だったのに。

狼に送られてヒーッとなる旅人。前にいる狼は人の腕を咥えている。

山道からは巨大なウワバミが出現する。逃げまどう人々。

本当に凄まじい災難の絵だった。

人物正写惣本 これは二つの巻物をあわせて一つに見るもので、二八(16)の前髪立ちの少年の後姿の裸体を描いている。少年の見返りの首。朱唇に指を添えるところに官能性が漂う。綺麗な背中からおしりである。
なにか一文が書いているがところどころ読めない文字があるのでここに記載できない。

とても見ごたえがあった。後期もとても楽しみ。前期は12/15まで。
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