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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

七福神 幸福・富貴・長寿を願って

初めて熱田神宮へ出かけた。
ヤマトタケルの草薙剣はここにあったのだったかとか、あつた蓬莱軒はここのそばだったなとか、そんなことを考えながら、主神がどなたかも弁えずに出かけ、ちょっとお参りもしてから、宝物館へ向かった。
新春特別展「七福神 幸福・富貴・長寿を願って」
これを見に来たのだ。1390661561695.jpg


初めて来たから勝手も分からなかったが、展示品は毎月入れ替えとか。今回も東博、久保惣、敦賀市博、長浜城歴博、早稲田大学図書館などの遠方から借りている作品がたんとある。近いところで西尾市岩瀬文庫、こちらの熱田神宮所蔵品はむろん出ているが、意外なくらい豊かなラインナップで、これは小規模ながら、中部地方の隠れた立派なミュージアムなのだと知った。

1.幸福への憧憬
まずは本が出ている。

版本の古事記や日本書紀がある。日本の最初期の様子を描いた書物から、日本人の幸福感のかたちを提示する。
海の向こうから寄り来る幸せ。

大日本国開闢由来記 神代から鎌倉時代までの故事来歴を記した本で、国芳の挿絵がある。
海の向こうから少名彦命が波の上に立ってやってくるのを、大国主命らがお迎えする。常世から来られ、やがて常世へ去る少名彦命。描かれた少名彦命はごく小さく、これを見てわたしは、鏡花「山海評判記」の挿絵に現れたオシラ様を思い出した。
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少名彦神像 織田杏斎 明治の絵。そこには「酒造大祖」とも書かれている。三輪神社や松尾大社といった神社の酒に関する話を思い出す。昼は人が作り、夜は神が造る酒。

少名彦は薬の神様でもあり、大阪の道修町で祀られている。
安彦良和「ナムジ」では小柄で足萎えではあるが深い知恵者の老人として描かれ、ナムジ(後のオオナムジ=大国主)の事業を手助けする。
また佐藤さとるのコロボックル・シリーズでは、コロボックルたちの守り神は「スクナヒコ」さまだとある。

常世からの幸福について思いを馳せる日本人。
日本書紀のタジマモリの記述が紹介されている。
トキジクノカグノコノミを探して、ようよう戻ったら天皇は隠れておられた。
トキジクノカグノコノミは橘だという。飛鳥に五月一日に行ったとき、タジマモリの日だとして夏みかんをもらった。なるほど、これもまた橘の実であろう。

万葉集も出ている。水の江の浦嶋子(浦島太郎の原型)の伝承に対して詠まれた和歌が紹介されている。

諸星大二郎「海神記」は海人族と隼人らとの争闘と、常世への旅立ちを描いた作品で、常世へ行くことの激しい希求が示されていた。

昭和のいつに描かれたか知らないが、神武天皇の肖像画が額縁に納められたのが展示されていた。ちょっと変な感じがする。
明治神宮の歴代天皇の肖像画を思い出した。

播磨国風土記と古事記のうちから数字の「七」の不思議さについての記述を示す。
七の神秘性については日本だけではない。
そのあたりのことは水木しげる「悪魔くん」で深く記述されている。

風土記の紹介されたエピソードも面白い。父のわからぬ子を産んだ姫。その赤子が大勢の中から我が父を見いだして酒を注ぐことで、父は子を認知せざるを得なくなる。

2.七福神の成立 室町時代から江戸時代の初期にかけて
ここでも版本が多い。
木造狂言面も大黒と恵比寿があった。

七難之図 源琦 これは師匠の応挙の七難七福図の模写である。昨秋わたしは原本をみているが、さすがに源琦だけに巧い。地震でふるえる人々を描いたシーンだった。

注連飾りの蘇民将来子孫家などと書かれた木札もある。

面白い絵が出ていた。
こちらはチケットのめでたい絵である。
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梅津長者物語。七福神がどこかの座敷で合奏し、踊り、というめでたい図。布袋なんか殆どシンセサイザーのように琴を弾く。大黒は黒大黒である。
さて、わたしが見たのは別なシーン。
梅津に住まう夫婦が七福神の加護を受けて貧乏神から解放され、裕福になる。ところがそれを狙って盗賊が押し寄せてくる。家に出入りしている七福神は盗賊を撃滅する。
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恵比寿は釣り糸で盗賊を絞め殺し、大黒に至っては、めでたい打出の小槌で盗賊の頭を粉砕、一撃必殺血しぶき全開という状況である。
また、弁天さんは稲荷の本地という設定で、狐と童子たちがよく働いていた。
これを見ただけでもここへ来た甲斐があったような気がする。

