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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

マリー・ローランサン展 / シャガール展

都内で「マリー・ローランサン 女の一生」展と「シャガール 版画の奇跡 無限大の色彩」展とを見た。
そして兵庫県立美術館での「夢見るフランス絵画」展にもローランサンとシャガールの良いのが出ていた。
合わせて感想を挙げたいと思う。

ローランサン展は三鷹美術センターで6/22間で開催中。
蓼科の「マリー・ローランサン美術館」からの貸し出しがメインの企画展である。
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改めて知ったことだが、マリー・ローランサンとユトリロとは同じ年に同じパリの空の下で、同じように私生児として生まれた。
三鷹では既にユトリロ展を開催しており、今回はその意味での姉妹展だといっていい。

わたしは知らなかったのだが、パリでのローランサンは半ば以上忘れられた画家だったそうで、つい先般回顧展が開かれたそうだ。
日本では特別高い人気を誇る画家だが、本国ではそのような状況だったのか。
これはアメリカにおける18世紀の京都画壇人気と、逆輸入的にその価値を知った本国日本との関係に似ている。
遠い異国の地でこそ人気が続く。面白い現象である。
そして今では日本では18世紀の絵画の人気がたいへん高まった。これと同じようにフランスでもローランサン人気が復活してほしいところである。

展覧会は「女の一生」というタイトルだけに編年期のように作品が配置されている。
そういえば「女の一生」のタイトルはモーパッサン、遠藤周作の小説、森本薫の戯曲を思い出させる。いずれも前時代的な悲惨さを内含した作品ではある。
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1.最初期 1902-1906

青色の女性の横顔が描かれた大皿 これは画家になりたいと願うマリーが「許された」製作の一つ。
染付風な作品。良家の子女のたしなみとしての陶器皿の絵付け。

自画像 21歳の顔。チラシ右上の顔である。不機嫌なのではなく、このころから目が悪かったのではないかと思われる。

イビス鳥とサロメ その翌年の作品だが、既に「ローランサン」の様式が現れている。
このサロメだが、どうもヒートテックに足首までのレギンスを着たように見える。何故だろう。

2.アポリネールとの出会い 1907-1913

果物かご キュビズムの先例を受けたような作品。皿とフルーツと。

狩をするディアナ アポリネールに贈る。水色地に茶褐色の馬に座る裸婦。緑と茶褐色の犬が二匹。
装飾的な面白味がある。
アポリネールは彼女と別れた後もこの絵を長く大事にしていたそうだ。

パッシーの橋 不思議な橋で、その手前には半分裸婦と大猫?犬ザル?など不思議な動物たちがいて、熱国風な情景。

イフィジェニーあるいは三人の踊り子 この名前はフランス読みだが、ギリシャ読みだとエフゲニア。トロイア戦争の船出の時に父により犠牲にされた少女。
黒目がちの少女の顔。

青と黒の帽子をかぶった少女 まだ試行錯誤中とはいえ、やはり「ローランサン」している。30歳の作。

3.フォン・ヴェッチェン男爵との結婚 1914-1920

白い羽根飾りの黒帽子をかぶった乙女 グレーを濃淡で使う。薄い色のピンクと水色もともに。スカートに花を集めた乙女。

アドルフ・フォン・ハッツフェルト「夏」の為の作品が二作ある。犬と女と。

肘掛け椅子に座る若い女 ピンクのワンピースと青白ストールの取り合わせ。ローランサン・カラー。

ギターを持つ女道化師 アルルカン。その女の白い指。

4.成熟~晩年 1921-1956

ターバンをかぶった女 配色が本当にローランサンしている。ピンク、グレー、少し青、白い女。

ジョルジュ・ベナールの肖像 憂鬱そうな面をしているが立派な紳士である。白い顔とグレーが目立つ。彼は破産したがこれだけは晩年まで手放さなかったそうだ。

幕の陰の二人の女 グレーの幕の陰で寝そべる二人の女。出待ちなのか千鳥なのかはわからない。

マンテラをかぶった少女 エッチングに着色したもの。スペインの女のかぶりものでベールが綺麗。

コンサート リトグラフ。三人の女と白羊とリスとが和やかな。

1930年にはジャック・ド・ラクルテルの「予感」のためのリトグラフが五点ばかり作られている。
中でも「アンヌとペンギンたち」の、眉を寄せ伏し目がちで唇をやや悲しく結んだ女の顔が印象に残る。

