FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「櫛・簪とおしゃれ」「新春を寿ぐ 酒の器。福をよぶ茶道具」

今日は京都を機嫌よく歩いた。
細見美術館ー承天閣美術館ー茶道資料館ー樂美術館ー大西清右衛門美術館ー千總と回った。
「櫛・簪とおしゃれ」ー「応挙展後期」ー「新春を寿ぐ 酒の器」ー「樂歴代 干支・動物たちの新春」ー「新春の寿ぎ 福をよぶ茶道具」ー「岸竹堂と今尾景年」。

新春を寿ぐ工芸品を集めた展覧会を二つ同日に見たのは、案外なことに初めてだった。
その二つと、明日で終わる細見の「櫛・簪」展、それから「どうぶつ」の感想を挙げる。

細見美術館「櫛・簪とおしゃれ 澤乃井櫛かんざし美術館所蔵」展は最終日前日のにぎわいに満ち満ちていた。
清酒会社・澤乃井のコレクションは青梅にあり、なかなか見に行けないから、とても嬉しい。

展覧会の構成は、澤乃井の櫛・笄・簪、ポーラ文化研究所の幕末浮世絵、細見の肉筆画と工芸品とで成り立っている。

・在銘の美 匠たちの手法と意匠
名工たちの手による櫛が集まっていた。

鷺蒔絵櫛 光琳 金地に銀で鷺を誂えたのか、しかし黒くなって烏になっている。
サギだとは言わないでおこうw

抱一の絵で羊遊斎の拵えた櫛もある。
藪柑子蒔絵櫛 センスがいいなあ。
羊遊斎の櫛はほかにもたくさんある。
萩蒔絵櫛、ススキ蝶蒔絵木地櫛、雨中鷺蒔絵櫛、柳燕蒔絵櫛などなど。
中でも雨中鷺などは抱一好みだと思う。
組んでよく仕事をしたから、意匠のセンスがそこに出ているのかもしれない。
時雨松漁夫蒔絵櫛 これは巧い構図で、水中に傘がたくさんあるのがいい。細かいのによく配置されている。

木賊兎蒔絵鼈甲櫛 文龍斎 兎たちが可愛い。こういうのもほしいな。兎や猫の文様は昔も今も人気。

芝山細工もある。桜狩嵌装象牙櫛 螺鈿の桜が綺麗。公家の背中がいい。
わたしは芝山細工がとても好きなのだ。

・こだわりの型と材質 より美しく、華やかに
象牙、鼈甲、ガラスなどなど。

柿嵌装螺鈿象牙櫛 柿がプクッとふくらむ。秋日の櫛。

赤く染めた象牙に雪輪や花籠の文様が載るものが少なくない。可愛いが、これは何歳くらいの人にいいのか。

麻の葉を透かしたのがすごく丁寧な仕事だった。
鼈甲で拵えると、背景にオドロオドロな情景が出たりする。

嵯峨本蒔絵擬甲櫛 古今集、伊勢物語の本を散らしていて、それがとても素敵。

菊蒔絵螺鈿団扇形鼈甲櫛 これはまた面白かった。形がいい。団扇を半分にしたもの。

ガラス絵のもある。珍しい。ガラス絵は失敗するとどうにもならないから貴重なのだ。

乾隆ガラスの青いのもある。和製ギヤマンの櫛笄簪のセットもある。
どんなときに・どんなひとが使ったのか。興味深い。

歩くと揺れるびらびら簪などは今も使えそうだ。わたしは後ろにまとめ髪して、そこに挿してみたい。

・季節を彩る装身具 美と技と女ごころ
形も角いもの・丸いもの。半円の伸びたもの・弓形のものいろいろあるが、文様も四季折々だったりする。

カルタ、立雛、梅に鴬、菜の花と蝶、柳に燕、夕顔、秋草、月に雁・・・
季節ごとに変えれる人もいるが、母からもらったものをずっと大事に使い、それをまた娘なり妹なりに贈るひともあったろう。

・美しき文様 憧れとトレンド

宝船、宝尽くし、業平もの、狐の嫁入りもある。
住吉蒔絵櫛 これは社と鳥居だけが描かれているが、肝心の太鼓橋はない。櫛の形そのものが太鼓橋を示しているのかもしれない。

