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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ペルシャのきらめき

八王子夢美術館で「ペルシャのきらめき」展を見た。
あの小さな空間が古代ペルシャの空気を漂わせていた。
イメージ (4) イメージ (5)

ペルシャと言えば猫、絨毯、ケテルビー「ペルシャの市場にて」、それから司馬遼太郎のデビュー作「ペルシャの幻術師」。
挙げたものすべてに深いときめきがある。
そのときめきが煌めきになって、辺り一面に散らばる。

ペルセポリス。
平山郁夫の「ペルセポリス炎上」を思い出す。
それに呼応したか、平山のペルセポリス全景スケッチ図が現れた。

ペルセポリス神殿のレリーフの拓影がいくつも並んでいた。
ライオンの行進を描いたものがかっこいい。オスとメスのライオン。
上下に日本の古代寺院の軒丸瓦に使われたと同じ形の花文が続く。
この花文の出所が遠くペルシャから来たものだということが、この一つでも想像できる。

他に刀のレリーフ、ひげの二人の横顔、女の横顔等々。
だが何より目立つのは、前述の軒丸瓦を思い起こさせる
軒丸瓦に刻まれる花文様は九曜星にも似ているが、中心の円形は変わらぬものの、花弁はティアドロップの形をしている。それがこのペルセポリスのレリーフだと花弁は12弁だった。24個の花のついたレリーフもある。

ほかに婦人の横顔を刻んだものもある。これは平山郁夫の水彩画のモデルにもなっていた。
ペルシャとアットリア、ヒッタイトは確か別物のはずだが、なんとなく似た造形のようにも思えた。
それはたぶん「王家の紋章」を思い出しているからかもしれない。

金貨がある。必ず時々の為政者の横顔が刻まれる。金貨と銀貨があるがダレイコス、シグロスといったアケメネス朝のコインのほかに、ペルシャのコインを鋳つぶしてリサイクルしてできたのがアレクサンドロス大王銀貨だった。
元のが出来が良いので、征服者の横顔に作り替えられたのが恨めしい。

そういえばアレクサンダー大王をコミック化したのは安彦良和、赤石路代の二人だけかもしれない。

ガラス碗の素晴らしいのが集まっている。
正倉院に伝来する白瑠璃の兄弟たちである。

一番古いのは前3世紀にイタリア・カノッサ古墳から出土したらしき、やや黄緑がかった碗。きらきらしていた。

突起物のついたガラス碗はパルティア朝のもので1~3世紀。わたしはその突起を見て、明治初期に学術調査のためにただ一度だけ仁徳天皇陵に入り、石棺を写したという絵図を思い出していた。

ササン朝ペルシャの円形切子装飾碗、これらが正倉院の宝物たる白瑠璃碗の兄弟。正倉院のそれとは違い土中に長くあったがために化学変化を起こし、銀化した外面、金きらきらな内面に見えるようになっていた。
もう一個はカットが多いもので、こちらもだいぶ様相が変わっている。

浮き出し円形切子碗というものがあるが、これが今も伝世したのは「海の正倉院」たる沖ノ島の宗像神社だという。
ああ、宗像神社といえば先年みた「大神社展」が忘れられない。
また安彦良和「神武」にも現れる。

二重円圏文碗 これはペルシャの後のイランと、なぜか京都の上賀茂神社に伝わるそうな。

ほかにパルティア朝の水瓶がいくつもあり、それらがいずれも、とてもきれいだった。

貴金属容器も面白い。リュトンや舟形杯や鳥や馬の形をつけたものなど。ヘラクレス立像もある。
中でも銀製フィアラ杯にはロータス文様が刻まれ、綺麗だった。

銀製ギリシャ風碗はちょっとばかり薄暗い欲望に満ちた感じがする。
少年と男たちと。ギリシャ風な愛情を刻んだのかもしれない。
イメージ (4) - コピー

ラスター彩のやきものは中世のセルジューク朝のものばかりだった。
日本でも再現がなされたやきもの。シンプルな絵柄がいい。
アラベスク文などをみるとパラダイスの語源がペルシャ語の「閉じられた庭」だったということを思いだすし、宇宙を閉じ込めた、ということを想いもする。
人物像もやさしい。

9世紀から10世紀にかけて三彩が同時多発的な発生をみた、そうだ。
日本でいえば奈良時代、中国は唐、ペルシャではアッバース朝。
日本のは唐に影響を受けてのものだと思うが、ペルシャと唐での発生は実は影響し合わなかったらしい。
そのあたりのことを詳しく知りたいと思う。とても興味深い。

ここで唐時代の藍三彩象を見る。ゾウさん、可愛い。
そして三彩壺。親しい気がするやきものたち。
三彩枕もある。これは寝るためのではなく写経用で、可愛らしい花柄のものが多い。日本では奈良の大安寺からたくさん出土している。

セルジューク朝のミナイ手というものがある。ミナイ手とはエナメルのことらしい。人物像や聖なる樹、馬などの文様がある。
ピカリと光る。
他にも17世紀の白磁藍彩皿がある。

ここで日本でラスター彩を復元させた加藤卓男の作品が現れた。
加藤の作品は高島屋か大丸かで見たのが最初だが、初見の衝撃はなかなか大きかった。
ここにある三点はいずれもとても綺麗だった。
ラスター彩花鳥文輪花皿、三彩鳥文八方盤、青釉銀華方壺。

装飾品も展示されていた。
手の込んだものたちばかりで、凝視しているとガラスが曇るくらいだった。
わたしの前に見ていた人もそのようで、みんなやはり凝視せずにいられないのだった。
金製のものが多い。黄金の価値は古代から活きている。
腕輪、耳飾り、首飾りなどなど。

ガラス玉の首飾りは配色が不透明だということもあってかポップすぎる。
ちょっと笑えるくらい明るい。
ほかに印章がありその展開図面を見ると、獅子と牛とがいた。どちらも手彫り。

古代から中世までの時代に生きた名品に出会え、とてもよかった。
5/25まで。
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