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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

クールな男とおしゃれな女

山種美術館「クールな男とおしゃれな女」初日に参りました。
わたしは美人画が好きなのでいそいそと出かけたわけだけど、期待にたがわぬ佳さがございましたな~
カッコよかった。
一言でいえばこれが全て。
どうカッコよかったかを、カッコ悪くならない程度の長広舌(!)で記したい。
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第一章 クールな男
なじみの男たちもこうした視線でみつめると、垢抜けたクールな男に見えてくる。

まず古代から南北朝までの中世のクールな男たちを見る。
雅邦 日本武尊像 ああ、おっちゃん。でも装束はかっこいい。勾玉が20個もついたネックレスをしている。

霊華 春光 狩衣姿の三人。中世のおしゃれ。

古径 蛍 伊勢物語から。女の気を引こうと蛍を放つ男がいて、その女車の横に立つ狩衣姿の男の目のヤラシイことw「まめな男」の代表格の昔男くんはこんなのばっかりですな。

霊華 菅公之図 束帯姿。柔らかな感触を感じる。半跏像。

契月 紀貫之 これはほんと、素敵。グレーに黒の文様入り薄地の。かっこいい。

契月 八幡太郎 義家の姿。色白で墨の線だけで表現された優美な姿。白描のような鳥と瑞雲、袴には波模様。

青邨 三浦大介 この時代の人にしては驚くほど長命だったという老人。ずしんとくる。鎧の美についての青邨の言葉がある。

靫彦 平泉の義経 実父以上に「父」たる存在の泰衡と共に若い義経。靫彦の「文化相」への理解についての言葉がいい。

猪飼嘯谷 楠公義戦之図 崖に向けてサッと動く楠公。動きがカッコいい。これは挿絵の魅力、それに近いものがある。口絵的な良さ。
何もタブローばかりが一流ではない。口絵挿絵のクールさは直接的なだけに忘れがたいものだ。

冷泉為恭 武者図 左幅は松下での待機、右幅は座しての待機。いずれも昔の日本人らしい四頭身だが、甲冑姿の彼らはカッコいい。

武家の鎧の美と平安貴族の狩衣の美とを作者による文章つきで楽しんだ。

次は近世である。
靫彦 出陣の舞 今回の観客の出迎えはこの信長公だった。
展示室に入ると真っ先に現れ、幸若舞「敦盛」を舞っている。
着ているものも凝った文様で、染め分けがされた千鳥が素敵だ。

青邨 異装行列の信長 舅の斎藤道三に会いに行くときの演出。周りの少年たちのぼってりと眠たそうな顔に比べ、信長一人がシャッキリしている。

やっぱり信長というのはすごく自己演出がうまいな。少年時代の「大うつけ」も当人の意志が反映されてのことだろうし。そうなるとやはりクールだ。
見栄えのよくない秀吉は信長のクールさを一番のものと見た。意識の根底に生きるものは晩年まで消えない。

靫彦 豊太閤 太閤殿下になった秀吉の肖像。元ネタは逸翁美術館にある狩野派のそれだと思うが、ここには日の本随一の権力者たる男がいる。

守屋多々志 初陣 これは平安末期以降か。丸顔少年のデビュー。隣には兄らしき人。

多々志 慶長施設支倉常長 ローマの町並みを回廊から眺める常長。その横顔。回廊の廊下は白と黒の市松模様で列柱が静かに立つ。常長の傍らにはポインターらしき白黒斑の犬。
そして鋭角的な曲がり方を見せる廊下の先の黒タイルには黒の小型犬がいる。
白と黒のスタイリッシュな様式。四海の外に広がるローマの景色は黄土色の屋根の波。
そして左奥から灰色の衣を着た教会関係者が現れる。
常長自身は白地に青の丸文様の連続パターンの小袖を着ている。丸と四角との差異も面白い。

写楽の役者絵が出ていた。役者本意ではない絵。
豊国の役者絵の方が客の好みを反映した造りになっている。
二枚目の場合はやっぱり豊国の方がいい。

最後に1987年の現代日本画が現れる。
濱田台児 段上の河北先生 これは茅場町の山種美術館の8階の階段に佇む、河北先生の肖像である。ピンクがかった素敵な色合いのスーツを着こなした、しゃっきりした素敵な先生の姿。背後には大観の「流燈」が飾られている。
はっ となるカッコいいお姿だった。
そして模写として「流燈」も魅力的だった。

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第二章 おしゃれな女
桃山から現代へのおしゃれな女たちが現れた。

曠平 曲水の宴 女たちの曲水の宴である。白目は白く金泥は使われない。右1の幼女は蝶を追う。盃を手元に引き寄せる女もいる。優美な様子が描かれている。
桃山時代の装束をまとった美しい女たち。

