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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大浮世絵展 2

続き。
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第五章 浮世絵のさらなる展開
幕末の浮世絵師と上方の浮世絵師。やはりこの時代のが一番好きだ。

菊川英山 両国涼之図 三美人がリアルな姿態を見せる。

渓斎英泉 田川屋前の芸者 笹紅をつけた女。黄緑色の田川屋の門前にいる。

渓斎英泉 仮宅の遊女 一面藍摺り。背景も藍色。かっこいい。これは後摺り。

英泉 岐阻街道深谷之駅 簡素に描かれた人々。後ろにはシルエットで人々が表現。提灯もついている。
後摺りの方はその提灯のライトもないそうだ。

北斎 よつや十二そう 非常に広大。今の新宿御苑の一部だったか。滝まである。そういえば一度も御苑に入ったことないな、わたし。

風景画というものはすっかり景色が変わっていたとしても、見るものにそこへゆく気を起こさせるものだ。

富嶽三十六景からは凱風快晴、神奈川沖裏、甲州三島越、尾州不二見原が出ていた。
外人に圧倒的人気のある「波」は、特にフランスで愛された。ゴッホは波を爪に見立て、ドビュッシーは音楽を生み出した。
桶越しに見える富士、わたしはこれが好きだ。

北斎 紫陽花に燕 綺麗。↓方面に降下する燕。これは所蔵するベルリン国立アジア博物館の展覧会で見た気がする。もしくは「花と緑の博覧会」関係の展覧会か。

百物語も全部出ていた。これはこの一期と名古屋・山口のみ。わたしがいちばん好きなのは小はだ小平次、お岩さん。
さらやしきも好きだが、笑ひはんにゃは怖く、しうねんはイヤな感じ。

北斎 若衆図「蜀山人囲繞名蹟集」より 刀を差す美少年を横から描く。
「をみなへし なまめきたてる前よりも うしろめたしや 青きはかま腰」
ええ狂歌やな、蜀山人。ふふふ、思った通り衆道の歌と絵。いいねえ~

北斎 墨提三美人 肉筆画。籠で掬う一人、見る一人、タバコを手にする一人。
 
北斎 近世怪談 霜夜星 読み物の挿絵。北斎は挿絵が実に巧いと思う。これなども本当にいい。話は「かさね」もの。鏡に映る変な顔、かさねの亡魂も刀をかじったり。

広重 木曾海道六拾九次之内 拾九 洗馬  夜景。柳に風。葦の葉も揺れる。舟をこぐ人がいる。抒情とは風景の中に静かに人が溶け込むことをいうのかもしれない、と思うときがある。

江戸百もいくつか。
大はしあたけの夕立 ゴッホが模写したのだったっけ。雨の描写がすばらしい。日本の木版画の技術の高さはやはり凄い。

浅草田甫酉の町詣 例のにゃんこ。可愛いなあ。よくよく見ると、そばに蛸唐草の鉢があった。広重や国貞、国芳くらいから染付の鉢や皿が描かれるようになるな。

広重 近江八景之内 比良暮雪 遠景に雪。山が白くなって、川に小さな舟と人がいる。
音のない静かな世界に雪が降り積もる。

国貞 五節句之内 文月 切子灯篭の下で踊る女たち。揃いの浴衣で明るい風情。浴衣も大胆な四色大縞柄でいい感じ。

国芳 八犬伝之内芳流閣 これは名古屋市博の高木コレクション。色の出がいい。
高木コレクションは国芳の名品をたくさん持っていて、わたしも以前に大いに楽しませてもらった。

国芳 讃岐院眷属をして為朝をすくふ図 これも再来月の府中市美に出てくるが、いい絵だとつくづく思う。そうそう、以前府中市美で国芳展をしたとき、この巨大ワニザメの背中に豆絞りの猫が踊る看板を作ってたな。「猫もがんばってます」というのがよかった。
為朝、いい男に描かれている。

国芳 猫のあて字 うなぎ おいしそう~~♪ またうなぎの「ぎ」の字の「゛」がウナギのアタマの半助で出来てるのが面白いわな。ああ、ウナギ食べたくなってきた。

国芳 深見草獅子彩色 これは面白い。青の唐獅子と紅の唐獅子とをチーム分けして、顔を寄せ集めてそれぞれ青牡丹・紅牡丹を拵えてる!7:8の割合なのだが、可愛い!ブサカワやわ。獅子たちはガオ~っなのだが、それでもまとまってチーム一致協力してますがな。みんな表情もそれぞれ個性豊かで面白い。

歌川芳艶 木曾山中樋口兼光大猿退治 これは太田でも見たかな。ツタの絡まる大木と大猿の。師匠ほどの面白味には欠けるが、迫力ある絵。

葛飾応為 夜桜図 これはメナード美術館所蔵の名品の一つ。ぼんやりした暗い明るさというのが、江戸の夜には存在したのだ。短冊と女。
今年はどうやら応為(おえいさん)がブームになる一年らしい。
おえいさんを描いたマンガと言えばやっぱり杉浦日向子「百日紅」がいちばん好きだが、ほかにも上村一夫「狂人関係」、石ノ森章太郎「北斎」がある。
上村のおえいさんにはつつましさと情念とがあり、せつない。
石ノ森のおえいさんはやや典型的なキャラ造形で、そのあたりは面白くない。
江戸博の常設の江戸ゾーンに北斎とおえいさんの住まいがフィギュアとジオラマで再現されているが、そこにいるおえいさんは、「百日紅」のおえいさんよりさらに10歳ばかり上で、何を言い出すかしれたものではない顔つきである。

