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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

江戸絵画の19世紀 前期

今年も始まりました。府中市美術館「春の江戸絵画祭」。
今年のタイトルは「江戸絵画の19世紀」。
とりあえず4/13まで前期なのでいそいそと出かけました。

守住貫魚 袋田滝図 真正面から。モリモリした滝。ゴォゴォ音もしそうである。

森狙仙 猿図 出ました「猿のソセン」。松に登る二匹の猿、それぞれの表情と行動。ちょっと遠くを見る猿と松の上で掌をなめる猿と。

原在中 天橋立図 ーーーーーーと松並木が続く。凄い。松林と言うべきかもしれない。昔の方が松が多い。

織田瑟々 江戸法来寺桜図 きれいな桜。この女流画家は言えば「桜狂い」の人で、以前どこかで展覧会があったが、あのチラシはどこに行ったろう。

大久保一丘 伝大久保一岳 洋風の肖像画。丘の下に山がついている人は父上かな。

亜欧堂田善 河豚図 リアル!!!こんなんサバいてテッサにして、唐揚げにして、皮湯引きにして、てっちりにして・・・

田善 ミツマタノケイ(三俣の景) なにやら不思議な洗濯干し場ですな。

田善 大日本金龍山之図 浅草やね。大仏もある。天狗面を背負う人もいる。全国どこでも歩くのね。

田善 陸奥国石川郡大隈滝芭蕉翁碑之図(「青かげ」挿絵) 大パネルがある。どっどっどっと流れがある。

豊原国周 流行三組三人勝負 幕末の人気役者三人のオフの姿を描く。(もちろんそれは絵師の妄想・客の望みである)左は月夜の菊五郎、中は花菖蒲の田之助、右は橘乃市。刺青を入れてきれいな肌だった。

岸恭 四季花キ図屏風 福寿草、スミレ、たんぽぽ、菜の花などがイキイキと咲き、まるで合唱するように見えた。川を挟んで花々が元気。菜の花に牡丹も和するように見えた。夏の花たちは川を挟んでその様子を見おろしている。ちびの豆花もそう。百合たちは「ねぇ」と言い合うようだった。

魚屋北渓 雲竜図 墨絵で龍の骨を描いているが、ウナギの骨を思い出した。

島琴陵 強面の龍に比べ、シナ作る虎だが、目はさすがに怖い。板橋区立美術館所蔵というのも納得。

国芳の通俗水滸伝シリーズが三枚。
呉用、石勇、張横。この連作はとても好きで本当にかっこよくていい。何度も見ているが、見る度に新発見がある。
たとえば呉用は天球儀をそばに置くが、○に放射線状のついた星が描かれていたのを知った。
張横の刺青は鷹に狙われて顔を覆う猿だった。
すごいセンスだなあ。

古市金峨 雲龍図 ↑まーっすぐ顔を上げる龍がなにやら可愛い。

安田雷洲 丁未地震 1847年の地震。これは八年後にも使い回されたそうだ。幕末は大きな地震が続いたのだ。

狩野一信 七福神図 大画面にバラバラ。探すと、いたいた。宴会に三人、水辺に二人、鹿に乗るのが一人、あとはどこだ・・・

狩野一信 布袋唐子図 頭に袋を乗っけて子供らと川で遊ぶ。亀もいた。わいわいがやがや。

祇園井特 芸妓図 二人の芸妓がいる。左は座りながら髪に手をやり、そばには三味線がある。右は立ちながら文を読む。どちらも笹紅をさしている。

小田海僊 雪中松鳩・雪中竹雀図 右幅の青鳩は何かをくわえている。左の雀がいる雪中は紙の破れを雪に見せているようだった。

古市金峨 瀑布図 ゴーーーーーーーーーーーッッッ・・・

鈴木其一 琵琶湖風景図 摺針峠辺りからの風景。

田中訥言 若竹鶺鴒図屏風 鳥が鶺鴒かどうかはわからないが、なんだかカッコイイ。

鈴木守一 秋草図 描表装。印章ぺたぺた。ウズラが飛ぶ。

原在明 桜鞠・紅葉鞠図 右幅は桜に鞠が吊られている。
左は紅葉の木に挟まれている。
単に見栄えで描いたのではなく、意味のある構図らしいが、蹴鞠にも色々作法があるものだ。

葛飾北斎の諸国滝廻りが出ている。
前期は大山ろうべんの滝と、木曽路のが二本。奥阿弥陀ケ滝はチラシになっている。滝見の遊山客が重箱をもってきて、酒の燗も滞りない様子。流れ出した滝は白い奔流だが、上部の水の集まりはマーブル文様がみえる。そこだけ異界のようだった。