映月 ねねと茶々 奥の高台院が地味な装いでいるのに対し、茶々は華やかな衣裳をまとい、手に八重桜の枝を持っている。

小早川清 美人詠歌図 髪を一束ねにし、紙で一部を包む。しっとりした若い婦人が室内でくつろぐ。
大正の粋筋の美人からモガまでの近代風俗美人を主に見ているが、こうした古い時代の美人もいいなあ。

深水 吉野太夫 その時代の先端を行っていたトップの太夫の、ある一景を捉えたショット、そんな風にも見える。常におしゃれでいなくてはならない存在。着物のセンスも取り沙汰される。かなりカッコいい。

浮世絵からは春信、歌麿の美人が出ていた。江戸も一括りには出来ない。

清方 伽羅 源氏香の意匠の枕から頭を挙げてまだぼんやりした眼でいる美人。小さな花が着物や帯に点在する。花菖蒲、朝顔など。
清方美人は大胆な柄の着物の人は少ない。これはやはりお江戸の下町育ちの美意識が反映しているように思う。

松園 春のよそをひ 薄い櫛笄簪。鼈甲ではないようだがこの薄さはすごい。

松園 春風 蝶々を見る娘。決して派手な装いはせずとも華やかさがある。

松園 杜鵑を聴く これは最晩年の一枚。あら、という感じ。わたしは杜鵑の声など聴いたこともないが、五月になるとこの鋭い声が街なかでも聴けたのだろう。

深水 紅葉美人 銘仙風な着物を着ている。灰色がかった紅色地に柏文様。籐椅子に座る美人。大正の明るい美人。

「雪中美人」はいつもの傘を開く美人、「春」もまた囁きあう美人。深水は同じ構図を採ることで様々な色彩・飾りなどを加えたり変更したりして楽しむ。
モデルは変わらないが衣裳・装飾が変わることで新しい美が生まれる。
こういう状況が究極のおしゃれだとも思う。

広業 花見「文藝倶楽部」口絵 黒地に大胆な花柄の揃いの着物を着る二人の女。舞の揃いの衣裳にも見える。いい感じ。

清方 小杉天外「魔風恋風」のヒロイン口絵 これは清方記念美術館にもあるが、このスタイルが一世風靡したとか。人気の絵。

舞妓や芸妓をみる。
土牛 舞妓 どうも前々からこの舞妓を見ると中村七之助丈によく似ているなと思う。特に目元がそう。うなじがいい。

遊亀 舞う(舞妓)(芸者) どちらも愛想がありつつもキリリとしている。
今回初めてその舞妓ちゃんと芸妓さんのモデルさんのお写真を見た。二人ともにこにこと愛想のいい元気そうな様子だった。

秀峰 芸者の図 こちらは東京の芸者。シックな色の着物。緑の地に小紋。綺麗なのは奥さんを念頭に置いているからか。

橋本明治 前はそうも思わなかったのだが、近年この「月庭」「舞」は現代の照明で照らし出された芸者たちのように思えてならない。ブルー系の素敵な衣装なのだが、かっこいい。
いいなあ。

三輪良平 舞妓 丸顔で目鼻のはっきりした可愛い舞妓。着物の裾には鹿の子。
こういう舞妓を見ていると、丸顔好きな男が多かったのを感じたりもする。

和田英作 黄衣の少女 昭和初期の黄色いワンピースをきた日焼けした少女。黙ってどこかを見つめているが、日焼けした肌がいとしい。

林武 少女 いや、そんな若くないし。これまた激しく日焼けしている。先のと同時代だが、モダンさが画面全体にあふれる。赤に白と青灰色の入ったワンピース。かっこいい。

深水 婦人像 白地に赤い水玉の大胆なスーツを着た美人。この人は女優・木暮実千代。女優引退後は社会活動にも熱心だったとか。日本映画の黄金期に耀いていた女優。


第三章 よそおう男女

池田輝方 夕立 突然の夕立で雨宿りする人々の様子。みんな若い男女。幕末のある日。
わたしは輝方の娘の顔が好きなのでじっと見ていると、輝方を知らない若いカップルが絵を見て、「可愛い」と言うた。同意しつつ、そろそろどこかで輝方と蕉園の回顧展があればなあと思った。
左端の若い娘と丁稚のような少年を見ると、いつも「お染久松」を思い出すのだった。


「よそおう男女」ということでちょっと違う展覧会のことを挙げるが、横浜のシルク博物館には上古から明治時代までの服飾の変遷を生き人形のようなマネキンで展示していた。
それぞれの時代の流行を身にまとったマネキンたちも素敵だった。
人形たちは少しずつ顔も違うので、そのことも楽しい。

カッコいい男女をたくさん見て目の保養になった。
いいなあ。
7/13まで。一部展示替えもある。
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