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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大浮世絵展 展示替えを見て

江戸博の「大浮世絵展」の大幅な展示替え以降のを見たので、その感想を少々。
最初に見た分はこちら。
その1
その2
今回も楽しく見て回ろう。

1章 浮世絵前夜

花持ち美人図 寛文美人が綺麗な立姿を見せながら櫻枝を持つ。打掛も綺麗で、これは芝居の「花軍」ではないかという説もあるそうな。
玄宗皇帝も若い頃は打倒則天武后で戦い抜き、輝かしい栄光の人だったが、晩年は平和になったばかりについつい…

脇息による美人図 寛文美人が頬と口元を着物にうずめる。西行と遊女(どの、どこの、だろう)歌詠み合いを見立てたものかもとか。

ちょっとしたポーズをとっているだけに後世のわれわれは見てしまうが、江戸の教養を持つ人には「ああ、これはあれか」とピンと来るだろう。

扇舞図 長い髪を垂らし、頭頂は布で包む。金の大きな扇に、今は酸化して黒になった銀の着物を着る。豪奢ないでたち。

立美人図 寛文美人。褄を持ち赤い打掛をまとう。中には紅葉柄のもの。表具も素敵。

2章 浮世絵のあけぼの

菱川師宣 見返り美人図 おお、久しぶりに見た。この切手は現物は見たことがないな。

師宣 よしはらの躰 揚屋の座敷 宴会の最中。三味線を弾く男もいる。隣室には大きな衾もある。

師宣 恋のみなかみ ページ替えがあり、湯島の天神、吉原などが出ていた。そういえば湯島の辺りには岡場所があったのだっけ。

鳥居清信 蚊帳の内外 情人と仲良くした後。女は蚊帳の外でたばこを吸う。男は蚊帳の内で寝そべる。肩が見える。
「間夫がいなくば闇の中」という遊女たちは、たまさかにこうしないと生きてられないだろう。

二代鳥居清倍 瀬川菊次郎の白木屋おくま 今も人気の芝居。これは手彩色で黄八丈は黄八丈らしい。マリをついたりするあたりはほんの小娘。

奥村政信 十月のてい 男女のコスプレ。見立てもの。遊女が大黒で客が恵比寿。三味線を竿に。くくり枕を米俵に見立てる。

奥村政信 武者絵尽 ページ替えで、巴御前が敵の首をねじ取るところが出ていた。ちょっと雪岱の女に似ていた。

奥村政信 文使い図 根下がり兵庫の遊女と禿二人。面白いのは三人の着物の柄。染付・色絵皿をデザインしたもの。こういうのもあったのだなあ。

奥村利信 高砂図 手彩色かと思ったら「漆絵」とある。ほんまかいな。

奥村利信 二代目市川團十郎と嵐和歌野 碁盤を倒して脇息にする男と。色っぽいムードがよく出ている。

石川豊信 佐野川市松と中村粂太郎の髪すき あ、結髪特有のゲーハが見える。貝殻柄vs水車柄の二人。

3章 錦絵の誕生

鈴木春信 坐敷八景 琴路落雁 筝曲集を読む女。梅色着物に白抜き梅。かっこいい。対する女の黒が利く。

春信 風流五色墨 長水 もめあうカップル。女の帯は空押し。外の手水に水たくたく。

一筆斎文調 市川弁蔵の大和田要之助 幔幕の内、火焔太鼓の前で雅楽の鳥兜を持ち上げる。何の芝居か知らんが、ちょっと調べると和田義盛とか畠山重忠とか出てくるから、鎌倉時代初期が舞台のキャラだな。

勝川春章 五代目市川團十郎の滝口競と中村仲蔵の清盛 二人そろって赤っ面。滝口入道か。北面の武士。

勝川春章 中村仲蔵の衛士の鶴平と四代目岩井半四郎の池田の宿の朝顔 紅葉下でくつろぐ男女。座る男に立つ女。盃を男に差出しにっこり笑う。

勝川春章 花下の遊女 垂髪美人。禿は綺麗に結い上げている。

勝川春章 谷風梶之助と宮城野錦之助 まわしに「谷風」どーんっとした文字。波に千鳥か。浮世絵は力士の図も多かった。

磯田湖龍斎 亀戸の藤 縦長。藤に少年少女、そして幼児。池には鯉も。こういうのを見ると五月に亀戸に出かけたくなる。

歌川豊春 江戸名所新吉原之図 浮絵。わいわいざわざわ。二軒ばかり。大門もある。上総屋の駕籠がある。たしか吉原に来れる指定の駕籠屋は二軒だけのはず。
どことどこかは忘れた。

