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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

・安治の江戸東京 ・歌麿とその時代 ・竹の美

明日までの展覧会の感想を簡素に挙げたいと思う。

・がすミュージアム「安治の描く江戸東京」
元治元年に生まれ、明治22年に25歳で亡くなった井上安治の作品と、平成25~26年現在のその地の写真とが共に並んでいる。
17歳から25歳まで「東京真画名所図解」という連作を拵えている。今回はその全134点から40点を集めている。

二重橋、日枝神社、九段坂、神田明神、柳橋、と見てゆく。神社の境内は案外現代と変わらないが、全くにていない地も少なくはない。

柳橋夜雨 人力車が多く行き交う。傘を差しながら提灯を手にして動く。客待ちの車夫を犬が見上げる。
人力車は明治の「新しい」乗り物である。これは安治の見たリアルな情景かもしれない。

現代の柳橋の写真を見る。半世紀前まで続いていた柳橋の花柳界も今はなく、特性を見せない景色になっている。

神田ヨリ出火、久松町焼失の図 えらい大火である。この界隈はあまり戦災もうけなかったと思っていたが、それ以前にこんな火災があったのだ。

久松署のあたりの写真。わたしの定宿が近いので、人形町へ行くときはよくここを通る。

愛宕山 茶店から眼下に広がる東京府を眺める。

99年を最後に愛宕山に行っていないことを思い出した。山の上のNHK博物館が結構好きだったのだが。
あそこからはもう東京タワー、森ビルくらいしか見えないように思うが、猫がたくさんいたのを忘れない。

安治はシンプルな描線で繊細に風景を表現する。
人々の個性は薄いが、全体として善良な様子を感じさせられる。

芝増上寺、根津神社、湯島天神、と江戸時代から続く名所を見る。現代よりもずっとその地は人々に愛され、またなじみのある地だったろう。

湯島台白聖堂ノ月 満月が出ている。聖堂の長い石塀は今も変わらない。電柱が立ち並ぶ。明治の世は電波を運んできたのだ。

現代も湯島の聖堂の長い塀を見ると、昔の世を思う。車が通ろうが通るまいが。

向島桜 薄ピンクの桜はソメイヨシノか。ぞろぞろとそぞろ歩きの人々が楽しく眺める。一瞬BLかと喜んでしまう二人組もいる。

今も隅田川沿いの桜はきれいだが、向島辺りまで来ると花より「言問団子」がほしくなる。

軽く見て回ったが興味深い展覧会だった。

・八王子市夢美術館「黄金期の浮世絵 歌麿とその時代」
中右瑛さんの監修の企画展で、知らない絵がとても多かった。

歌麿 高名美人見立忠臣蔵 序段から十二段まであるようだが、序と11段がでている。これらは見立てものなのでリアルな状況ではなく、たとえば11段目の吉良捕まえの様子も、なじみ客を吉良に見立てて女たちが押さえつけ、そこへ大石内蔵助にあたる花魁がずん、と来る。
妓楼での駆け引きもすべて忠臣蔵に結びつける「見立て」は楽しい。

