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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

名品に逢う 日本・中国美術の傑作

白鶴美術館の今年の春季展示は『名品に逢う 日本・中国美術の傑作』ということで、例によって静かで魅力的な空間に名品がいい感じに配置されていた。

長いことここに通っているのでおなじみの作品も多い。
しかしそれでもやっぱり展示期間が始まるとイソイソと出かけては、ちょっと前に見たのと同じものを見たり、懐かしいものを見たり、忘れていたものを見る。
基本的に変わることはない。
それでいてあきない。

十年以前のここと今のこことは違う風が吹いている。
今は撮影禁止で、そして一つ一つの作品に丁寧かつユーモアあふれる解説がつくようになっている。
解説を読むだけでも楽しめる展覧会。
それがいいことかどうかは別としても、とても力の入った内容であることは間違いない。
例によって好きなもののことを書いていきたい。

唐三彩鳳首瓶 唐時代 やや白地が多いところへ垂下する釉薬。それらが混ざり合っている。

白掻落花文水注 北宋時代 くっきりした模様が素敵。これらは早い時期のものだとある。

白地黒掻落龍文梅瓶 北宋時代 例の「その龍には肉球はあるか」の龍。
龍に肉球が(コヤツの場合は3つ)あることが世に知られるきっかけとなったブツ。
学芸員さんのチカラワザを感じるのはこんなとき。
その龍に肉球はあるか?―ささやかな日常感覚から見た古美術その龍に肉球はあるか?―ささやかな日常感覚から見た古美術
(2010/07)
山中 理



五彩魚藻文壺 明時代 国芳風に言えば「うおのせかい」。水中にオレンジ色の鯉が八匹スイスイ。MOAに兄弟がいる。出光にもいた気がする。オレンジは黄色で最初に焼成してから赤を塗って再度焼成して色を出す。やっぱりこれくらいの手間暇をかけないといかん。
14041601.jpg

金襴手獅子牡丹唐草文八角大壺 明時代 こちらは例の睫毛の獅子さん。獅子の睫毛を世界最初に発見したのはやっぱりこちら。ファンキーライオン。

鍍金龍池鴛鴦双魚文銀洗 唐時代 蓮弁14枚各自に細密に動物が刻まれている。中身については解説に詳しい。「なんだろう」と思う前に答えがあるので、ここには書かない。

鍍金狩猟文六花形銀杯 唐時代 やはり艶麗豊満な中唐の製品は何を見てもどれを見ても素晴らしいなあ。
プスッと矢が刺さり、ギャッな動物。狐はとりあえずピューッと逃げる。

白銅海獣葡萄鏡 唐時代 これまた葡萄がくっきりしている。

銀貼海獣唐草文八稜鏡 唐時代 これは解説のおかげで笑えた文様。
細かすぎて肉眼では判別できにくいのだが、アップ写真を見ると、狻猊が蔓草を噛みながら目を怒らせていた。がおーっと吠えそうな顔つき(噛んでるから声はなし)
こういうところを紹介してくれる楽しさ。

さて日本の工芸へ。
金銅小幡 白鳳時代 飛天たち、奏楽する姿もある。この頃は隋までだったな。
しかし隋から唐初期までは文化的に巨大な転換は見受けられなかった。
やはり国力が安定したことで文化力が高まって行ったのだ。

蓮華文螺鈿蝶型卓 平安時代 細かい螺鈿。これは蝶の翅の半分の形を言うようで、上から見ないとわからない。三脚テーブル。天板は朱色。実に細かい螺鈿細工がいい。

絵を見る。
阿弥陀三尊画像 高麗時代 阿弥陀さんの胸のやや上に卍文があるが斜めに向いているのでハーケンクロイツにも見えます。観音・勢至のお二人も髯。華やかな衣裳で、二人の意匠が違うのもいい。布質まで違うような表現。リアルな面白さがある。素足の爪は長くはない。

祥啓 瀟湘八景図画帖 室町時代 どの風景にも小さく人物が描かれている。人のいる風景図でもある。うち6枚が出ている。遠景の中の人々。

一階の床の間を見る。
田能村竹田 金箋春秋山水図屏風 春景が出ている。釣り人もいれば馬で行く人もいる。のんびりした空気。この頃は花粉症もなさそうで、みなさん春の気持ちよさを堪能中。
もっこを駕籠にしたようなものに乗る人もある。

狩野探幽 養老瀧図 さわやかーーーっ松も気持ちいい。

円山応挙 楚蓮香 1794年 楊貴妃以前の唐美人。清楚でほっそりした彼女には良い香りが常に漂い、蝶々がふわふわと寄ってきたらしい。

応挙 四季の月図のうち 春と夏 描き表装で月の周辺を巧みにサポート。
朧月は満ち満ちて、表装には桜。少し欠けはじめた月には叢雲がかかり、青々した草の表装には虻もとび、柳も青々、そよそよ。

二階へ。
行った日は曇っていたが港湾の様子もちらと見えるようだった。

さてここにはわたしの愛する殷代の饕餮くんたちがぞろぞろ。
饕餮夔龍文方卣をはじめ4饕餮。可愛い犠首くんもいてます。
寄り目で可愛いなあ。

関西には饕餮君たちがたくさんいるので、ファンの方は会いに来てください。
今だとここもそうですし、常設だと泉屋博古館、奈良博などなど。

象マークのついた尊もある。群青の錆が出ていてそれがアクセントになる。
可愛いゾウさんで、四頭もいた。こちらは西周。

古代中国でゾウさんをモチーフにしたものが案外少なくないのは、やっぱりゾウが住む国と行き来があったのだということを思わせてくれる。
中国大陸の南方の方にゾウさんがいたのかどうか知らんが。
(なんしかベトナムもフィリピンも我が領土、辺境の地、くらい言いかねんからなあ)
ゾウさんはハンニバル将軍が戦争に徴用したが、あれは紀元前218年だというから、中国の文様はもっと前から。
37頭の部隊の内、ハンニバルの乗っていたのだけアジアゾウで、あとはアフリカゾウだという説もあるしね。

賢愚経 乙巻 一巻 奈良時代 わたしは唐様の書が好きなのですよ…

二月堂焼経 巻題58 奈良時代 銀字が生き残った稀有な経。これは焼かれたことで生き延びたのかも、と勝手な妄想がわく。何かを失くすことで何かを得たのかとか。善財童子の話。
「不惜身命」と「善知識」の文字が躍る。

法華経(色紙経) 巻第八 平安時代 この巻と第一巻とは特に能書だとか。紙も綺麗。青が特に綺麗に染められている。

キャノンによる複製の「四季花鳥図」屏風が出ていた。
前の秋季展では一階玄関すぐの間に展示されていたなあ。
本物は今現在展示中。わたしはぎりぎり見なかった。


続いて新館へ。ペルシャ絨毯の特集展示。
子供用のワークシートをもらい、それを見ながら歩く。
わたしの好きな動物闘争文のが出ていた。これはけっこう血みどろ系で、ライオンが牛を噛んでます。
可哀想なのだが、やっぱり妙に好きな絨毯。

ペーズリーや花柄などのものを見る。無限に文様は広がるのだが、それを制限している。トリミングされた世界。

イスファンのアーマッド工房のが良かった。周囲に犬狼と水鳥が一緒にごはん食べる姿が続く。仲良しに見えたが、イソップ的な情景かもしれない。他にはカモメが飛ぶ。

ケルマンラヴァのは孔雀がペーズリーの前に立つ。優美な柄。

一つの花から様々な種類の花が咲き乱れる文様もある。
こうしたありえないものも可愛い。

ドラゴンとフェニックスの対の文様も面白い。

ドロクシのは、ライオン、孔雀、馬、鹿、インコ、ウサギなどが対のもの。

獅子狩文錦を思い出すものもあり、やはり文化の伝播というのは、面白い。

楽しい鑑賞である。
いずれも6/8まで。
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