北尾重政 屏風前の二美人 帯を直す女に話しかける女。その目つきのリアルさ。
「ね」みたいな感じ。

北尾政演 吉原傾城新美人合自筆鏡 ページ替え。花魁道中。二匹の犬がわんわん。

4章 浮世絵の黄金期 

鳥居清長 当世遊里美人合 辰巳艶 両国本所回向院下の岡場所の美人。ここでは「ねこ」と呼んだそうだ。芸者とおかあさんと仲居とがいる。本物の猫は膝で寝ている。
辰巳芸者は粋で鯔背で蓮葉でかっこいいと聴いたが、ここの説明では岡場所になっている。
ちょっとそのあたりのことがわたしにはわからない。

鳥居清長 三代目市川八百蔵の真田与一・三枡徳次郎の烏帽子折烏丸お京・二代目中村助五郎の俣野五郎妹誰が袖 これはバックに富本の浄瑠璃語りがいて、前に三人。誰が袖の打掛がいい。何やら絵コンテ風。

喜多川歌麿 百千鳥狂歌合 ページ替え。フクロウが横向きで描かれているのが可愛い。ヒヨドリみたいなのもいる。

歌麿 四季遊花之色香 ああ、えろいな。若衆の羽織に透かす女の顔。歌麿のカプは何気ないことをしているときが一番色っぽい。

歌麿 ぼっぺんを吹く娘 これは東博所蔵のだが、発色が綺麗で、ガラスの緑が素敵。

歌麿 当時全盛美人揃 若松屋内若鶴 筆を咥える女。「さーて書くかな」な感じ。
初版はこのように足を曲げたのが見えるが再版後は隠されたそうな。

歌麿 入浴図 これはMOAにある肉筆図で、風呂桶に入ろうかとする美人を背後から描いている。なんだか凄いような構図だと思っていたが、やはり凄い感じがある。

鳥文斎栄之 青楼美人六歌仙 静玉屋志津加 両膝を立ててべったり座る。寛ぐ女。着物も緩い。

鳥橋斎栄里 郭中美人競 越前屋唐土 凄い名前だな。モロコシと来ましたか。また大変美人で、うりざね顔に笑う目。上品でいい。目の配置がとてもいい。

歌川豊国 三代目沢村宗十郎の薩摩源五郎 これはよく見る絵ではあったが、死に絵とは知らなかった。そうなのか。ほっかむりする絵ね。

菊川英山 青楼五節句遊 松葉屋内 粧ひ 華妻 左の女の豊かに結い上げた髪。右の座る女は流し髪で笹紅を刷く。

溪斎英泉 浮世風俗美女競 一泓秋水浸芙蓉 筆を持って寝そべるのが首を上げた。そばには「仙女香」も落ちている。英泉はこの化粧品とタイアップした絵が色々。

英泉 北国八景之内 うらたんぼ暮雪 玉屋内白玉 藍摺絵。ああ、首の捻り方。すごいえろさがあるな。田圃は浅草の奥か。

英泉 木曽路駅 野尻 伊名川橋遠景 この橋は面白い。形がよじれたような。

北斎は富嶽三十六景が少しばかり。
しかし今回は何と言うてもやっぱり本の挿絵がベスト。
前回もよかったが、ページ替えもどきどきのが出ている。
近世怪談 霜夜星 雪中、桶で女を打ちつける男。そばには琴が。立つ女は刀を持つ。三人の関係性がわからないが、読みたくなるゾクゾクなのがあるから、やっぱり挿絵の力は凄い。
挿絵の本懐とは、見たものに「本文を読みたい」気持ちにさせることなのだ。
次のページもいい。
見開きで、右に大顔オバケ、口元は血まみれ。あわてて逃げ出す人々。
ううう~~読みたいし、他の絵も見たい~~~