上方の絵も出ている。
祇園井特 太夫道中図屏風 太夫の前を行く振袖新造も可愛い。太夫は綺麗。井特にしてはひねりを加えない美人画である。

大坂では本職が浮世絵も描いたろうが、芝居好きで腕に覚えのあるものがしばしば巧い芝居や役者絵を描いている。

松好斎半兵衛 二世嵐雛助の放駒長吉・二世嵐吉三郎のぬれかみ長五郎 これは右が千葉市美、左が十母文庫所蔵品で、この機会に再会したらしい。いいことです。
久しぶりにこの芝居が観たくなった。

春好斎北洲 三世坂東三津五郎の大判事清澄・三世嵐小六の久我之助・三世中村松江の娘ひな鳥・三世中村歌右衛門の後室狭高  これは池田文庫の名品。好きな絵。妹背山の悲劇のカップルと悲しい親たち。一枚に二人ずつ父と息子、母と娘。上には今が盛りのピンクの櫻。
三世三津五郎は江戸で大人気の役者。三世歌右衛門は上方随一の役者で、番付に「カネル役者」という凄い称号で載った最後の人。
わたしは長いこと、この三世歌右衛門の錦絵の追っかけをしていた。今はある程度充実している。

歌川国員 五世坂東彦三郎の早野勘平・二世尾上菊次郎のおかる・二世中村仲助の鷺坂坂内 「道行旅路花婿」の舞台を描く。実際にこの配役で演じられたにしても、いつのことかは私は知らない。

滑稽浪花名所というシリーズものがある。
場所により絵師が異なる。
一鶯斎芳梅 桜ノ宮 杭に当たり小舟が沈む!!逆とんぼりになる女。
北粋亭芳豊 ざこば魚市 タコに捕まる人にウナギ大暴れに墨吐かれる人などなど。
市鶯斎芳梅 住吉 太鼓橋でこける人々。お嬢さんビビる。まぁ現実はここまで丸ないがなw

寿好堂よし国 西扇や雛咲太夫のえぼし着 これはまた美人。きりっとして眉の濃い美人。

木村黙老編・流光斎如圭、松好斎半兵衛ほか 芝翫帖 六歌仙の見立てか。


第六章 新たなるステージへ
明治から大正、昭和へ。

落合芳幾 東京両国川開之図 「京」の字がこの時代らしく口でなく日で書かれていた。にぎやか。菊五郎らが屋形船の屋根にいる。役者たちにハメている。イナセな風情。のりきりの菊、あら波の権などなど。

月岡芳年 報知新聞 第565号 絵が全面に出ているゴシップ記事。芳年は報知、芳幾は日日新聞で活躍した。
すごく今の時代と似ている明治初期の日常。
ストーカーになった男が離縁した元妻を殺す。すごい血しぶきなのは芳年だからというのもあるが、世間がそれを望んだというのがあるわな。

芳年 奥州安達がはらひとつ家の図 今気づいたが、逆さ吊りにした妊婦の腹を裂くために包丁研ぐのだが、タイトルは「安達が原」と妊婦の腹一つをかけたタイトルなのだな、これは。ひとつ家に遊女も寝たり萩と月
その一つ家なのだが、ここには鬼婆。外には夕顔。
この展覧会を見ているとき、欧米人の子供らが20人くらいきて、わいわい言いながら見てたのだが、この絵はさすがにみんなシーンとなってしまった。
先生が「スケアリ・・・」とつぶやいたが、確かに怖いですわな。まぁあんまり小さい子は見ん方がよろしい。

芳年 月百姿 わたしが見たときは「夕顔」と「烟中月」が出ていた。

小林清親 画布に猫 これは好きな絵。ユーモアと猫の可愛さを実感する一枚。

河鍋暁斎 元禄日本錦 け 倉橋伝助武幸 や 岡島八十右衛門常樹  力強い。赤穂義士。明治18~19年頃の作。

楊州周延 欧州管弦楽合奏之図 優美な人々。「岩間の清水」を合奏する。楽譜も見える。
周延は上流階級の人々を描いたものに名品が多い。

周延 千代田城の大奥 カルタどりをする女たち。見るからに上品。

豊原国周 見立三勇志 西南の役の三人を団菊左で描く。テーブルについているのだが、ガラスコップやゼリーまたはババロアらしきものも描かれている。

橋口五葉 化粧の女 ああ、やはり綺麗だな。渡邊木版の仕事。

伊東深水 対鏡 やっぱりこの作品は本当にいい。配色も絵柄も構図も何もかも。

山村耕花 踊り 上海ニューカルトン所見 これは千葉市美「日本の版画」シリーズのチラシにも選ばれた作品だった。1920年代のモガのかっこよさが出ている。

川瀬巴水 塩原おかね路 夕暮れ。人と馬が黙って歩く。今日もやっと終わったのだ。

巴水 日本橋(夜明け) これは江戸博所蔵の分。20年くらい前、東京を近代版画で描く展覧会があり、そのときのチケットはこの絵だった。
千葉市でも大田区でも巴水の回顧展が開催されているが、そこでもこの絵は展示されている。大切な一枚。

版画の面白さをもじっくりと楽しめる展覧会だった。
二月にも再訪するが、そちらもとても楽しみ。
「大」を冠するにふさわしい展覧会だった。
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