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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

オランダ・ハーグ派

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の「オランダ・ハーグ派」展に行った。
「近代自然主義絵画の成立」という副題がついている。
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都市風景や物語絵が好きなわたしとしてはニガテな分野だが、それでも楽しめたし、なによりとても勉強になった。

第一章 バルビゾン派
ジョルジュ・ミシェル パリ近郊の風景  市中ならともかくパリ近郊というのはたいへん牧歌的である。
ロマン派風な趣があるのは、吹き渡る風の強さか。親子が連れ歩くが、道の他には何もない。
わたしがここの住民なら、やっぱりパリに出るよ。

シャルル・エミール・ジャック 森はずれの羊飼いの女  前記の画家に影響を受けたそうだ。
犬もいてのんびりした光景が広がる。羊は茶系統の毛並みで、なんとかいう種類か。モコモコノタノタした静かな様子。

ジュール・デュプレ 森の中 夏の朝  青空がとても濃くて、まるで海のような色にも見える。ブナ?の木の下には走る牛たちがいる。川で跳ねたり。
こんな森の中で走る牛を見たらびっくりする。

ミレー バター造りの女 吉野石膏コレクション。以前から親しみがある。
よく働く女の裾には猫がまといついている。茶色くて耳の丸い猫である。その場にトリもやってくる。奥の方でも働く女がいる。

ミレー 母の心遣い  男児がお母さんに服を上から着せられているようで、ぱんつなしなのではっきりあらわになる。それを既に支度を終えているおねえちゃんが見ている。
なんだか微笑ましい。

ドービニー にわか雨  羊たちを丘から慌てて連れ帰す様子。三匹の犬たちが大活躍。シープドッグというのだったか、声まで聞こえてきそう。

ルイ・アドルフ・エルヴィエ モンマルトルのムーラン・ド・ラ・ギャレット  なにやら廃墟ぽい感じがする。シケている。下に広がる住まいは例の貧民向けのものだが、それにしてもあばら家過ぎるではないか。

ヨハン・バルトルト・ヨンキント シャトー・ミーウング  外光を感じる。白い光が行き渡る。人々がゆく。牛もいるのだが、木がどうもタラの芽の天ぷらに見えて仕方がない。
つまんで食べてみたくなるような。

クールベ ルー川源流に架かる橋の水車小屋  ハッとなる絵だった。それまでのどちらかというとぬるま湯的なのんびりぽかぽかムードがいきなりこの一枚でバッッと変わった。
ロマンチックというか、物語がいきなり生き始めたような。凄くどきっとした。
この違和感は大切なものだと思う。

第二章 ハーグ派
ヴィレム・ルーロフス ノールデンの五月  明るい!浅瀬や草が明るい五月。牛もイキイキ。水面に空が映る。塗り方が新しいような感じがし、それが明るさを生かしているのか。

ヴィレム・ルーロフス 虹  まだ雨後の暗さの中に大きな虹が。右奥から昇って行って…半円を見せている。牛たちはしかし虹にも無関心。泥濘の残る道をゆく。

ヤン・ヘンドリック・ヴァイセンブルフ ハールレムの風景  ここにも牛。のんびりするのをロングで捉える。中には走る牛もいる。民家も遠くに見える。
視力がよくなるような景色。

牛ばっかりモウモウと湧いているなと思ったが、オランダにとって牛と海とは非常に重要なものだということを知らされた。

ヘラルト・ビルデルス 山のある風景(フランス・サヴォワ)  夕日がさす。優しい目の牛たち。山羊もいる。角がなかなか立派。
関係ないが、サヴォワと言えば「ブリキの太鼓」のロスヴィータかもしくはその親方がサヴォア公の子孫とか名乗っていたのを思い出す。

パウル・ハブリエル ヒースの荒野にある小屋  ヒースとは何かと言えば、と解説にある。「英国やアイルランドの荒れ地の低い植物、またはそれがある荒れ地」とのこと。おお~嵐が丘はそのままヒースの咲く丘で、ヒースクリフはやっぱり嵐が丘そのものなんだ~!
と、喜びながら絵を見る。
ぼろぼろの民家。洗濯物がやたらと多い。十枚ほどが干されている。女が座って何かをしている。荒涼たるものは風景だけではなかった。

ヴィレム・マリス 水飲み場の仔牛たち  なついてるね。パイプの男と少年とがいる。仔牛たちは喜んでやってくる。

ヴィレム・マリス ロバの番をする少年  仲間が多い。右手にいる少年がとても可愛い。薪を持つ。左にいる少年とのちょっとした緊迫感。ときめくなあ。
向こうにも少年たちはいる。映画のワンシーンのようだった。

アントン・マウフェ ラーレンの女と仔羊  ごはんを食べる仔羊なのだが、どうも猫に見えて仕方ない。女は仁王立ちしている。どうも飼い主としてなにやら文句を言うているようにも見える。

ヴィレム・デ・ズヴァルト 版画集をみる  ちびっこ姉妹が大きな本を開いている。その足下には五匹の猫がいる。籠に三匹、外に二匹。幸せそうな家庭を思わせる。

マタイス・マリス 出会い(仔山羊)  母親が赤ん坊と仔羊を会わせる。「仲良くね」そんな言葉が聞こえてきそう。

ベルナルデュス・ヨハネス・ブロンメルス 室内  これはいい雰囲気の絵。夫婦と子供たち。パパはイクメンで、子をだっこしてミルクを飲ませている。ママはお湯呑みに(コップとも言いにくい形)何か注いでいる。いいねえ。

ヤコブ・マリス 漁船 グレーの空の下、停留中の船がある。働く人々もみえる。旗はたなびき、カモメは泣き叫ぶ。

フィリップ・サデー 貧しい人たちの運命  漁の成果を馬車に詰め込む人々を後目に、おこぼれを拾おうとする女たちがいる。落ちている魚を拾う女たちもいる。せつない。魚のおこぼれを狙うカモメたちがいる。
漁のない日はこの人たちはなにを食べるのだろう。

第三章 ゴッホとモンドリアン

まずはゴッホから。
ジャガイモを掘る二人の農婦  うんせうんせ、と働く。

白い帽子をかぶった農婦の顔  見る方向のせいでか、ちょっとばかりクラウス・キンスキーに似ているように思う。

雪原で薪を集める人々  吉野石膏コレクション。なんとなくなじみがある。一家で働く人々の絵。真っ赤な太陽が彼らを照らし出す。

モンドリアンの風景画。
アムステルダムの東、オーストザイゼの風車  池がモネモネしてますな。

ダイフェンドレヒトの農場  こういうの大好き。水面にくっきり映る林と家と。色彩感覚がとてもいい。魅力的な作品。

夕暮れの風車  写実ではないが写真風な絵。黒々とした存在感がいい。
イメージ (11)

最後に資料を見ると、「パノラマ・メスダッハ」というものがあり、スヘフェニンゲンの当時の環境を守れと運動したが果たされず、1880年に風景を再現したらしい。
結局その立体パノラマ以外はなにもなくなり、リゾート地になったそうだ。

かなりまじめに見て歩き、オランダ人にとって牛と海の重要性というものを絵を通じて教えられたと思う。

6/29まで。
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