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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

Kawaii日本美術 若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで

日本人は「かわいい」ものが好きだ。
可愛い・かわいい・カワイイ・kawaii・・・
一口に「かわいい」と言うてもこんなにも種類があるし、「カワイイ」に入る範疇は途轍もなく広い。
山種美術館「Kawaii日本美術」展は副題が「若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで」というだけあって、思いがけないカワイイものを見ることができたり、知らなかった可愛いものを見いだせたりという、いい展覧会なのだ。

日本発の「かわいい」は今では世界中に広がる言葉・概念となり、「Kawaii」として知られている。
ありとあらゆる可愛いものをここで見てみよう。

1.描かれた子ども 人物の中のKawaii

伝・芦雪 唐子遊び図 子供らがより集まって琴棋書画を楽しむわけだが、さすが伝・芦雪というだけにまじめに賢い子供より、いたずらをする子供の方がずっと可愛い。
大体そういう子供の方が面白いですがな。

是真 金太郎図 対で山姥の方は後期。ここでは金ちゃんがうつむいて遊ぶ顔が可愛い。アリが柿をうんせうんせと運ぶのをじぃっと見ている。
是真は皮肉屋さんだというが、子供を描く目は優しい。

是真 菅公七童詠歌図 七歳で赤い着物着て賢そうなのだが、やっぱりあんまり小さいうちから賢すぎる子いうのは可愛くないな。

芋銭 農村春の行事図 大正期の農村なのかそれ以前なのかわからないが、トントしている図。トントは場所によりトンドとも言うしこれは左義長にもなるのかな。

松園 折鶴 エエ氏の家の姉妹が機嫌よく折鶴拵える図。折鶴と言えば鏡花原作でミゾケンの監督した「折鶴お千」という映画がある。わたしは実はいまだに折鶴が出来ない。
母も出来ないし、母の弟たる叔父もそれから東京の叔母も出来ない。
彼らの母たる祖母はわたしに奴さん・だまし船はよく教えてくれたが、折鶴は作ってくれたことがなかった…できない継承ですかな。
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小坡 虫売り この絵は清方の物売り図とも共通する、明治の優しい風俗を感じさせるもの。虫売りなんてのは東アジアでしかありえないわけです。いい音色にうっとりする、その心根こそが「可愛い」のだ。

古径 童女 無邪気におジャミで遊ぶ、オカッパ頭の少女。しかしね、わたしにはどうしてもこの子は妖艶さをちらりと感じさせるように思えて仕方ない。地味な拵えではあるけれど、長じて後にはさぞや…。
大正末期の作品。ふと「蓮池」を思い出した。古径もこの時代にはどこかゾクッ…とさせてくれる。

龍子 百子図 これは以前から好きな絵。ゾウさんが戦後に来てくれて大喜びする子供らの図。子供らと一緒にゾウさんも躍るような足取り。
龍子は若い頃童画も熱心に描いていたので、子供とゾウさんの幸せそうな絵には偽物ではない喜びと温かなまなざしが活きている。
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小虎 ふるさとの夢 越後獅子の坊やが野に伏せて、ふるさとの折々の行事を夢に見る。
出稼ぎに出て明日をも知れぬ旅先で見る夢は、あくまでも優しい。
小虎も可愛い絵が多い。そろそろどこかで大がかりな回顧展をしてほしい。

楢重 子供立像 洋画の子どもの登場。小出の長男やっちゃんの立ち姿。小出はなかなか子煩悩なひとで、フランスからの手紙などでも、やっちゃんの様子を尋ねる文章が少なくない。坊やは手にひも付きのてんまりを持ち、コールテンを着ている。
自ら「骨人」と称し、もこもこしたかっこうをする冬が嫌いな小出だが、子供のぬくぬくした様子は温かく描いている。

土牛 枇杷と少女 昭和5年のおかっぱ少女。左端に直立する。まるで昔のスナップ写真のような趣がある。緊張しているのか、表情が硬い。

青樹 愛児坐像 初めて父になり、幼い女児の姿を写す。籠には昔ながらの日本の郷土玩具とテディベアと。昭和初期の髪型がいい。赤い可愛いべべを着せて、縹色の毛氈に座らせる。
父になった幸せがそこにある。

