FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

浮世絵に描かれた子どもたち / スモールワールド

千葉市美術館の企画展はいつもとても魅力的だ。
ここでハズレの展覧会などないと思う。
今回は公文教育研究会所蔵の「浮世絵に描かれた子どもたち」と所蔵作品展「スモールワールド」が開催されていた。
どちらも心の底から楽しめる展覧会だった。
8/31で終了したが、忘れたくはない。
イメージ (11)

まずは浮世絵から。
公文の所蔵品展は以前に京都文化博物館でも開催されている。そしてサイトでも所蔵品を公開している。
京都でみたとき、さすがに公文やなあと感心した。
いいコレクションなのである。
2003年の「遊べや遊べ子供うきよえ」展。
江戸時代は子どもを大事にした。
絵からはそんな様子も見て取れる。

1.子どもへの愛情

春信 蚊帳の母と子 お母さんが「サアサ、蚊帳にお入り」というのに、まだままごとをしたい。小さなスイカに包丁、夏のおもちゃ。くくり枕が転がってる。
楽しい遊びはもっと続けたい。

歌麿 名所風景美人十二相 赤子に乳をのませる母 長刀を持つ小さな人形を動かし、赤子の気をそそる。ほしがって身をのばす子ども。朝顔と梨。絵は色ずれしているが、それはそれでいい。

国貞 時世百化鳥 風車にみみづく コマ絵が風車にみみづく。若いお母さんがお乳をあげつつ髪をセット中。ダルマや猫のおもちゃもある。可愛いなあ。
江戸時代の地層からは今もこうしたおもちゃなどが発掘される。

歌麿 風流子宝合 大からくり 碁盤の上に小さなのぞきからくりを置いて、弟たちにのぞかせるおねえさん。
どんなからくりを見せているかはわからないが、あの独特のリズムで語っていたら、それはそれで楽しかろう。

英泉 当世子宝十景 高輪の月見 ゴザに寝る子の腹の上に帯を掛けてやる。そして団扇で風を送る。優しい母。
高輪は二十六夜待ちの名所だったとか。平岩弓枝の小説を思い出す。

子どものための「背守り」や「巾着」が手作りされている。単に糸をつけるだけでなく、どうせなら可愛い刺繍を施してやりたい、という母のための手本もある。

応為 女重宝記 絵本仕立てで十ヶ月間の胎児の様子を、それぞれの仏像と対比させつつ展示する。
面白い。殆ど冗談のようなポーズの胎児もいた。

#2歌麿 母譲りの美貌の子どもとのツーショット絵が綺麗。「七変化」シリーズ。

英泉 浮世二十四好 楊香 二十四孝が元ネタ。コマ絵では虎から父を守る楊香、メインではおんぶされた子どもがウグイスの籠を狙うドラ猫をちょんと突く。

国芳 見立七婦子仁 えびす 姉が小さい弟を遊ばせる。金魚釣り。ちびの手にはタイのおもちゃも。
朝顔も咲き、染付の鉢も綺麗。

芳虎 五色和歌 定家卿 白と青がある。コマ絵で定家が描かれ、メインではそれをモチーフにした絵。
母子が楽しそうな様子。しみじみといい絵。

英泉 花見 三枚もの。母子や姉弟など三組の人々が花見を楽しむ。狐あやつり人形を持ってたり、目かずら(目元の絵だけ描いたお面、今ならひらかたパークのひらぱー兄さんのがそれに当たる)、桜を持つ子もいる。
女たちの着物がこれまた面白い。蝶や都鳥の文様はいい。椎茸の連続文があるのは初めて見た。大分県が大喜びしそうな着物の意匠。びっくりした。
あるんやねえ、こんな柄。…ないか。


2.子どもの成長を願う

国貞 風流古今12月のうち弥生 三枚続 総勢17人がわいわい。桜もよく咲いている。

英泉 当世好物八契 雛人形 垂髪の雛。手に白い姉様人形を持つ娘がいる。ほのぼの。

#3豊国 内裏びな 描かれたお雛様。それも飾りとして愛された。繧繝縁に座す。

芳藤 おひなさま両めん合 お雛様と五人囃子という組み合わせで、前姿・後ろ姿とを貼り合わせて遊ぶもの。

さすがに「おもちゃ絵の芳藤」だけにほかにも楽しそうな子供らつきの組立絵などもある。

国芳 稚遊五節句のうち 七夕 短冊に酸漿にスイカなどなど。


3.江戸は教育熱心

寺子屋の絵がたいへん多い。実際に寺子屋はたくさんあったようで、私塾も多かった。識字率が高いのはたいへん結構なことだ。

豊国 風流てらこ吉書はじめけいこの図 書き初めですわ。

国芳 幼童席書会 発表会、なかなか立派な文字を書く子もいる。端では山盛りの何か赤いものを食べる子もいる。箸でつまんで食べている。なんだろう。
可愛い。
綺堂の小説にもこの寺子屋のことが出てくる作品がある。
イメージ (13)

広重 諸芸稽古図会 戯画風なこしらえ。

芳藤 婦人一代出世双六 いろんな職業の女が描かれている。最下層に辻君、比丘尼、女乞食がいる。それから門付、番太のかみさん、水茶屋、取上婆、飴売り、茶屋女、蚕養女、後家と猫、踊りの師匠、機織り、琴の師匠、ご新造、奥方、大名家の年寄…

