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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

6月の東京ハイカイ録

六月は梅雨の時期でやっぱりジトジトだが、それでも色々と楽しいことが多い。
アジサイは花盛りだし、いい展覧会もたくさんある。
雨も降りようによっては楽しくもある。

とかなんとか言いながら六月のハイカイをするわけだが、今月は家族の体調がよくなかったり、それに伴いわたしの神経がおかしくなったりで、色々と大変だった。
基本的に展覧会にゆくのは、わたしの場合、完全に享楽なのである。
いい芸術を見て自己を高めようとか、そうした啓蒙心もない。
(とはいえ例えばいわさきちひろ作品などを見ると、心を清くしていたいと思ったりするが、それは持続性がない考えなのだった)
中学生の頃から続く強迫観念、ある種の恐怖症、それらから逃れるには、芸術作品を見て心をなんとか宥めたりするのが一番よかった。
享楽こそが、恐怖の本体から目を逸らす格好の手段、あるいは対象なのだった。
だからこそわかりやすい美術品、慣れ親しんだ文芸と密接な関わりを持つ古典もの、それらを見るのが好きなのだ。

まあややこしいことは措いておいて、(ふったのは自分なのに!!)今月のハイカイの顛末を挙げたい。

母の具合もまぁなんとかなって、ちびねこたちの世話も振り捨てて、金曜の夜から新幹線に乗った。
どうもわたしの一本後の便に在華坊さんがいらしたようで、小田原通過なう!新横浜だん!とかやってると、月猫さんに「大阪方面からICBMが2発飛んでくる」と揶揄られたりもした(笑)。

土曜は朝から入間市に出た。
そもそも入間市というのがどこにあるのか知らんので、それをつぶやくと近藤ようこさんが手をさしのべてくださり、二人で入間市に向かった。
幸いに車内でバッタリ会えて、とことこと入間市の文化財たる「旧石川組」洋館と旧黒須銀行とを見学できた。
沢山写真を撮ったので、それらはまた後日にこの場で挙げることにする。

草深い地で、楕円形の石を集めた石垣もあったり、なかなか見ないものもあった。
わたしは植物には詳しくないが、めざとい近藤さんは「葛がある」とおっしゃる。
「葛の花 踏みしだかれて 色あたらし。この山道を往きし人あり」
釈迢空の短歌を引いていると、「えろいですよね」とのお言葉。
わたしもそのことを思っていたので同意したが、これが本当の「以心伝心不義密通」かもしれない。

ところで入間市と言えば航空自衛隊があった。そして駅の隣には稲荷山公園で、埼玉の縄文文化についても色々とお話ができ、よかった。わたしといえば入間の悪五郎とかそんなことしか思いつかない。
しかし古い古墳や何か出土するところに稲荷山という名は案外多いな。

お昼になり駅に戻るが、さぁ何もない。結局駅ビルのパスタ屋に入り、わたしはナスのパスタを頼んだが、辛かったな。
そこから池袋経由で千駄木へ向かう。
わたしはマシンガン・トークと揶揄られるくらいなので、延々と喋り続けたが、近藤さんがウケて笑ってくれてよかった。
やっぱりヒトサマを笑わせてなんぼですな。

森鴎外記念館で森鴎外の演劇の展覧会を見る。けっこうコメディも拵えてるがな。なかなか。
例によって展覧会の感想は後日えんえんと書き倒します。

さて駅近くでお茶しまして、わたくしは自分の口数の多さについて色々と説明をしたりなんだかんだ。
そして中目黒へ参りました。

郷さくら美術館にたどり着くのに一苦労して、ようやっと中に入り、現代日本画を堪能。
なかなか難しい問題と共に、日本画の未来に続く道も見えたりと、けっこう有意義な展示でしたな。

そこから渋谷へは東急になり、レストラン街でわたしの要望でうどん屋「四国」に。
わたくしはそこで「焼きナス」いりのうどんを食べましたが、さて皆さん、わたしの昼はなんでしたか。ナスのパスタでしたがな!どんなけうどんとナスが好きやねん、こいつ。

東急でお別れした後、まだ19時だったのでわたしはブンカムラへ向かった。土曜だから21時まで開館。東横店とブンカムラとのシャトルバス立ち往生してるのを横目に歩く。
しかし東横店の案内人たちは誰一人として「シャトルバスがございます」とは言わないな。
道が混んでるからどうせわたしの方が早く着くけど、それはそれで嫌な感じもある。

デュフィ展。近年は三鷹、大丸心斎橋でいい展覧会を見ている。
リストの先がガラスケースに触れると、それだけで監視員が飛んでくる。
すごいな、このリストもガラスも。ガラスは紙程度で割れるらしく、紙だと思ってたリストは実は超合金なのかもしれないな。

満足してから帰るが、絵葉書もいきなりこんな値段になると買う気も起こらない。

二日目。
日曜日の話。雨がパラパラ。6/22は展覧会最終日というのが多い。
上野のバルテュス展に向かう。よく混んでいる。わたしは内覧会とこの最終日と二回見たのか。
やっぱり前期感想にも書いたけど、初期のより節子夫人の登場からの世界がいい。
眉を顰め無口な顔でいる節子夫人の和の官能性。足に比べて手が短いとか、そんなことはごく些末なことで、鏡に這い寄る節子夫人の和風なえろさにはときめくばかりだった。