京洛名所蒔絵櫛 左から御所・大文字・金閣寺と描かれている。位置的にはちょっとどうなのか。

広重、北斎、長崎出島、南蛮人、隠れキリシタンの隠しクルスや日本地図もある。
センスがいいのかよくないのか、もぉわからない。
作り手と買い手の乖離というものはなかったろうか。

・近代の髪飾り 伝統と進化

菊慈童嵌装象牙櫛 菊花と軍扇とだけの留守文様。

菊蒔絵螺鈿櫛・笄 密集して螺鈿。きらきら。

明治から大正、昭和になり洋髪にも合う簪がでる。
アルミ製の可愛いものは今でも使えそう。素敵。
孔雀、スズランなど、当時流行のアイテムが使われたデザイン。

ほかにいろいろ。
国貞、英泉らの浮世絵をいい配置で出すので、理解も進む。
花魁たちのざくざくに挿した笄、江戸時代のいろんな風俗の女たち、漫然と絵を見るのではなく、櫛・笄・簪を中心に見ることになり、とても興味深い。

亀戸初卯祭 三世豊国 背景に亀戸天神の社が控え、その前に三人の女がそれぞれ凝った身なりでたたずむ。かっこいい。

江戸名所百人美女シリーズも出ている。
三囲は手前に吹輪の美人(つまり姫君)、背後に傘を差して背を向ける男が描かれているが、これは「清玄桜姫」伝説を見立てているかと思う。

肉筆画では、野崎真一の伊勢絵、其一の文読む遊女、抱一の松風村雨などなど。
明るい心持ちになる展覧会だった。2/23まで。

続いてこちらは茶道資料館「新春を寿ぐ 酒の器」、大西清右衛門美術館「新春の寿ぎ 福を呼ぶ茶道具」。

いろんな酒器がある。やきものだけで言っても、井戸徳利、備前徳利、絵唐津徳利、祥瑞徳利、丹波徳利、黄瀬戸盃、粉引盃、斑唐津盃・・・
塗り物は根来や絵柄の入ったものなど。

乾山の小さな盃も三つばかり並べてある。
銹絵菊文盃 ベージュ地に薄墨色の菊
色絵菊文盃 白地にカラフルな菊満開
色絵鎬文盃 黄色・緑・白の細い縦じま
遠目からでも一目でわかる乾山の愛らしき盃たち。
ほしくて仕方なかった。

九谷焼の吉田屋の珍しいのがこれまた三つばかり並ぶ。
はっ となった。千代徳田八十吉のグラデーション作品を思わせる作行きだった。幻のと言われていた吉田屋のやきものも、今となればとても斬新でかっこいい。

絵では前田青邨「梅図」がある。いつもの様式美のそれではなく、2本の枝を切りそろえたものが並ぶ図。上が白梅、下が薄紅梅。おとなしい絵だった。

なお茶道資料館の二階では「新春の茶道具」展も開かれていて、そこでは永楽即全の黄交趾の皆具がとても綺麗な山吹色を見せていた。
わたしの一番好ましい色合いのもの。ほしくなる色だった。

他に馬術の巻物も出ていた。
紀州徳川家の馬術図巻 「かたみたれ」「踊足」「そろへ足」「千鳥足」四態が描かれているがよくわからない。

もとの先はわからないが「馳術図誌」というのもあり、これは乗り方の手本。
「携杓漱馬」「脱手昴低」「鞍上凸字」「驥背凹字」「左傍偏翔」
立ったり、腹に抱きついたまま走ったり、なんかよくわからないな。

茶道資料館は3/2まで。

大西では小さくて可愛らしい猪口くらいの大きさの盃や茶碗などを畳の上にあつめて、一見無造作な風においていた。
しかしその設置・配置は見事なもので、見ていて飽きが来ないように計算されていた。
やきものだけでなく、中には鼈甲もある。面白い。

本業の釜では二世浄清のいいのが目を引いた。
浜松地富士形釜 これはベルに似ている。そして丁度これはよそでも見たばかり。
耳に海老というのもしゃれた釜がある。
凄く楽しい意匠だった。こういうセンスはめでたいから、というだけでは生まれないと思う。

いいものを見るとやっぱり機嫌がよくなるものだ。
大西清右衛門美術館も3/2まで。
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア