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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

山の神仏 吉野・大峰篇

大阪市立美術館で「山の神仏 吉野・熊野・高野」展の前期を見に行った。
「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録10周年記念らしい。
実際に自分が行ったところと言えば、ごく小さい頃に吉野に一度、おとどし夏に高野山、熊野に至っては出向いたことさえ、ない。
98年秋にこの大阪市立美術館で「役行者と修験道」展を見て、そのときに金峯山寺からか、巨大な蔵王権現がおいでなさったのには、強い感銘を受けた。
また、07年の京博「藤原道長 金峯山埋経一千年記念」の記憶もみずみずしい。
(その時の感想はこちら


なぜ「山」に神仏の霊場があるのか。
そのことについてはここでは措くとして、今はときめきだけを大事に、まずは吉野・大峰から参ろうと思う。

最初に現れたのは、蔵王権現立像 奈良 金峯山寺 の力強い像だった。
背後の輪には炎が燃え立ち、その炎だけに赤い色がはっきりと残る。台座には綺麗な唐草と車輪のようにも見える法輪がある。
括目せよ、と言われた気がする。その言葉を思いながら中に入る。

蔵王権現立像厨子 奈良 如意輪寺  厨子には四季が描かれている。しかし経年劣化のためにか、わたしにはなにやら恐ろしくも見える。

蔵王権現立像 大峯山寺  一体は口を閉じる。ただしポーズはどこかユニークな…懐かしき「フィーバー!」のポーズに近いように思う。
もう一体は口を開けて立つ。しかしこちらは肩から先が欠落している。

蔵王権現立像 大阪市立美術館  市民からの寄贈品で成り立った美術館。素晴らしい神仏像が数多くあるのも特徴なのである。
金銅製で鋳造のあり方というものを実感させられる。爪もきちんと処理された像。

蔵王権現鏡像 大阪市立美術館 線描が「踊る仏像」にみせてくれる。

役行者が様々な神様をお招きしたとき、岩を割り顕れた憤怒姿の蔵王権現にこそ、となったのだった。

役行者倚坐像 奈良 櫻本坊 立派な脛を出している。これが櫻本坊の御本尊。髯はなく老人ではなく壮年。とはいえ、その足の逞しさと裏腹にあばら骨がくっきりしすぎているではないか。

役行者坐像 櫻本坊 こちらは座って顎髭を伸ばした老人姿。目がやや上向きである。袈裟も着込む。リアルサイズの姿。
わたしは子供の頃「新八犬伝」で役行者を知ったのだった。
辻村ジュサブロー師の人形がわたしの役行者ヴィジュアルの基本です。
これはそれに近いかもしれない。

役行者坐像 金峯山寺 合唱するというよりアーメンの手である。胡坐しての印。

前鬼・後鬼坐像 金峯山寺 この二人組は前からファン。ブサカワなところがいい。
前鬼は眉も山山してて、ヨキ持って髪逆立てて、下帯一つで正座。相棒はちょっとくりくり髪で口閉じて、やや寄り目。いいコンビやなあ。

大峯八大童子立像 櫻本坊 少年フィギュア。それぞれ可愛いなあ~~ここに属するオリジナルの少年たち。オーミネ・ボーイズ。檢増童子、護世童子、虚空童子、剣光童子、悪除童子、香精童子、慈悲童子、除魔童子とそれぞれ名前がついていて、コスチュームも色々、髪型も別々。特にピックアップしてみると…
護世童子 伏し目に見えたが実はアップで見たらかなり怖い目をしている。
剣光童子 丸いおでこで一見温和そう。
香精童子 みずらが可愛い。合掌している。
悪除童子 肩にかかるカールした髪。
虚空童子 杓持つみずら少年。やや長い輪になった髪。にっこり。
慈悲童子 おっちゃんぽい。そうそう、昔は「とっちゃん小僧」とか言うたな。
檢増童子 ムンッと静か。紐を手にして、後ろはサザエさん
除魔童子 すごーく逆立つ髪。

役行者母公倚坐像 櫻本坊 口を開けている。犬歯はない。マントのように蓑をかぶる。
この母上を人質にされ、朝廷により伊豆に流された。
伝承では一言主の讒訴によるとあるが、長岡良子の「古代幻想シリーズ」の作中では、高弟の韓国広足による、という設定だった。