玉むし物語 虫尽くしの物語絵巻。玉虫姫と蝉とのしみじみとした愛情物語。


4.遊び好き・いたずら好き

ちびっ子たちの楽しそうな様子が生き生きと描かれた作品が多い。
イメージ (12)-8  イメージ (12)-9


春章 正一位三囲稲荷大明神 子供らのお祭り。お稲荷さんもにこにこしているように見える。鍵をくわえていた。
イメージ (12)

国貞 雪合戦 武家の女子等の遊び。町の男の子らとはまた違う楽しさがある。

貞広 子ども四季遊び 四季それぞれの楽しい様子。冬はわんこと引っ張り合いっこ。

#3広重 幼童子をとろ子をとろ これは戊辰戦争の当てこすりらしいが、わたしはそれをみてちょっとばかり八犬伝の絵を思い出した。

重政 おさなあそび24孝 丁蘭 男の子らの楽しそうなままごと。


5.キッズ大行進 見立て絵・やつし絵

忠臣蔵、富士の巻狩り、火消し、相撲などなどが描かれているが、案外このあたりは淡々と眺めた。

6.子供の好きなお話

金太郎がとても多い。
歌麿、清長、国芳、芳艶らの絵がある。

金太郎のその後の公時が活躍する頼光の話もある。
国芳、芳年の絵がいい。

牛若丸と弁慶も多い。
特に国芳が多いのはやはり武者絵の人らしくていい。

芳虎 庚申山の妖怪 現八と大山猫の化身が戦ったところ。現八の活躍する話はわりと人気が高いと思う。
わたしもその昔の「新八犬伝」でも現八かがけっこう好きだった。

重宣 昔ばなし一覧図会 かちかち山、花咲じいさん、文福茶釜、桃太郎、さるかに合戦などなどが異時同時図的に描かれている。

高嵩谷 桃太郎絵巻 わりと浪人風な桃太郎。

はちかつき 渋川版おとぎ草紙 横長本 やはり好きなんだな。わたしも大好き。

国芳 舌切り雀 これも一枚に話が全て取り込まれていて楽しい。

芳虎 時参不計狐嫁入見図 狐の嫁入りのめでたい行列を見るのは、丑満参りの女。…こわ~

終わったが、いい展覧会だった。
ありがとう、千葉市美術館。

続いてスモールワールド。

・ヘレン・ハイドの描いた明治大正の子供たち
イメージ (14)-9

亀戸天神の太鼓橋 女児らが橋から身を乗り出す。
亀戸のこの太鼓橋は後には吉田博、川瀬巴水もいい作品を描いている。

お化け灯籠 お化けだぞ~というのが可愛い。

蛍 わんこと一緒。人力車が通るのが明治の姿。

新しい箒 懸命に働く子供ら。いいねえ。

ほかにエミール・オルリク、モーテイマー・メンペスの作品もあるが、これらはこれまで横浜美術館でしか見ていなかった。千葉市にあるとはさすがだと改めて思った。

・犬猫とこどものいる光景
清親 猫と提灯 大好き。可愛いなあ。

犬をつれたかむろ図 この絵を見て劉生は麗子で同じ構図のものを考えたとか。

仔犬の図 白と白に黒ぶちが一緒にぐーーー。

小川栄羽古行 麝香猫図 ファミリー。大和文華館のを思い出したわ。

牡丹猫図 にゃーとした猫がいい。

芦雪 花鳥虫獣図巻 わんこが可愛い巻物。スミレとか咲いてて楽しそう。
イメージ (14)

雪佳 百々世草 わんことカタツムリ。

並べ方がまたいいね。

・虫・むし・ムシ
イメージ (14)-8

鈴木治 セミ 焼き締めの方ね。

井特 野外遊楽図屏風 萩、ススキが咲く。商家の女たちの楽しそうな様子。女中と奥様との違いもはっきり描いているが、みんなそんなにエグくもなく、上品。

岡本秋暉 群蝶図 波を渡る白い蝶たち。白に黒が入る。
安西の「韃靼海峡を」のあの詩が浮かぶ。

岸岱 群蝶図 シュール。金比羅さんにもあるが、これまたシュール。

三熊花顛 群蝶図巻 桜狂いの画家の蝶。妙にリアルな蝶たち。

・虫と詩的世界
歌麿 画本虫撰 芥子にトンボ。この場面がでていた。

森春渓 春渓画譜 平家蟹…

雪岱 蛍 あら、これもここにあったのか。青い光がぼうっと…

清原啓子の作品が三点もある。
八王子夢美術館で知った版画家。
非常に細密で幻想的な作風の銅版画家で、突然夭折してしまった。
ケルビムは夢想する 闇の中、落ちてくる女、眠る天使…
説明はなくとも、画面には物語がある。

・小さいもの、小さいこと

元禄時代 遠近法土佐絵 ちょーーーーーーーシュール。人が広―――――――い空間にぽつんぽつん。すごい邸内。

伝・家光 墨絵 子供遊図 …きしょいな。広い画面に豆粒のような人の姿が
・・・・・・・・
   ・
とこう並んでるわけです。「はないちもんめ」でもないし、何なんだろう。

芋銭 樹下石人談 雨の湿りの後、集合する石人たち。みんなにやにやしている。なんかこわいな。

清水清風 うないの友 画譜 伏見人形らが描かれていた。

英泉 鏡の中の男女 あぶな絵の出だしのシーンか。カードサイズ。


・小さい版画の小さい理由

合田清 馬上の武士 木口木版 1895 はがきサイズにリアルな絵。

通勢 御茶ノ水橋 エッチング どこか違うような。
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア