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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

横山大観展 良き師、良き友  その1

横浜美術館の「横山大観展、良き師、良き友」展の後期に行った。
前期に行き損ねたのは惜しいが、その分後期を存分に楽しんだ。
展覧会のタイトル、わたしは勝手に「大観&hisフレンズ」とか呼んでいる。
五浦逼塞時代から復活時代の盟友たる菱田春草、木村武山、下村観山の三人は仲間外れになっているが、次回のハマ美の展覧会が観山展なので、もしかするとそっちで「観山&hisフレンズ」として出演するかもしれない、と妄想している。
当たるかどうかは知らない。
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観山の展覧会は90年代初頭に三越で見て以来だが、大観はなんだかんだと毎年見ない年はない。特別展でなくとも日本画を集めた企画展や常設展には大観がある。
多作だということもあるし、ある時期から「日本一の画家」という見なされ方をするようになり、多くが喜んで手に入れようとした。

90年の大観の生涯を伝記的ではなくサラリと描いて見せたのは、戸板康二だった。
彼の晩年の佳品「ぜいたく列伝」冒頭は大観の話だった。
明治元年生まれの、生涯「明治の書生っぽさ」をなくすことなく、絵と大酒で生きた大観を、現代の人はちょっと嫌う傾向もある。
確かに大仰な作品が目につくが、それが大観のすべてではない。
わたしなどは大観の小品に好きなものがかなり多い。
むしろ富士山を描いたものにはほぼ関心がわかない。しかしその当時、「日本人なら富士山に桜」でなければならぬ時代だったのだ。
大観には「明治の書生」のキモチが生涯その性根にあった。
思想も何もなく、その純粋な気持ちで乞われるまま富士山を描き、本人もそれが正しい道だと信じて<日本精神の象徴としての>富士山を描いたのだ。

今回の展覧会は当時もてはやされたそのあたりを措いて、大観の繊細な面を前面に繰り出し、機嫌よく仲間とつきあっていた様子を見せようとしてくれている。
そのようにわたしは理解している。

第一章 良き師との出会い:大観と天心
1-1 天心との出会い

横山大観 《仏頭写生》 東京藝術大学  こわいよう。巧いからこそ、こわい。

横山大観 《絵師草紙》(模写) 東京大学 大学院総合文化研究科  人々のリアルな表情が巧い。やはり古典を学ぶことは大切だとつくづく思う。

横山大観 《井筒》 広島県立美術館  可愛らしい二人の幼い子供。とてもカラフルな絵で和やかな心持ちになる。

村童観猿翁が前期に出ていた。これはわりとよく見るのでまぁいいか。

1-2 日本美術の理想に向けて

横山大観 《阿やめ(水鏡)》 横山大観記念館  89年に初めて池之端の記念館に行ったとき、この絵はがきを購入したように思う。
巨大なアヤメの花は現実にはあり得ないけれど、とてもこの絵は優しい風情があって好きだ。婦人の慎ましいながらもうっとりする表情が可愛い。
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横山大観 《月下牧童》 滋賀県立近代美術館  三人の子供ら。ロングでとらえる。のんびり楽しそう。

横山大観 《迷児》  この絵も昔記念館で絵はがき購入。現物を見るのは国立新美術館以来で、サイズがこんなに大きかったかと驚く。
東洋の三聖人+キリストもまざって、みんなで子供を取り囲む。
思想入り交じってなにを信ずるべきか戸惑う当時の日本をさりげなく指しているそうだ。
まぁ確かにこのメンバーはそんな人々か。nec682.jpg


横山大観 《観音図》 播磨屋本店  岩上美人。片方の胸がこぼれる。この絵は92年の「横山大観とその同士」展で見たのが最初だと思う。
横に広い顔。明治末からしばらくそんな顔が描かれている。

横山大観 《雪後》 富山県水墨美術館  ぼあ~ なんとなく ほっとする。

横山大観 《杜鵑》  遠目にはヘリコプターのようにも見える。

横山大観 《草廬三顧図》 横浜美術館  二階建ての家。二階にいる孔明。ロバなウマに乗る三人組。どことなく「大どろぼう ホッツェンプロッツ」な雰囲気がある。

横山大観 《水國之夜》 茨城県近代美術館  この絵は前々から好き。蘇州の楽しい夜。阿片を吸う人もいる。妓楼もにぎわっている。シルエットで描かれた人々。
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野間記念館にある山村耕花の蘇州の夜を描いた絵もいい。
渡辺はま子の歌う「夜来香」「支那の夜」、絵を見ているとそんな歌が浮かんでくる。