岡田米山人 松下牧童図 笛を吹く坊や。

忍頂寺静村 坂田金時立身図 こういうのはヘタウマとでもいうのか、なにやら変な絵である。
金太郎から金時になり、功成り名を遂げたときに久しぶりに実家の足柄山に帰ると、遊び仲間の熊もウサギも猿も鹿もみんな丁寧に平伏、イノシシとソマもまた。駕籠かきたちも控えているが、なんだか妙な絵。

忍頂寺静村 蓬莱山図 めでたい景色だが、なんか堅いな~

上田公長 狐の嫁入り図屏風 まじめな顔の狐たち。もっともこういう狐でもネズミでも擬人化されているものたちがニヤニヤしていては話にならない。
公長は逸翁美術館にある猫の絵が特にいいのだが、こちらもいい。

高橋景保編・田善版刻 新訂万国全図 文化13年の世界地図。この前日に江戸博「大江戸と洛中」展で田善の地図を見ている。

山口素絢 洋美人図 母子、侍女、乳母と四人美人。和美人を得意とした素絢の洋美人。

田善 海浜アイヌ図 これはここでしばしばみかける図だが、こうした展覧会で見ると、また趣が違う。立つ男と座る女。その女のクールさがいい。

松井保居 天竺錫蘭島霊鷲山 スリランカである。セイロン島。そこに霊鷲山があるという説もあったとか。
シギリヤ・レディースの壁画を想う。

雷洲 水辺村童図 洋風な表現で、籠を背負う男と子供をおんぶする子とを描く。

小森桃ウ ヒポクラテス像 蘭方医だったそうだ。そうなるとこの画題はまことに理にかなう。
絵の元はブーシェのそれ。三人の天使がいる。
正直なことを言うと、ルノワールのオバサンぽい風貌だと思った。

春木南溟 虫合戦図 蛙をウマにして乗る蝉、朝顔の大砲がどーーーんっっっ1854年の作。黒船の来た後の絵。
「昆虫王者ムシキング」というのを思い出した。

国芳 山海名産尽がきている。
近江の国源五郎鮒 強風で紙が飛んでゆく。
大和奈良さらし 春日山、二月堂、などがある。臑を見せる二人の女のもとへ奴凧が落下。久米仙のようなものですか。
信濃蕎麦 「くまのい」熊の胃もあるらしい。碓氷峠で客を連れ込もうとする女。

小泉斐 富岳写真 文字通り取ると「富士山の写真」だが江戸時代はそんな意味ではこの単語を使わないし、意味は通らない。
リアル風景を写してみました、というのが近いか。
岩のごつごつしたとこなどが描かれている。銚子口、宝永山などなど。
名前は「アヤル」と読むらしい。

広重の五十三次もある。なに版かちょっと忘れた。
赤坂旅舎招婦ノ図 宿の中には蘇鉄が生えている。あんまも呼んだし、ご飯も来たお宿。

冷泉為恭 高台・日・月図 左に三日月。実はこれは仁徳天皇の故事を描いている。平安朝な衣服ではあるが。だからこの高台は高津らしい。

為恭 春日神宝兜図 細かい表現!!義経奉納という伝承がある。

為恭 在原業平像 不退寺伝来。筆で冠ついて「う~ん」な姿。

原在中 二見浦富士図 さーーーっと富士山から差してくる初日の出。こんなに来るかどうかは別として。

国貞 月の陰忍逢ふ夜連作四枚が並ぶ。何かの弾みで光が射し込む様子を描いている。
障子、網行灯、行灯、提灯。いろんなシチュエーションでの様子。艶めかしいものとそうでないものと。

田善 ヨシハラトテノケイ(吉原土堤の景) 駕籠屋が走る図。吉原へ往来できる駕籠屋は二軒だけだったらしい。
こう言うのを見ると石森章太郎(当時)「さんだらぼっち」を思い出す。
英泉 美人図 涼む。シルエットで宴会の楽しさを表現。踊る人もいる。

国芳 三拍子娘拳酒 呉須手の器が見える。国芳は染付が多くて楽しい。外からの梅影が素敵。こういうところを見ると、彼の血脈を継いだ清方、深水らの表現が思い出されるのだ。