歌麿 三国志雪中訪問 孔明に会いたくて三回も訪ねる劉備。手前に彼ら三人と奥にその様子を眺める孔明の姿がある。歌麿の中国歴史画は殆ど見たことがない。

歌麿を手鎖にした「太閤五妻洛東遊」があった。
筆禍事件は知っていたが、その原因となったこの絵は本当に初めて見た。

見慣れた大首絵もあるが、それらより群像図の方が目に残る。

秀麿、月麿、藤麿、式麿らの作品が並ぶ。
師匠譲りの美人がいろいろ。というより、歌麿風カップルを多く描いている。

全く知らない絵師の作品も少なくない。
絵も絵師も初見ばかり。
白峨、文滝、千万。知らないなあ。

勝川春暁 若松屋内緑木 洗い髪に簪を挿す立美人。彼女をお世話する女もまた変わった髪型で、なぜかV字型に髪をはねさせている。

歌麿と同時代の絵師と言えば豊國と北斎がいる。
豊國の役者絵、北斎の肉筆画などが少しばかりある。
しかしそれらより滅多にみない絵師たちの作品の方が面白かった。

同時代と言うても少し時代が下がった絵師たちの作品もある。

英山 品川料亭の図 鉢や皿が茶色い鉄絵で、染付はまだこの次の世代の絵師たちを待たねばならない。

英泉 美艶仙女香 潮くさき美人やふねの朝霞 目つきが凄い。遠目ではわからぬえろさがある。

国貞 団扇絵白井権八 岩井半四郎の目千両さがくっきりと描かれている。可愛いなあ。口元もきゅっと結んでいる。

面白い展覧会だったがリストがないのとこちらに時間がないのとで、残念ながら詳しくかけない。
もう巡回も北九州だけ。
関西には来ていないのでぜひ来てほしいと思う。


・大和文華館「竹の美」
黒川古文化研究所「松の美」、泉屋博古館「梅の美」と三館連携の展覧会で、タイトルに沿う作品を交互に貸し出ししあい、楽しく展示していた。

最初に見えたのが青磁筍花入。これは泉屋分館から。(以後、所蔵先は最初の二文字などで示す)
中庭の竹と共に遠近感を無視しながら眺めると、ますます魅力が深くなる。ガラスの向こうで竹が風に揺れている。こちらの竹は動こうとしない。

楊柳観音図 高麗 泉屋 黄色い肌の観音が左下にいる小さな善財童子の様子を見守る。

伯牙弾琴鏡 唐 黒川 銀が白いまま、緑も一部だけ侵略して止まっている。ふくらみがある。琴を弾く高士。

竹燕図 馬遠・款 南宋~元 黒川 小さく可愛らしい燕たちが竹林で楽しくチーチー。

探幽縮図 大和 たいへんカラフル。彼の縮図帖は見飽きない。いつかそればかりの展覧会があれば面白いかもしれない。

檀鴨・竹狸図 森徹山 泉屋 マユミの花か実かが海棠のような色を見せて生っている。狸は可愛らしい。地べたのオケラをクンクンクンクン。毛並みがよくて撫でてみたくなる。

紫地三彩草花文花文碗 明 大和 紫で塗りつぶされてても蝶はひらひらと飛んでいた。
これを観ていて「法花」への道が見えたような気がした。

竹虎硯屏 朝鮮 泉屋 ばーんっと四角いスクリーンの枠から飛び出してきそうな虎と目いっぱいの竹林。迫力があった。
しかしこの硯屏、虎の勢いが強すぎて、知らぬ間に出かけてそう。

群雀に竹透鐔 黒川 小さな枠の中に、切り絵のようにたくさんの雀たち。可愛いなあ。蔦のように絡み合う雀たちは18羽いた。

竹岸蘆浦図巻 漸江 1652 泉屋 非常に繊細な絵。蘆が群生する川岸、川の流れ、遠くの白帆、白い岩。筆と言うより鉛筆くらいの細さに見えた。

蘭竹図巻 銭載 1792 黒川 金箋に薄墨で描く。筆のかすれが金に染みてゆく。

四君子図 山本梅逸 1839 大和 可愛らしい色彩を使いこなす梅逸のモノクロ画。上方に白梅、地に蘭など。色をいまだ塗っていない、という風にも見えてしまう。

竹製蒔絵椿柳文茶入 抱一図案・羊遊斎作 大和 これは特に好きな名品。相変わらず愛らしい。蓋の黒椿に今日はどきっ。

白磁洞簫 明 泉屋 これは尺八の祖先らしい。それを白磁で拵えた。本物は竹。

他にも版本でペコロス頭の仙人、竹に這うカタツムリ、などなど見所の多い展覧会だった。
三館でスタンプラリーをしているので、それに参加するつもり。
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