二人の女友達 親和的なムードがある。フランスの<伝統>的な関係なのかもしれないが。

二人の女流マンガ家の作品を思わせる女の顔がある。
眠そうな女 坂田靖子的な顔の女。坂田靖子はヴィクトリア朝を背景にした作品が多いのだが。

右向きの女の顔 こちらは陸奥A子か。

冠を頭に乗せた乙女の顔 こちらは本宮ひろ志か。ちょっとおでこ。

首飾りの女 パールをあちらこちらに飾る。首だけでなく髪にも。そして綺麗な山吹色のストール。
わたしは山吹色が本当に好きで、それだけでも嬉しい。

三人の乙女 こちらも山吹色が効果的に使われている。髪の毛の表現に。似たような顔とはいえ三人それぞれ個性が違う。魅力的な三人。
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パリの庭園 水瓶装飾のあるところで四人の女がくつろぐ。

黒犬の戴冠式あるいはルイ14世の愛妾たち きつい顔の女、岸田今日子を思わせる顔、ぼーっとした女の三人と犬とがいる。

女の顔 左半分に陰りがみえる。

カトリーヌ・ジッド 作家ジッドの婚外子として生まれ、正妻が亡くなるまで日陰にいた娘。
同じ立場の先輩たるマリーは彼女にシンパシーを抱き、つきあいがあったそうだ。
シックな緑の服と白い顔。

二人の若い女ともだち 色調が優しい。奥の娘は伏し目がち、手前はこちらを向く。

音楽 仏像のように肩半分だけ布で覆い、パールをつけた女。背後にギターがある。綺麗な口紅を塗った女。

若い女 顔もはっきりとしている。どこか憂いがある。
灰白かかった緑色が優しい。イメージ (11)


子供のシェヘラザード これは八木コレクション。長い尾下げの少女がピンクのバラを持つ。
これはバレエのシェヘラザードを踊る女の子なのかもしれない。

次は兵庫県美でみたローランサン作品。こちらは6/1まで。

花を持つ乙女 白に緑リボンの帽子。ピンクの服、唇、花。

公園の中の婦人たち どうもコスプレ風。本来の意味でのコスチュームプレイ。犬もいる。

お城の情景 ロマンチック。ボート遊び、乗馬。女たちの幸せそうな微笑。

花と乙女たち 右の女はかなり綺麗。左の女はどこか遠くにいる。

ローランサンの優美でどこか憂いの漂う世界を堪能した。

追記:2015年の展覧会チラシを追加する。
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シャガールの展覧会は目黒区美術館で6/8まで開催中。
ここでは版画作品を見た。イメージ (12)

同時期に愛知県美術館で大規模な展覧会が開催されている。とにかくシャガールは作品が多いので、いつでもどこかでなにかしら見ることができる。
イメージ (13)

サーカス 38点 神奈川近美所蔵 タイトルはないので状況もよくわからないのだが、シャガールはサーカスにノアの方船を見ていたそうだ。
壁面高くまで複数の作品が並べられていたりしてその界隈をぐるぐる歩けば、自分のサーカスを見ている気になる。
怪獣までサーカスに出現している。
夜になって馬たちがごはんを食べているところ、美人の女は青い夜の背景に笑う。

ダフニスとクロエ 42点 神奈川近美所蔵 以前に高知の美術館の所蔵品を見ているが、色が大変きれい。
牧歌的な、というのは二人が酪農しているから。
物語は結構起伏に富んでいるが、クロエは前半で身の危険があり、ダフニスは後半に人妻や男色家に誘惑される。
絵からは物語は案外わからない。
挿絵でも物語絵でもない感じだが、一枚一枚がとても綺麗なのは確か。

死せる魂 96点 町田市国立版画美 ゴーゴリの小説はやらしい、ケッタイな奴らばかりが出てくるが、それが色彩なしの版画でやると、いよいよもって怪作という趣がある。

シャガールによるこの連作はルオー「ユビュ親父」と並ぶ怪作の双璧だと思う。
どちらも綺麗であることを排除した作品。

兵庫県美ではサーカスを描いたものと花束を描いたものなどがでている。
巨大すぎる花束には「おお」となる。人より大きいものなあ。

ローランサンとシャガールの展覧会の感想。
リアリズムから遠く離れた、それぞれの「夢」に閉じこもった世界を堪能した。
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