塩川文麟 柳汀飛蛍図 墨絵。そぉっと飛ぶ姿。情緒がある。

清親 天王寺下衣川 並ぶ家のうち一軒だけに灯りがともる。おもては蛍だらけ。昔はこんな情景がこの地にもあったのか。

清親、安治の作品で一番感じるのは「開化」ではなく「ノスタルジー」なのだ。

清親 川口鍋釜製造図 この時代から鋳鉄の場として川口は活きていたのか。キューポラのある街。赤々と燃える、鋳造中。

田善 シハアタコ(芝愛宕) これは面白い構図。洋風になると構図も違うから、そこらが面白い。また茶屋女が何故かおフランス風ザンス。

田善 墨堤観桜図 常設でおなじみの一枚だが、ここにあるとまた不穏な空気を漂わせる絵やなあと思う。

保居 四条河原夕涼之図 その中にいるのではなく、室内から芸妓が二人で勾欄越しに外を眺める図。虹も出ていた。これは溝口健二の映画みたいな感じがする。

高橋由一 墨水桜花輝耀の景 これまた先の田善の桜同様なんだか不穏な桜。この二枚だけ見ていると墨堤の桜は嵐に対抗しようと待ち構えているような気がする。

田善 花下遊楽図 茣蓙を敷いて花見する人々。立花家史料館蔵か。以前にここの「御花」で遊んだが、素敵なところだったな。立花家のひな祭りも見たし。柳川の河も楽しんだし。

小倉柳村 向島八百松楼之景 廊下の女中がふっと外を見る。宴会もまだ続くらしい。
この絵師もいいのを少しばかり残してさっさと消えてしまったなあ。

谷文晁 不動尊像 う~ん、どーんっっっ て感じの絵。墨絵で→こっちむきに座し、ほんと、怖い顔でむぅっとしている。背後の炎もええ形。
正直なところ、墨絵でシンプルだけど、刺青の柄にすごく良さげやと思う。

谷文晁 水火仙客図 海上でにこにこ飲む男、火の中で書を見る男。仙人もパフォーマンスが忙しい。
全然関係ないが「八犬伝」の犬山道節は火遁の術を体得していて、寂寞道人肩柳とかいう名で火の中で往生するとかなんとか言うて、御賽銭と言うか寺銭集めてたな。

中林竹洞 春郊放馬図 おとなしそうな馬二頭がのんびり。

岡田半江 雪景山水図 中国。静かなどこか。ありえない地。

池田孤邨 大黒天図 怖い顔である。笑うてても怖いのは「暴悪大笑面」か大黒天くらいか。これはやはりあれよ、武闘派としての大黒さんです。こないだ熱田神宮宝物殿で見た戦う大黒さんを思い出した。打出の小槌で敵のアタマ一撃粉砕してはりましたわw

狩野芳崖 鏻姫像 赤っぽい着物で狆を抱っこする姫君。赤姫ですね。大きな笄を挿している。実在の方で長府毛利家のレイ姫と読むそうだ。難しい字。狆は当時「犬」とは別種と見なされ、犬よりずっと高等生物だと扱われておったらしい。

其一 毘沙門天像 真正面向き。どーんっと。手には何やら仏具が乗るのだが、その物腰がどうもわたしには、お客に迫りくる商売人のように見えて仕方ない。硬い顔つきだが案外うさんくさくそうにも見える。
とはいうものの、もしかすると手に乗るのは養毛剤かもしれない。


雷洲 鷹図 海の中の岩にいるが妙なナマナマしさを感じる。

其一 草花図屏風 白梅に罌粟に桔梗。蝶々が軽やかに舞う。ほっとする屏風。

其一 神功皇后・武内宿禰 赤ん坊は爺さんに抱っこされている。この取り合わせは明治以降戦前まで五月人形の仲間入りをしていた。
二人とも明治のお札にもなっていた。以後は昔のものでしか姿を見ない。あとは祇園祭の人形くらいか。

国芳の「今様七小町」が並ぶ。見立てなのでどう見立てになっているのかをも楽しむ。
かよひ 籠に手を掛ける男。
きよ水 滝を見ながら煙管持つ。白の狩衣さん。
雨乞い 川端に立つ男。
そとは 外に狆と座る夕涼みの娘。
関てら 蛍が飛び交うのをみる。
あらひ 風呂上がりの涼み。紙洗いと髪洗いを掛けているのね。
あふむ 扇に書こうとしているところ。


長々と(しかし一つ一つは短い)感想になったが、書きやすい、楽しい気持ちで書き上げました。
やっぱりええなあ、府中市美術館「春の江戸絵画祭」は。
後期もむろんお訪ねします。ああ面白かった。

前期は4/13まで。後期は4/15~5/6。
ワークショップも楽しい。
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