雨で坂道を滑ったら怖いので、JRに乗り神田から三井記念美術館へ。
清水三年坂美術館のモノスゴイのを再見しにきたが、ものすごい人ごみに負けた。
本家の清水三年坂もここまでお客着たことあるかなあ。
わたしは七宝が好きなので、名古屋の安藤、両NAMIKAWAの西の並河、東の涛川、共に愉しめて嬉しい。有線七宝・無線七宝という技法の違いなどを見ていると、勝手に並河をガレ、涛川をドームと比してしまう。

地下のフードテリアで讃岐うどんを食べる。カボスの酸味が爽やかで気持ちいい。
こんな気持ちよさが好きなのだよ。
ごはんもまぁまぁよくて次もいいかも。ただ、もう少しテーブルとか清潔さを保全しよう。

そこからサントリー。徒然草。そうとうたくさんの資料を見る。
絵になるシーンは大体一緒。「伊勢物語」「源氏物語」それぞれ「伊勢絵」「源氏絵」というがこの「徒然草」「徒然絵」という独立した世界があるそうな。現代も「あま絵」とかあったんだから、日本人にはこうした特性が最初から具わっているとしか思えんな。
吉田兼好自体は実は謎の人で、ということだが、わたしは実は「徒然草」はあんまり読んでないので「ああさよか」と聴くばかり。
逸話紹介は面白いけど、教訓はニガテなの。

六本木から大門経由で金沢文庫は案外早かった。
金沢文庫でも「徒然草」関連展覧会。ギャラリートークは15時からというので余裕で上がったら、なんと始まってるやないかい。
…これはどこかのカルチャーセンターの講義だったみたい。ダダ聴きしてもたがな。

新逗子から鎌倉へ。小町通りの殺人的な混みようがおぞましい。
わたしはようやく清方記念館の曲り道まで来たが、そこの古書店の閉店セールが哀しかった。帰りに行こうと思いつつ、間違えて行けなくなったので、よけい哀しい。
清方は紫陽花舎(あじさいのや)と名乗るくらいの紫陽花好きなんで、玄関から本館までのアプローチにたくさんの紫陽花が咲いていた。

さてそこからは地元の生活路を通って、結局西口へ出た。
電車も後方は激混みだが前方はゆとりで、わたしは楽に座れた。あれ後ろのままにいたら乗り損ねたかも。

そごうでは四谷シモンの人形に魅せられる。やはり素晴らしい。
澁澤龍彦の死の前とその後で大きく人形が変わったのを感じる。
わたしはシモンドールは近年のものの方が好きだ。

崎陽軒で八宝菜を中華丼にしてシウマイ、春巻ともどもおいしくいただく。
ほんまはサンマーメンを食べるつもりだったのにこちらに変心。おいしいわ。
わたしは八宝菜はどうしても中華丼にせずにはいられないの。

毎日毎日遅い時間にサッカーを見て、早い時間にサッカーを見て、ふらふらになってます。

三日目、昨日の月曜日。
この日は実はたいへん苦しい一日でした。
朝1から国立新美術館へ行き、「バレエ・リュス」のコスチュームを堪能する。
この展覧会はもう本当に背筋に震えが走るような良さがあり、衣裳を見ながらそのバレエを想い、ニジンスキーを想い、様々な妄想や追想に絡み取られて、身動きが出来なくなった。2時間いてもまだ足りない。

地下でランチ。お弁当を買うてチンしたが、なかなかいい感じの野菜のあんかけでした。
それと梅蒸しパンと。うむうむ、よろしい。

乗り換え数度。上野につく。ああ、上野の森は月曜開館してるのか。キャプテン翼展か。時間があれば見たいものよ。
といいつつ、東博へ。

凄い行列。内覧会参加の人々。まず本館第5室で翠玉白菜をみる。かなりの行列で、見るまで30分かかる。ちょっと非常識な人がいたので注意したら、周囲の人々がそれに更におしかぶせて、その人はかなり押されていたなあ。しかし同情できないくらいダメな人だった。
2000年七月に台北の國立故宮博物院で見て以来の再会。
素晴らしいね。実は今日のわたしは白菜に見立てた服を着ていた。アンサンブルはピーコックカラーで下は白。つまり白菜カラー。見立て白菜女。

いよいよ開幕式。これが凄いことになっていた。
午前のプレス内覧会に出かけられた方から聞いていたことがあるが、本当にすごい。
そして「國立」の件で憤られていた台湾政府・台湾国民の皆さんに対し、東博館長さんからの正式なお詫びがあった。
そして國立故宮博物院の院長さんも謝罪を受けられた。
やはり台湾に対しては礼を尽くさねばならないと思う。
いちばん親切にしてくださる隣人なのである。

平成館ではまた素晴らしい逸品を見たなあ。
どきどき。面白いものも色々あって、これはまた後日再訪してじっくり眺めたいと思う。
中には14年前に見覚えていたものもあり、再会が嬉しかった。

ハローキティの白菜コスプレの描かれたお菓子もお土産に買うて、新幹線へ。

ほんまにぎりぎりで乗る。隣席の方がまた親切でよかった。
というわけで、今月のハイカイはおしまい。
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