吉野に関わる神仏相関図の様相を呈する曼荼羅を見る。
吉野曼荼羅図 奈良 西大寺 南北朝時代 子守明神がたいへん美人である。
吉野曼荼羅図 金峯山寺 南北朝時代 前鬼は完全に鬼だが、なにやらかっこいい。
吉野曼荼羅図 兵庫 太山寺 室町時代

大抵は上部に大峰八大童子がいて、子守明神を母神とする若宮、向かいに毘沙門天を本地とする勝手明神と若宮とが配置されている。
わたしもこの辺りをもっと勉強しないといけないが、今はとりあえず解説を読むばかり。

吉野曼荼羅図 滋賀 市神神社 1607年 役行者らの前に出現する蔵王権現。周囲には白い顔の様々な神仏がいる。

厨子入天川諸尊像 これがすごいボックスアートで、中に神仏フィギュア20体が入っていた。三次元曼荼羅なのである。

藤原道長経筒 (大峯山山頂出土) 金峯神社 この国宝は前述の展覧会の後からよく世に出てくるようになった。日本仏教史上とても重要なアイテムらしい。金は千年の後にもピカリと光る。

如来・菩薩坐像 (大峯山山頂出土) 大峯山寺 ミニチュア仏二体。金ぴか。

大峯山全図 大和文華館 これはまたなかなか大きい。ここにこうしたものが所蔵されていたのか。双六に見えてしまった。険しい双六である。

吉野子守明神像 おお、真正面向きの女神さま。こちらは丁度去年の今頃東博で開催されていた「大神社展」のチラシのメインの方ではないか。
(感想はこちら
なんだか慕わしい感じがある。

左右に分かれ、少し離れた位置にあるのが、
獅子・狛犬 奈良 吉野水分神社 ニャーッ ムフーッ ファーッ フンッなコンビ。

子守明神像 櫻本坊 1655年 若宮と獅子と狛犬と一緒。息子もいるし、犬もいれば猫もいる、な状況である。ママは黒目部分が赤目である。ちょっと妖しい。鼻の下の人中がくっきり。若宮は払子を持っている。

鏡に線描したものがいくつもある。
子守明神鏡像、子守三所明神鏡像、若宮鏡像、勝手明神鏡像 子守明神はいずれも唐服女神。

勝手明神像 櫻本坊 毘沙門天の本地で武装。弓を持つ。息子と一緒。緑の多い絵。

聖徳太子・二王子立像 金峯山寺 16歳の太子孝養像なのだが恰幅が大変良く、福留孝介選手によく似ている。左右にいる小さい王子二人はそれぞれ息子の山城王子と弟の殖栗王子。抜きんでた太子。

童形神坐像 (伝聖徳太子坐像) 奈良 竹林院 手がグーとパーである。ふと日月を示しているのかも、と思った。何の脈略もないわたしの妄想である。温厚そうな様子。

釈迦如来立像 金峯山寺 鎌倉時代の像で、螺髪の間にも赤い石が光り、額には白い石が光る。これは小動物の骨灰を塗布しているそうだ。

阿弥陀如来立像 奈良 如意輪寺 9世紀。指の細さに惹かれる。

不動明王立像 櫻本坊 アイテムとしての縄も剣も完備。ウィンクしていて、ちょっと優しい感じもある。

薬師十二神将像 金峯山寺 これはまた面白い。武装しているのはいつものことだが、顔つきが楽しい。それぞれ今にもしゃべだしそうなツラツキなのがいい。

天狗立像 奈良 喜蔵院 立派な立像の天狗。そんなに大きくはないが、鼻の立派さに感心する。まだ中堅どころのような感じの天狗。
そういえば神奈川歴博で高尾の天狗を中心とした展覧会を見ているが、あのときもけっこう色々像が出ていたな。
「天狗推参!」の感想はこちら


十一面観音立像 奈良 世尊寺 かなり大きな像。足指くっきり。首から上は鎌倉時代だが、下は8世紀のもの。

大日如来坐像 奈良 来迎院 室町時代 細い眼で睨まれた!宝冠が見事。なにやらつめたそうである。

如意輪観音坐像 奈良 鳳閣寺 夏目雅子か壇蜜のような美人である。しっとりしている。12世紀。一面六臂で金が剥落しているが綺麗。

不動明王立像 京都市 あら珍しや京都からか。1276年。ムーーーーッとしている。

天部形立像 奈良 龍泉寺 平安中期 虫食いがかなりひどい。すごいな。

阿弥陀如来坐像 奈良 大日堂 ああ、端正だな。とても綺麗なお顔。すっすっとした美貌。

吉野・大峰はここまで。
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