忠夫 伊勢物語のうち筒井筒 秋の日の約束。子供らのふくよかな頬。いとしい。

森村宜永 夕顔 昭和後半のあるとき描かれたようだ。白扇に花を載せて現れる少女。古典の美が満ちている。

関山御鳥 琉球子女図 四扇に五人の琉球美人。紅型の着物をまとう。それぞれ色も柄も違うのを着こなし、可愛らしい。
なお、この画家の御遺族を山種美術館は探しているそうなので、もしご存知の方は山種美術館にご連絡願います。

小山硬 天草(納戸) 昭和48年。幼女合掌図。隠れキリシタンの幼い娘が一心にマリア様を拝む。切り絵のような絵。輪郭線が太い。黒地に十字のみ金色。
この時代にこの絵が描かれたのは社会的に閉塞感があったからだろうか、と後世のわたしなどは考える。


2.生きもの大集合 動物の中のKawaii

野崎真一 四季草花鳥獣図 幕末から明治の絵。虫とウサギが同居する図。
思いだした。明治5年頃か日本ではウサギが大ブームになったのだった。あと万年青もキタな。そのあたりを大仏次郎が小説に書いている。
野崎は文政四年(1821)~明治32年(1899)の人だから、兎ブームを目の当たりにしている。
もしかするとこの絵もそういう感覚があるのかも?

省亭 葡萄 籠から現れたネズミ。うーん、尻尾が膨らんでると「葡萄にリス」なんだけど、「葡萄にネズミ」はアカンのとちゃいますか。

関雪 霜の朝 白リスがいる。関雪のどうぶつは本当に賢そうに見える。

狩野永良 親子犬図
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可愛い~わんこファミリー。なで回したくなるなあ。
日本の18世紀のわんこ絵は流派問わず可愛いで統一されておる。

五雲 犬 朝顔の前でカイカイカイ・・・するわんこ。これはアシカとかああいうのに似てるな。そうそう、あの海獣たちは犬に似てるのがいる。

翠嶂 狗子 二匹のわんこが寝てる。奥のは熟睡、手前のはちょっと目を開けてこっち見たり。わかるわかる~わんこもにゃんこもこういうところある。

小虎 仔犬 もう本当に小虎は可愛いものが多すぎ。二匹のわんこがじゃれあう。あんまり可愛すぎて噛んだろか!!と思うくらいだ。眉麿の二匹、可愛いなあ~

辨自 薫風 こちらも二匹のわんこがいて、目を細めてじーっとする。風の匂いを感じ、それを味わっているのかもしれない。

わんこの次はうさぎ。

靫彦 うさぎ リンドウと一緒。白くて上品そうなうさぎ。ごく近年になって知ったのだが、日本の白兎はアルビノらしい。しかし日本のウサギの大半はこういうのだからアルビノといわれてもなあ。
なにしろオオクニヌシの昔から「ここに因幡の白兎 皮を剥かれて赤ハダカ」なのだし。

土牛 うさぎ アンゴラでほわほわな毛長の三羽。
ほかにパンダウサギの絵も出ている。

多々志 波乗り兎 タイトルだけならサーファーかと思うところだが、これはあれです、謡曲「竹生島」の月海上に、の波乗りうさぎ。ちょっと短いめの手足が可愛い。

玉堂 猫 ねーーーーこーーー!!あまりに可愛くてきゃーっである。これはカワイケの猫さん。川合玉堂のすべての絵の中でも特別大好きな絵。可愛くて可愛くてならない。
ちゃぶたん。なんて名前なのだろう。可愛いなあ。

土牛 寅 お年賀シリーズの寅。なんだか折り紙でこしらえたくなる。

藤袋草子絵巻 室町時代 サントリーから出張。小さい猿たちがなかなか可愛い。尤も話そのものはあんまり可愛くないのだが。
これを見ていると、近藤ようこ「雨が降るとも」に挿入されている「猿婿」の絵を思い出す。近藤さんは可愛い絵の方だが、このときの猿は「藤袋」の猿たちに似ている。
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小虎 仔鹿 淡彩で描かれたバンビがお花に首を傾げている。仕草が本当に可愛い。

