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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

華角と木工 牛の角に秘められた多彩な世界

高麗美術館のほまれの名品の一つに「華角」という工芸品がある。
朝鮮時代に生まれ、20世紀初頭に廃れ、今再び伝統の技能が復活している、非常に繊細な工芸である。
今回はその「華角」と木工製品とを堪能した。
イメージ (24)
牛の角を薄く薄く削り、そこに絵を描き、薄いシールのようにして家具や函に貼り付ける。
今ではもうこの技術はごく一部の職人にしか伝わらないそうだ。
近代化の波が押し寄せて、セルロイドやなんだかんだに取って代わられて、全く廃れたそうだ。しかしそのセルロイドなども今や見つけるのが難しくなり、高精度のプリンターでなんにでも転写できる時代に、手工芸の極みのような仕事をする。
凄くかっこいいと思う。

螺鈿、蒔絵などの手仕事は東アジアに広まっているが、華角だけは完全に朝鮮オリジナルで、他の民族のもとではこの工芸は生まれなかった。
チラシ左上に赤地に虎、象が描かれたカードのようなものがあるが、あれがその華角なのだった。これらは高麗美術館のチケットに登場しているので、なじみの気分がある。

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今回こんな小さな櫛を見た。櫛の目も非常に細かいが、芯の部分の華角がまた素晴らしい
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実物はこの画像よりもう1回り小さい。そこにこんな手の込んだことをするのだから、本当に驚異だ。

いつものように虎のような阿吽の狛犬像を眺めてから展示室に入る。
木工の鴨か雁がある。いい置物。なんとなくトボケた顔がいい。
それを載せる小さいキャビネットもいい。

文房図屏風が壁面展示されている。5扇めに、麒麟とも鹿とも見える聖獣の置物の絵があり、キョトンとしていて可愛い。ちょっとばかりサッカーの長友選手にも似ていて、ますます好感度が高まる。緑のボディに黒のドット。鹿の子というべきか?勝手にガメッツと名付けておく。
(わが家では長友選手のことをガメッツと呼んでゐるのだ)

碁盤がある。これは4年前にも見たもので、とても素敵。
盤上のあちこち交差するところに花形の螺鈿がある。長生殿の図柄なのだが、サイドに鷺と梅などもある。
碁石を入れる抽斗もあるのが合理的。
これは以前にも知ったことだが、中が空洞で銅線を貼っていて、音響が非常にいいらしい。
イメージ (25)-9

華角の糸巻きがいくつかあるが、それぞれ可愛らしく作られている。
そしてそれより手のかかるのが「粧刀入れ」という携帯用で小さくて細い、筒状の鞘のようなもの。
技法も様々で、七宝、鼈甲、華角、さまざまな技巧を凝らしたものが並ぶ。
中には小刀や銀のお箸を収納。小刀は主に自害用、銀の箸は毒かどうかを調べる用。

箪笥は木へんに蔵の字で「チャン」とよみ、素晴らしい装飾が施されている。
装飾のないものは元の木目がこれまた綺麗で、いい感じ。
また、長持ち型でなく函形のボックスも好まれていたようで、こちらもいくつも並んでいた。

イメージ (23)

華角三層チャン(木へんに蔵)、解説によると華角115枚で装飾しているそうだが、わたしが数えたみたところ、159枚になる。サイドは52枚ずつの104枚、正面は55枚になるが、もしや所々違うものを貼っているのか??
仮に正面の大きなものを4枚構成ではなく1枚で数えたとしてもやはり少し合わない。うーむ、なぞだ。わからない。
これは数の問題ではなく、実は「華角は本当は何枚使われていて、違うものは何枚なのか」という問題になっているのだ、わたしのなかでは。

チラシ左の虎や象が貼り巡らされた華角箱、これも好きなもの。
虎、象だけでなく羊、鹿なども仲間だが、みんなひょうきんな顔をしている。

朝鮮民画でも動物たちは明るい楽しい顔をしているが、このあたりとの関連があるのかもしれない。

黒柿貼二層チャン いい感じのキャビネット。木目を生かしていい感じ。何がいいというても蝶番などの金物。蝶型、魚型、花柄などなど。

黄銅装函 こちらは花形の釦つき。函はハムと言います。

テーブルもいくつか出ているが、虎足などがいい。丁寧な仕事。

刺繍もいい。枕のそれがいい。枕隅つまり両サイドですね。吉祥文様の刺繍が入っていた。
意匠もよく考えられている。

薬箪笥がある。一つの抽斗に二つの薬が入っている。
クコとサンザシ、桂枝と紅花、陳皮と半夏などなど。

丸い白磁の壷、可愛い水滴などもみて、いい気分で二階のベランダへ目を向けると、虎の置物がある。石の虎。
それから壷があった。大蛇らしきものが壷に巻き付いてこちらを威嚇するような様子である。
どこかで見たような気がした。
あっとなった。諸星大二郎が描きそうな謎の存在にそっくりなのだった。

9/28まで。
次は「あなたの選ぶ名品」展
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