広重は五十三次が色々。やはり「蒲原 夜の雪」は絶品。

江戸百からは亀戸の天神。橋の下が青塗版という珍品。この塗はミスらしいが面白い。

珍しいものが出ていた。
近江八景之内 唐崎夜雨 普通に流通するのは黒い森なのだが、個人蔵ので薄青いのが出ていた。これは試し刷りらしい。すごいな、初めて見た。二枚並ぶのでよくわかる。
(既に展示終わり)

広重 江の島図 肉筆。まだ水が満々なので歩くのはちょっと。
数十年後の「真景図」の趣がある。

国芳 通俗水滸伝豪傑百八人の内 花和尚魯知深 これは発色たいへんよろしい。力余ってるなあ~~♪

国芳 日本駄右衛門猫之古事 大猫にちびの手下猫二匹が踊る図。「がんばってます」の別バージョン。可愛いなあ。しっぽが二つ三つ分かれてようとも可愛がりたい。

国芳 東都名所 するがだひ 見慣れた絵だが、これは発色がいい。四色の虹がいい。向こうから傘を回しつつ少年も来る。
この虹から来るかのように見えた。

国芳 猫の当て字 かつを これもいいなあ。がぶっとかつおを噛む。このシリーズは楽しい。

春曙斎北頂 二代目中村歌七の池添孫八・三代目小川吉太郎の渡辺しずま・三代目中村歌右衛門の唐木又右衛門 三代目歌右衛門がキリッッとしててかっこいい。

三代目中村歌右衛門は池田文庫の所蔵品で見て以来、好きになった役者。ずっと追いかけている。
最後の「兼ネル役者」。

長谷川貞信 二代目中山南枝のみゆき・実川延三郎の宮城阿曽次郎 このみゆきは笹紅を塗っていた。しかし思えば「朝顔日記」もイライラするスレチガイ・勘違い話で、わたしは見る度イライラするが、それでも見ずにはいられないのだった。

二代目長谷川貞信道頓堀角劇場繁栄之図 明治17年3月17日披露式。和洋折衷の劇場。

寿好堂よし国 嶋原桔梗屋おだ巻太夫 これは京都の合羽摺り。花魁道中四人の姿。

6章 新たなるステージへ

落合芳幾 東京日々新聞第一号 ロゴを二人の天使が持つのだが、ゴシップ誌なので扇情的な話も多く、天使たちはけっこう鬱屈した顔を見せる。
破戒僧が真面目な女を殺そうとする図。天使たちも気の毒そうな表情を見せる。

月岡芳年 月百姿 姥捨て、武蔵野に狐 この二枚を見た。

井上安治 新吉原夜桜景 光線絵。店の明かりがみえる。提灯も並び、道は暗くとも町は明るい。

小林清親 高貴徳川継絡之写像 徳川15人の将軍たち。ブロマイド風。5代目は少年風に、6代目は「御浜御殿」、7代目は夭折したのでか母と一緒、8代目は鷹狩、最後の15代目は洋装で、テーブルにバラが飾られている。

河鍋暁斎 元禄日本錦 わ 堀部安兵衛 なかなかかっこええ武者絵。

楊州周延 千代田の大奥 火事の稽古をしている。黒い着物に長刀姿の勇ましい婦人たち。馬上豊かなひともいるかと思えば、シルエットでばたばたする人影を描く。

豊原国周 開化三十六会席 深川 平清 蛍がいっぱいいる。二人の芸者が建物の内外でその様子を見ている。

豊原国周 見立昼夜二十四時之うち 午後一時 枇杷を生けた花瓶 鏡に映る顔、バッチワークのテーブルクロス。
明治だなあ。

川瀬巴水 芝増上寺 色の対比がすばらしい。

わたしは巴水の作品をこの江戸博で知った。
今度はその巴水の展覧会について書かなくてはならない。

いいものを見た。満足してでた。
確かに「大浮世絵」展だと改めて思う。
3/2まで。
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