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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

幻想へのいざない

既に終了したがよい展覧会だったので感想をあげておきたい。
龍子記念館での「幻想へのいざない」である。
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会場芸術を標榜しただけに龍子の作品は巨大である。
現状の巨大絵画を思えば、龍子の打ち立てた主義が結局は今日の日本画を主導することになったわけだ。

ご来迎 1957 白馬雲がどどどっと行く。右手にプロミネンス渦巻く巨大な太陽。ギリシャ神話を思わせる迫力。

日々日蝕 1958 ビルと民家の間にアンテナがあり、日蝕が見える。同時代の堂本印象とも相通じるようなものを感じた。

伊豆の国 1941 山と海と。このあたりに惹かれたのもわかる気がした。

仏誕像 1964 大水盤に誕生仏と供花が。東大寺の誕生仏である。これは現在あべのハルカスに来ている。

龍子は1937年から1940年の間に中国に四回行った。満州国皇帝溥儀にも謁見したそうだ。
熱河省に出向き、承徳のラマ廟にも行った。このあたりは安井曽太郎も描いている。
熱河省といえば下窪を縄張りにした馬族を主人公にしたのが横山光輝「狼の星座」だった。
わたしはあの作品から馬族を知ったのだった。

大同石窟(接引洞) 1938 やや斜めから石窟の様子を描く。中にはコンニチワな仏もいる。仏マンション。

大同石窟(大露仏) 1938 仏の横顔があるのだが、あまりに大きすぎて横顔だと気づかなかった。

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花摘雲 1940 これも満州の空を見たことで生まれた作品。四人の飛天が雲となって空を行き、花を摘む。キスゲ、アヤメ、スズランなどが咲いた野。雄大さと優美さとが描かれている。

立秋 1932 庭の一隅で水を飲む飼い犬。シダや巨大な雑草の中。緑の濃い空間。

龍子は自身を「龍子」と名乗るほど龍が好きだが、それとは別に河童を愛し、河童を擬人化することで楽しい絵を多く描いた。
河童は先輩の画家・小川芋銭から受け継いだものなのだ。

河童腕白図 1955 鴨を捕まえようとジャンプ!!
考える 1957 敗荷の下で目を上下させながら考える河童。
胡瓜 1959 大好物の胡瓜をツタごと引っこ抜いて持ち帰るらしい。

龍巻 1933 縦長の空間にサメ・クラゲ・イカ・タチウオ・エイ・カワハギらがみんな巻き込まれて、落下し始めている情景。群青空間に飛ぶ魚類。

阿修羅の流れ(奥入瀬) 1964 どっどどっどっどっどどっ と音を立てて流れる奥入瀬渓流の流れ。周囲の深い草いきれをも描き込む。一羽のアゲハがゆらゆらとその流れの上を飛んでいる。

翡翠 1951 山の中の秘湯に五人の女が浸かり、くつろぐ。緑の濃い温泉。カワセミが飛ぶ。白百合も咲いてシダに山アザミにギボシもある。気持ちよさそうな空間。

茸狩図 1936 赤松の林の中で松茸を探す人々。一人だけ立ってこちらをみる女。龍子の描く女たちの中でも特に綺麗な一人だと思う。

獺祭 1949 狸和尚のようなのがいる。その前に山と積まれた魚や山ずと。白百合、なまず、コイ、フナ、エビなどなど。どこかユーモラス。

ああ、おもしろいものをみた。
道がわかりにくくて駅からも大変遠いけれど、それでもここへ来るといつもいつもいいものをみてドキドキするのだった。

また行きます、龍子記念館。
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