3.七福神のプロフィール
七人それぞれの紹介を版本や木造の像や絵などで送る。

・大黒 
熱田神宮古絵図 境内図である。室町のものだが色もきれいに残り、残欠とはいえ大きい。中に恵比寿大黒を祀る祠も描かれていた。

・恵比寿
ヒルコからめでたい神への変遷。名古屋でもえべっさんをするのを初めて知った。こちらは正月五日の話。
関西では九日十日十一日の三日間である。

・毘沙門天
暁斎のかっこいい図が出ていた。
平安時代の木像もある。
わたしは信貴山の毘沙門天さんに申し子して生まれてきたので、信仰しなくてはならない。

・弁財天(弁才天)
室町時代の絵が出ている。15童子と一緒。15少年漂流記というのがあったな。
絵には黒い顔の大黒さんもいる。

熱田神宮所蔵の弁天さんと童子たちの像が箱に収められたものがある。ちょっとしたフィギュアのようで面白い。
諸星大二郎「栞と紙魚子」シリーズの弁天さんをどうしても思い出して、申し訳ないがウケてしまう。

・布袋
もしかすると一番人気があるのは・・・

・寿老人
雪舟の絵が出ていた。梅くぐり寿老人。目の鋭い老人である。
応挙も描いている。こちらは西王母と一緒。

・福禄寿
杖をついた福禄寿と亀のみつめあい。ほんわかナゴヤかムードである。原在中の絵。

怖いのは若宮八幡社所蔵のからくり人形。やたら大きくて妙に怖い。

4.描かれた福の神 七福神信仰の諸相
浮世絵から明治大正のビラまでいろいろ。

福禄寿の毛ぞりもある。これは鏝絵でも人気の図像。
商店のビラでは、オープンカーにのる恵比寿大黒の絵があり、笑ってしまった。

5.熱田神宮の初えびす
やはり所変われば品変わるで、ここの熊手も蓑も大阪や西宮とは違った。

6.七福神に加えられたメンバー

田中訥言 七福神図 くつろぐ七福神。鹿も白狐もいる。野宴の最中。弁天さんに稲荷の本地というのでかと思ったが、そうではなく単独で稲荷神が入り、それで狐をつれてきていたのだった。福禄寿と寿老人は同一視。

アメノウズメも仲間入り、吉祥天女もそう。
そうそう、仙台では「仙台四郎」も仲間入りだったはず。
そして諸星大二郎によると、「六福神」は凶悪だった設定。

7.幸せを招く宝物
熱田神宮のお宝が出ている。

蒔絵、鏡、香炉、刀などである。
中に御所人形の「高砂」もあり、可愛らしい。

見るところの多い展覧会だった。
1/28まで。
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コメント
コロボックル!懐かしいです。
コロボックルの神様はスクナヒコ様でしたか。さすがによく覚えていらっしゃる。
あんなに好きだったのに私はもうすっかり記憶から抜け落ちています。

岩瀬文庫の「梅津長者物語絵巻」は気に入りました。岩瀬文庫良いものたくさん
持っているのですが、いかんせん展示スペースが狭すぎて残念です。
またぜひ名古屋にお越しくださいね!
2014/01/28(火) 21:13 | URL | meme #z8Ev11P6[ 編集]
今も好き
☆memeさん こんにちは
あの岩瀬文庫と言うのは以前から憧れてますが、すごいですね~~
それにしても「梅津」にはオヨヨでした。大黒さんはもともと戦闘神の性質有ですが、ニコニコしながら敵を(幸せをもたらす)打出の小槌でバキッッと一撃必殺。こえ~~

今度は名古屋でぜひともあんかけスパを食べようと思います。
とりあえずコメダで小倉トーストとシロノワール食べます。
2014/01/29(水) 09:58 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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