湯木美術館の秋期特別展「茶の湯と料理の器」後期を見に行った。
毎回楽しく見ているが、カラの器を見ても涎が湧くのは、ここのコレクションくらいだ。
どの作品を見ても「あぁこれに吉兆湯木貞一がなにかしらご馳走を盛りつけて・・・」と妄想が湧くのだ。
実際、盛りつけ写真がパネル展示されていたりする。
それを見るとくらくらする。
するだけではなく、ガラス越しに展示される実物より、写真を延々と眺め、延々にサンズイがついて涎々になり、ふらふらになるのだった。

黄瀬戸向付 銘 みほつくし 鴻池家伝来 銘は松永耳庵。油揚げ肌に胴紐一つ。見込みには花文・葉文、そこに緑がかかる。それを「胆礬」が現れる、というそうだ。
ついついわたしはこうした器には緑の葉ものを盛りつけたくなる。
織部花筏文向付 形がまた可愛らしい。両道に緑、中に白地に茶の二本線。そこに花筏。
高取焼掛分向付 八つ橋の半ばのような形。片身替わりで面白い景色。元和以降の製作らしい。
銹絵染付絵替筒向付 尾形深省 サインは尚古斎深省。(二条丁子屋町時代の名乗り)
乾山らしさのよく出た絵付け。光琳風といいつつも、すっかり乾山。
鶴、ワラビ、帆掛け船の群。槍梅などがそれぞれの筒碗の内外に描かれている。そして背景に太めの横線が入っていたりするので、それが趣になっている。まるで荒野にいるような。
鼠志野鷺文鉢 可愛さがあふれている。左側に鷺が立つ。
絵唐津沓形鉢 益田鈍翁所持 濃いグレー。歪みがすごい。
高取焼手鉢 白と茶色の分かれがある。ナマコ釉の窯変が3カ所ある。
利休形山折敷 三代中村宗哲 塗りがとてもきれい。
時代蒔絵大内飯・汁椀 赤に金銀のとりあわせ。
絵替金欄手向付 和田桐山 シカらしきものがいる。外は金欄手だが。内は染付。
青漆千鳥蒔絵煮物碗 リアルな千鳥の柄。それがエッシャー風に飛び続ける。
この碗に「からすみおろし焼餅入り ちしゃそう、金箔、粉山椒」が入っていた。
覚々斎好み網の絵酒次 この網パターンのが・・・なんだか意外。
朱引盃・盃台添 二代渡辺喜三郎 とても綺麗な朱だった。
青白磁刻花文鉢 北宋~元 輪花文で見込みに花。
祥瑞本捻鉢 明代 綺麗。これくらいの濃さが好きだ。
古染付山水文向付 五客の内 明代のやきもの。わたしはこの色の薄さがあまり好みでないの。祥瑞の方が好き。
ただこの向付にお造りが盛りつけられている。
タイの糸づくり、叩き薯、柚、山葵、栗イガ焼き、新銀杏、葛の葉。
これに先の乾山の筒向付にごはん。
赤地金欄手寒山拾得図向付 五客の内 広岡家伝来 1碗に3シーンが描かれている。
五彩青花龍文鉢 菱形で見込みに龍が。縁には雲文。側面には雲龍文。白・黄色・茶がメイン。
色絵三階松皿 深省 これは完全に初見だった。松形で中に松の絵を描く。緑と茶と。金彩も少しばかりあるようだが、わからない。
銹絵雪竹手鉢 仁阿弥道八 雪降りしきる景色。乾山写しではあるが、こちらの方が雪が激しいかもしれない。
オコゼの付け焼きを盛りつける吉兆。
尊敬していた不昧公は乾山の鉢に石カレイ切り焼きと水キス塩降り焼きを盛りつけた。
小林一三からの書状を軸ものにしている。朝茶に欠席のこと、ドクターストップがかかったこと、おわびに西山芳園の「くわい」絵を贈ること・・・
松永耳庵からの書状もある。こちらは乙亥年(1959)なのに丙午(1966)とサインがある。
嵐山吉兆での歓待のお礼と、小田原にオープンした耳庵記念館の件など。
さらにまたおいしそうなものを盛り付けた器があらわれた。
城端絵様絵替菜盛碗 佐野長寛 紅葉柄の碗には、鶉丸・焼餅・シメジ・わかな・金時人参・糸柚子。
展示ではそ知らぬ顔をしているが、かつてはそんなおいしそうなものを載せていたのである。
呉須染付芙蓉手大皿 明代 全体が芙蓉の花に見立てられている。水鳥たちが楽しそうにいる絵柄がいい。
まだまだいいものが多いが、ここまでにする。
何を見てもおいしそうな景色が浮かび、苦しいくらいだった。
12/15まで。
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時には まきやき(たまご)と大根おろしの日も・・・という
一節を 忘れられません。
しまつの日もありませんと しまりません・・・太りますね。
やっぱり湯木さんは大阪人ですから「しまつする」精神が身についてはるわけですねえ。
毎日がご馳走ではあかんもんです。
所帯が持ちませんし、なにより体に悪い。
空の器みながら、ごっつぉ妄想してヨダレたらすんが、いちばん財布にも健康にもええのでしたw