栖鳳 みみづく 耳が立つからみみづく。烏瓜も一つふくらむ。なんとなくだが、このみみづくは若い奴に見える。

華楊 木精 ケヤキの木の根に止まり振り向くみみづく。
わたしはてっきり青蓮院かと思っていたが、北野天満宮だった。

雀の小藤太絵巻 室町時代 こちらもサントリー美術館から。赤坂見附時代にこの絵巻を見て、絵はがきを購入している。
今回は子を食べた蛇に向かい抗議する雀夫婦の姿に始まり、出家得度、雀百まで踊り念仏が出ていた。
可哀想な物語なのだが、やっぱり可愛い・・・

平八郎 桐双雀 福良雀というのか、木目込み人形または切り絵細工のような可愛らしさにドキドキ。

牧進 明かり障子 自宅の障子を開けたところへペットの雀のピー太が。絵では群雀だが、本当はピー太一羽の動きなのだった。水仙の可愛らしさ、雀の可愛らしさ、幸せな絵。

是真 墨林筆哥 漆絵。琵琶を弾いて歌う大カエルの周囲に小さいカエルたちが集まり、聞きほれる。歌う方も聴く方も気持ちよさそう。
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3.小さい・ほのぼの・ユーモラス Kawaiiってなに?

工芸品の小さくて初い奴らを堪能する。
お化粧道具のさまざま。こういう小さくて可愛い工芸品はしみじみと賞玩したい。

栖鳳 干し柿 だいたい栖鳳の描く食べ物はなんでもおいしそうで、なおかつ可愛い。この干し柿なんかも噛むと甘みがじわ~っときそう。さすが料理屋の息子やなあ。

麦僊 筍・慈姑・海老 こんな甘エビなんか皮をもいでみゃっみゃっと食べたいもんやわ。

小虎 伝説中将姫 井戸の周囲に。蓮が優しく大きく咲いている。ふっくら豊かな頬の姫とおつきのものたち。
とても可愛らしい。

若冲 托鉢図 墨絵でずらずら並ぶ僧たちを描く。これはあれよ、釘の並びみたいですな。

広重の五十三次から旅人留女、棒鼻の図がでていた。滑稽さが可愛いね。

素明 パリ風俗 二枚あるがどちらも洒脱な面白味があり、こういう風俗画は楽しい。

熊谷の絵も出張してきている。
とのさまカエル、セミ、蛍袋、うさぎなどなど。
熊谷の洋画は遠くから見ても近くから見ても可愛いから好きだな。やっぱりこういうのを見るとほのぼのした気持ちになる。

谷内六郎 にっぽんのわらべうた 1970年の作品。四点ある。
特に「うさぎうさぎ」が可愛い。月下、女の子らがのぞくのにも知らん顔で、輪になって懸命にはね続けるうさぎたち。見ているだけでうずうずっとくる。可愛いなあ~

今回、本当に「可愛いKawaii」ものばかり。見ていてにこにこするばかりだった。

図録がまた可愛い。
絵の紹介ページにクローズアップされた可愛いものたちがいて、楽しい台詞が入っていたりツッコミがあったり。
こういう図録は「本」として楽しく可愛い。

ああ、いいものを見た。2/2まで前期。2/4から後期展示。
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コメント
な なんと
なんでもできそうな 遊行さんが 折鶴がだめだなんて
なんて KAWAII。 実は 小紋も山折り? 谷折り?のあたりで 
??? いまいちなのですが、鶴はだいじょうぶですよ。
婿が 太い指で アンパンマンなど折る姿には びっくりします。   
2014/01/28(火) 07:14 | URL | 小紋 #-[ 編集]
遺伝?!
☆小紋さん こんにちは

マジでだめです。数年前おばあちゃんの子供らみんなとその子ら(いとこたち)に聞き取り調査しましたら、息子の嫁たちはよそから来た人なので子供に折鶴を教えているけど、娘の子らはみんなだめというのがわかりました。

> 婿が 太い指で アンパンマンなど折る姿には びっくりします。  

今のおにいさんたちはみんなイクメンで、本当にいいことですよね。
うちの義弟なんかもそうです。 
2014/01/28(火) 09:27 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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