横山大観 《観音》 東京国立近代美術館  緑のインド菩提樹が綺麗。砂金袋のような形の花生に白蓮。綺麗な観音。「樹下美人」と同工異曲か。

横山大観 《虎渓三笑》 播磨屋本店  これはいわゆる「三匹のおっさん」by有川浩 というやつですなwww

前期に出ていて見損ねたが、まぁ記憶の画像を引っ張り出そう、というのが以下の作品。
横山大観 《屈原》 嚴島神社
横山大観 《黄昏―夏日四題の内》 敦井美術館
20年前に難波の高島屋で正月に名品展があったのを覚えている。

実は先の「阿やめ」や前期展示の「流燈」、それにもう一つの「流燈」や多くの「観音」などの美麗な婦人たちを見ていると、大観の美人画は柔らかで、ふくよかな優しさに満ちていて、とても魅力的だと思うのだ。
共に第一回目の文化勲章をうけた竹内栖鳳もそうだが、意外と美人画がいいことを忘れられない。もっと見たいと思うばかりだ。
本人の望むところは別としても。

第二章 良き友─紫紅、未醒、芋銭、溪仙:大正期のさらなる挑戦

2-1水墨と色彩

横山大観 《春曙・秋雨》 秋田県立近代美術館  春の朦朧としたところ、曙らしさがいい。

横山大観 《秋色》  今回のチラシ。鹿ップル。五年前の国立新美術館でもこの絵が愛された。槇に蔦と実り。カラフルで秋の喜びがあふれている。
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洛中洛外雨十題はこれまでばらばらに見ているが、今回は前後期で6点も出ている。
わたしが見たのは以下の3点。

《洛中洛外雨十題 三条大橋雨》 株式会社 常陽銀行  おお、今も残る火の見櫓。この時代から今も変わらずこの火の見櫓はある。

《洛中洛外雨十題 宇治川雷雨》 株式会社 常陽銀行  
《洛中洛外雨十題 八幡緑雨》 滋賀県立近代美術館   まあこの絵が一番わたしには近いものかもしれない。滋賀でたまに見るばかりでなく、絵はがきもある。

横山大観 《霊峰不二》 横浜美術館  後年の仰々しいのと違い、どことなくポケッと現れた富士山。タイトルは霊峰とあるが、どこかとぼけたような味わいは、「ただの富士山」というのがふさわしい。

横山大観 《夜》 横山大観記念館  三日月。竹藪にミミズク。どうぶつ好きの大観の家にいた奴か。

横山大観・小杉未醒(放菴)《黄初平・趙丙》  おっちゃん二人。どうもわたしは黄初平と言えば若いままというイメージがあるのだが、ここにいるのはおっちゃん二人である。

横山大観・下村観山・今村紫紅・小杉未醒(放菴)合作 東京国立博物館
《東海道五十三次絵巻》(第五巻、第七巻)  大正四年のツアー。「当時珍しいマント」と説明があるが、これはトンビ(インバネス)で、大正四年頃にはもうかなり普及していたのだが。のんびりといい旅。
このメンバーを見ていると、文学者たちが旅にでた「五足の草鞋」だったか、あれを思い出す。もしくは明治末のまだまだ若き志賀直哉・里見弴・木下利玄の気ままな旅を。
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今村紫紅 《海の幸山の幸》 石橋財団石橋美術館  右に豊玉姫と侍女がいる。姫は釣り竿を手にしている。魚籠のような壷を持つ侍女。髪に花などを差している。左にいるのは山幸彦。朴の木の下で弓矢をつがえようとしている。

今村紫紅 《熱国之巻 朝之巻 夕之巻》 東京国立博物館  開き換えで、夕方のオレンジ色の景色が出た。しばしばトーハクで見ているが、やはりこの場で見るとまた違った趣がある。
にぎやかな様子で、人々だけでなく山羊もいる。井戸の周りもいい。

今村紫紅 《湯の宿》 横浜美術館  ♪ババンババンバンバン…

小杉未醒(放菴) 《北馬南船帖》 横山大観記念館  各地を取材したもの。タイトルがうまい。プレゼントのために描いたそうな。瀞峡が好きだ。

冨田溪仙 《かひこの森》 福岡県立美術館  蚕養神社。カラスが多い。鬱蒼とした森。秋のある日。

冨田溪仙 《祇園夜桜》 横山大観記念館  この絵は大観が自腹を切って購入したもの。そして長く飾っていたそうだ。
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長くなりすぎるので一旦ここまで。
大勢のお客さんがいて大混雑していたが、関東の方は京都の渓仙の絵などを見る機会が少ないので、この機会に堪能されれば、と思う。
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