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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

描かれた風景 絵の中を旅する

静嘉堂文庫美術館は今回の展覧会終了後、改修のため一年半ほどお休みになるそうだ。
ご近所の五島美術館や表参道の根津美術館も長いことお休みした後、現在のような素敵な状況になった。
お休み中ここの素敵なコレクションを見ることは出来ないが、リニューアルオープン後を楽しみに待つしかない。

「描かれた風景 絵の中を旅する」
自分の今いるところから、どこかへ向かう気にさせてくれる展覧会だった。

四条河原遊楽図屏風 久しぶりに見た。
前回2012年の感想はこちら

前々回2008年のはこちら
このとき、修理完成記念として世に出て来たのだ。

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今回も楽しく眺めた。
また色々と新発見もあり楽しい。右1扇の小屋の太夫二人はそれぞれ虎皮・豹皮を椅子の背に敷いている。駕籠かきもたくさんいるが、そのうちの一人、なかなか可愛らしいお兄さん、赤い下帯がほどけていて、おしりがはっきり。これも楽しいw
駕籠の中には母子もいて、子供は人形と猫人形とで遊んでいる。
風流笠もいるが、みんなそれぞれ違う花を飾っている。竹笛を吹く舞人もいる。
見世物ではハリネズミに大女に犬の芸などもあるが、今回目がいったのは左6扇の能舞台だった。なかなかの美少年が舞台に立っているが、客の中にも若くて可愛い美青年がいた。
こういうのをみつける楽しみがあるから、本当に遊楽図は好きだ。

小柄や鐔にも名所図が施されている。
野々宮、宇治の茶摘み、橋合戦などなど。橋合戦の裏には、どうみても投降しながら渡河かるようにしか見えない平家の姿がある。
江戸の人々は今の人よりずっと教養があるから、これらを見て「ああ、あれ」となる。わたしたちも見習わなければならない。

国貞が美人画、広重が風景を担当して五十三次を描いた連作がある。双筆五十三次。
ここではないところでも見ている優品である。
そういえば見にきそびれてしまったのだが、随分前に静嘉堂文庫所蔵浮世絵で国貞展が開催されていた。
所蔵のそもそもは岩崎弥之助からだが、兄の弥太郎は国貞のいた時代に生きていたのだ。
江戸と三菱がつながった気がしたコレクション。56図のうちから後期は14図が出ている。
日本橋、はら、吉原、岡部…石薬師まで。
はら…白酒売り。吉原…富士見西行。岡部…雪が降る。二川…腰元二人のシバキあい。赤坂…三河万歳の二人。
色々見どころがある。

広重 六十余州名所図会 これもいい。解説によると「名所江戸百」の寸前の作らしく、ここでよかったのが江戸百でさらに発展したようだった。
厳島、錦帯橋、和歌之浦、薩摩坊ノ浦双剣石・・・こんな絵を見たらやっぱり旅に出たくなる。

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本でみる名所図会と言えば「都名所図会」。これが出て来るのは当然と言う感じなので、「キタ~♪」。
開いたページには近江八景が出ていた。

広重の八景図が二つ並ぶ。
安政三年の近江八景と翌年の金沢八景。
朝の近江八景。色も濃く、白帆もたくさん見える。
夜の金沢八景。薄い青の夜景。山の位置の面白さがある。

池大雅 富嶽図 富士の何合目か、岩や木がなんやかんかある位置から頂上をみる。「六根精浄」とか言いながら上るか、「慎み敬うて祈願奉る」と言うか。

山口素絢 富士山図 薩多峠あたりからの眺め。「切られお富」だったかな・・・

白鶴園景勝図巻 文政四年 実際にどこの庭園かはわからないそうだが、素敵な大名庭園。梅林に小川などがある。そして無人のその空間にウサギがいた。丸くうずくまるウサギ。なんだか嬉しくなった。

滝和亭 六義園図巻 維新後廃れていたのを岩崎弥太郎が買うて、復興させた。たくさんの松にそれぞれ銘をつけたか、画中に短冊がついている。
わたしは秋のライトアップに行ったが桜のそれはみていない。今度行ってみたい。

酒井抱一 富士山図 シンプルな色、かっこいい。こういうセンスがやっぱりいい。

蜂須賀家に仕えていた蒔絵師・飯塚桃葉の硯箱などもある。この人は重喜公に召抱えられたが、公が若くして失意のうちに隠居してからは、そのお心を慰めようと、さまざまな意匠を凝らした蒔絵作品を拵えたそうだ。

堅田図旧襖絵 今では土佐光茂だと言われているが、二曲一隻・六曲一双に仕立てかえられた一連の堅田図。
農村風景から始まる。牛もいて、すぐそこには琵琶湖が見える。とはいえ浮御堂も見えない。落雁も別にいない。
また堅田といえば居初家が有名だが、その屋敷も見えない。堅田といえば堅田、どこか湖岸の村といえば湖岸の村の風景。

伝・雪舟 西湖図 ロングで小さく特徴ある橋や人を描く。

鈴木芙蓉 那智山大瀑雨景図 寛政十年 これはまた面白い構図で、那智滝に大雨が吹きつけてきて、それがために滝が右側に大きく流れている。こんなの見たこともないし、現実かどうかは知らないが、とても面白い。

田能村竹田 風露真趣図巻 文政六年 京都に居て楽しかった事共を絵日記風に描いている。雀などもそこに描かれ、心の赴くままに楽しいことを書き連ねる。すばらしいなあ。

景徳鎮の青花湯呑がいくつか。中に張継の「楓橋夜泊」(「夜半鐘声」のあれ)の詩をしたためたものがある。
わたしも好きな漢詩。月落烏鳴霜天満 姑蘇城外寒山寺 ・・・

龍泉窯の青磁香炉もある。これはまた貫入が綺麗に入っている。七官手。ああ、薄くて綺麗。

貫名海屋 月ヶ瀬探梅図 天保六年 「笠置隔つること数里」で始まる紀行もの。頼山陽が月ヶ瀬の良さを喧伝してから大人気になった。そこで海屋も行ってみれば「ああ、いい感じ」というのを絵と文で記していったのだ。
こういうのが絵描きで文も堪能なひとの、旅の醍醐味なのだろうと思う。

今尾景年 耶馬溪図屏風 明治28年 実際には行ってないのだが、聞いたり本を読んだりで描いたそうな。
しかし画家の想像力は怖いもので、ものすごく力強い風景として描かれている。 
ここも旅の名人・頼山陽が書いたのだっけ。彼の後、明治に大町桂月が現れたが、本当に幕末の旅名人だと思う。

わたしは耶馬溪は行ったことも見たこともないので、ちょっと出かけてみたいと思っている。

旅へ行きたくなる、浮かれ心をくすぐる展覧会だった。3/16まで。
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