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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大阪市立美術館「吉祥の意匠」など

大阪市立美術館の新春展示を見に行った。

吉祥の意匠
カザールコレクション、田万コレクション、田原コレクションなどの名品が集まる。

1.吉祥の花果
北宋~金~南宋~元~明~清、そして鎌倉時代と江戸時代の工芸品がある。

黄釉暗花牡丹文碗 景徳鎮窯 清代 嘉慶銘 とても綺麗。見込みにも外側にも。やや暗い中で静かに光るようだ。

犀角蟹文蓮葉形杯 清代 茶黒くなった犀角に蟹と蓮が。まるでほぼ同時代のガレを思わせるような作風。

青白磁刻花蓮唐草文梅瓶 南宋時代 おはり青白磁の釉薬溜りの綺麗さと言うのは普通ではないと思う。見るだけで動悸がする。

翡翠釉白地黒花蓮唐草文梅瓶 磁州窯 明代 青黒い。翡翠釉といえど、これは青昏い。

青花花替え唐草文鉢 景徳鎮窯 明代 宣徳銘 これは面白いことに見込みに枇杷が沈んでいる。こういうものはあまり見ないので楽しい。

豆彩瑞花文鉢 景徳鎮窯 明代 萬暦銘 外には桃、内にはザクロ。どちらも中華世界における吉祥果。豆彩だけに線の細い綺麗な図柄。

銅獅子文牡丹蝶鳥文鏡 鎌倉時代 この獅子はフレンドリーと言うか、なじみやすい可愛い奴で、肉球をぺろぺろしている。愛い奴よの~~

牡丹蒔絵硯箱 江戸時代 中は蘭…というか、蕙の方。室町あたりの水墨画でよく描かれた細いあれ。

2.龍と鳳凰
どちらも皇帝と縁の深い生命体。

唐代の鏡や簪の細かい造り。字面を見るだけで手が込んでいるのがわかる。
青銅狻猊双鸞唐草文八稜鏡、銀鍍金透彫鴛鴦宝相華文簪。
ああ、手書きすると腱鞘炎になるような文字の並び。とても綺麗。
盛唐の歓びを感じる。

清代の龍文袍がモデルなしで展示。かっこいい。袖口の刺繍に青い夜梅。
もう一つにはそれはなかった。

幕末から明治にかけて作られた登竜門蒔絵文箱あるいは硯箱がある。
いずれもたいへん立派。国の政治体制が変わるときにこうした立派な技能を持つ人がいるのも、思えば感慨深い。なにしろ新時代になった最初は必ず否定されてしまうから。

螺鈿雲龍文盆 琉球 ピカーーーーッ!!綺麗すぎるくらい綺麗。見ているこちらの目までキラキラキラキラ…

3.松竹梅と蓬莱
タイトルをみて日本酒とぶたまんを思い出すのはイヤシの証拠である。←わたしか!

松喰鶴文銅鏡 平安時代 花喰いから松喰いになった鶴。唐様から和様に変じたのが、こうしたところにも見受けられる。

鍋島焼の初期・盛期・後期の皿が出ていた。やはり一番好きな磁器は鍋島焼だと痛感。
青磁染付色絵という手の込んだものもある。盛期には凄まじいような技能が作品に顕れる。

木画箏 江戸時代初期から中期 綺麗なお琴である。鼈甲も使われていた。

蓬莱蒔絵料紙箱 亀三種に鶴一家。めでたい図柄。

4.宝尽くし・福の神・お正月
江戸から明治の福福しいもの。

七福神蒔絵卓 これは珍しいことに弁天さんが鹿に乗ったりしている。

蒔絵宝船形香合 明治になっても七福神人気は高い。真正面向きの船。

蜘蛛の巣に馬蒔絵伽羅箱 江戸時代の意匠だが、どうもタイムマシンに乗って過去や未来へGOGOGO!な絵に見える。
nec774.jpg

正月玩具蒔絵提重 これはまた細かい文様。手が込んでいる。

蒔絵筝形硯箱 鶯のいる初音柄。

これらとはまた別だが、これを見た日には他に和泉市久保惣記念美術館でも動物柄や吉祥ものを見ていた。
中でも唐代の鏡が大変よかったのを覚えている。
椿の森に蝶々の群れと雀の群れがあふれている図柄の鏡。見るからに幸せな気持ちになる意匠。こういうのもやはり「吉祥」文様だと思う。

次に「何故これがここに?!」なエジプト・コプト織のコレクションを見る。
昭和半ばに一括購入したそうだが、まさかこんなにたくさんのものをここで観るとは思いもしなかった。それからエジプトだけでなく東方世界からの遺宝をいくつか。

コプト織水辺文 小鳥もいて楽しそうな柄。
エトルリアの紀元前6世紀の赤色陶器 動物闘争文がくっきりと残る。
テラコッタの頭部 紀元前2~3世紀 ピゴリーニ博物館からもらったもの。

そして大阪市美の誇る仏像コレクションから。
「とおくてちかい 仏教美術」・・・うまいタイトルだ。
白鳳から平安、鎌倉、室町までの像や仏具と、平安、鎌倉、室町、南北朝、安土桃山までの仏画と高麗時代の仏画などがある。

それぞれいろんなお寺からの寄託品なので寺の名前が書かれている。そうなるとそのお寺にもお参りしたくなる。
不思議な楽しみが湧いてくるのを感じた。

銀製鍍金光背 鎌倉時代 四天王寺 これは変わったもので、15個の円形の中に仏の姿を写しているのだが、どこかイコンのような趣があった。エナメル製なのかと思われる雰囲気もある。うそのように細かい意匠でかっこいい。

春日社寺曼荼羅図 南北朝時代 薬師寺 上空に五つの円形が並ぶのは若宮か。

兜率天曼荼羅図 鎌倉時代 大阪・延命寺 緑色と白色だけで構成されている。鮮烈なイメージがある。

阿弥陀浄土図 鎌倉時代 大阪・実相寺 おや、これはまた珍しいことに當麻曼荼羅によく似ている。

中山寺参詣曼荼羅図 安土桃山時代 中山寺 ううむううむ、これはかなり遠い。
わたしは小学校二年のとき、遠足で中山寺の奥の院に行かされ、それがあまりに遠くて、いまだにトラウマになっている。

融通念仏縁起 室町時代 大念仏寺 さすが融通念仏宗の総本山。剃髪したり色々の図。

そしてなぜかここに平等院のあの雲中飛行の菩薩の一人のような飛天がある。
ついこないだサントリーで観たから間違いなさそうである。

焼失する前の法隆寺金堂壁画のコロタイプ印刷した阿弥陀浄土図があった。
思えば正倉院宝物より、敦煌莫高窟より時代が旧いのだ・・・

面白く眺めたが、これはやっぱり時間がもっといるな。
なんにせよいい展覧会だった。2/11まで。

以下、蛇足。

もう本当にここはお宝たんまりなのに、大昔から我がとこの宣伝するのが下手なのか、ツツマシイのか知らんけど、「えええーーーっこんなエエモンあるんやったら言うてぇな」なことが多い。
なにしろお宝の大半は市民からの寄贈品である。大大阪の時代、裕福で教養の高かった人々が「大阪の皆さんのために」とようさん寄贈しはって、それで出来上がったコレクションなのである。
そういう歴史も知らん、文化破壊者の何者かが政権を握ったことで、かなり危機が訪れている。
もっとネットを利用して宣伝するとか色々した方がいいよ、マジで。
お客さんを呼びこまないと、国民の宝であろうと壊そうとするヤカラが上にいる、という現実を打破できない。
わたしは微力も微力だけど、あくまでも大阪の文化を応援し、守り、発展させることをしたいと思っている。
そうして折りも折り、大阪の博物館関係を一本化とかなんか言うてるけど、それもよくよく考えれば暗い未来の暗示みたいなもんだしね。本当になんとかうまいこといくことをただただ願うてます。
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コメント
おくればせながら
お世話になっております
あさって(2月1日)午前にこちら(天王寺の市立美術館)で仏画のみ
午後に京都の龍谷(ミュージアム)などと考えておりますが
通しできちっと観た方がいいかもしれませんね

市立美術館の2階 ここのところ閉室部分が多いような

ちょっと前まではカザールさんなど結構飾ってあって
3時間くらいかけて観終えた記憶があるのですが

勿体ないことです

ああ でも こういうことを書いてくれる場所があるというのは
まだ何とかなるかもしれないと思わせるのですね

これからもご自愛ご健筆を それでは
2014/01/30(木) 15:07 | URL | TADDY K. #1xXJNkSU[ 編集]
こちらこそ
☆TADDY K. さん こんにちは
今回はまあカザールコレクションもたくさん出ててよかったですが、なにしろ大丈夫かいなとこちらがヒヤヒヤする状況ですからねえ…
いっそもっとハジケたらええのかも、とよく思います。

そうそう龍谷、あそこも館長さんが、今頃になって2014年度の予算減額などできるかー!と激怒されてる最中ですが、文化を守るのも人、文化を壊すのもヒトなのだとよく思い知らされます。
2014/01/31(金) 09:16 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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