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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

てっちり

かにフグを 食べてなんぼの 大阪人

字余りの下手な句をひねりたいほど、冬にはおいしいものが多い。
今日は新世界に行こうとしている。ツレが旦那さんの赴任についてシンガポールに行き、少なくとも五、六年は帰国しないから、年末の蟹に続く第二弾だ。

私たちは大阪駅から新今宮に向かったが、しゃべりすぎて電車をうまく乗りこなせず、環状線と言う割りにはループせぬ、折り返し運転の車内で手前まで戻ったりした。しかし無駄な時間ではない。しゃべることが我々の楽しみの一つであるのだから。

今日は新世界のづぼらやに行った。
本店のほうである。向かいにふぐの形に似た新館が建てられ、こ綺麗だが、大昔からの本店へ入る。

実は何十年ぶりか、の来店である。
わたしの父はいわゆる庶民派グルメで、立派な料亭やホテルでおいしいものを食べるということをせず、庶民的な店でアホらしいハナシをわいわいしながら機嫌よく大人数で食べるのが好きな人だった。
冬になるとやたらめったらこの『づぼらや』に来ていた。
父は姑や義弟らもひきつれて出かけるのを常にし、三日に一度は北摂からこの新世界へ繰り出していたのだ。
また、わたしは祖母の初孫で皆に可愛がられ甘やかされていたので、店の隣にあったおもちゃ屋では必ず何かしらおもちゃを買ってもらっていた。づぼらや―おもちゃ屋―駐車場の並びだったか。

あるとき、わたしは二つのオモチャがほしくなった。祖母も、まだ若かった叔父も、父も、『よしよし』とばかりに買おうとする。母だけは苦いものを感じていたようだ。
その様子を見ていたおもちゃ屋のおばあさんがいきなり幼児だったわたしを叱り付けた。(無論、わたしにその記憶はない)
「いっつも買うてもろてるやろ、一つにしなはれ!」
・・・・・・母はいまだにそのことをわたしに言い続けるのだ。
エエ気味だと思っているのだろう。おもろかったなーと言うのだもの。

まあ、とにかく父が死んでからはづぼらや他とも縁が切れた。
母は家でご飯を作るのが好きな人で、今もわたしが外食を誘うといやな顔をするのだ。
「カニと焼肉だけは別やけど」
それが母のポリシー?らしい。


話を戻す。
店に入ると、空いていた。
二階のお座敷は夜かららしい。昔、座敷にいるのに飽きて廊下で遊んでいると、仲居さんにヨーヨーを貰ったことを覚えている。
わたしたちは天然とらふぐのコースを頼んだ。
お昼からぜいたくだが、まあ『サヨナラニッポン』だし。
前菜3種。白子をどうにかしたものなどがあり、おいしかった。
出た出た、てっさ。これですがな。
わたしは子供の頃、てっさと雑炊しか食べなかったのだ。
映画にすぐ影響される祖母の『怪談』で、ふぐを食べたら死ぬと脅かされていたことが懐かしい。
しかし考えたら、てっちりを食べずとも、てっさを食べているのだから、同じなのだ。祖母はどこかトボケた人だったので、どこまで本気だったのだろう。

一方ツレもづぼらやは久しぶりだと言っていた。
彼女の姉上とも仲良しさんだが、確か以前に『ポン酢嫌い』と聞いていた事を思い出した。
「ソレてなんでやったの」
「ウチとこもお父さんが、冬になったら三日と開けずてっちりてっちりの人やってん。ほんでその店のポン酢がイヤやってん」
・・・ちょっと前の大阪のお父さんは、みんなてっちりに根性入れてはったんか。

てっさもいいが、わたしは皮の湯引きが大好きである。
それから唐揚げも。
うーん、おいしいわ。

いよいよてっちり。
わたしもツレも野菜はクタクタに炊くのが好きで、ハクサイはシャッキリしていると腹が立つくらいだ。アラから炊き、トウフやきれいな身を食べる。
あああ、お・い・し・い???
白子。ううううう。

雑炊もおいしくいただき、最後にはメロンも出た。
ヤー、幸せやわ。

わたしたちは機嫌よく、店を出た。
ああ、ほんまに幸せ。

ツレは地元に名代の牡蠣料理店があり、それも食べてるから冬の美味は制覇してしまったのだ。あああ・・・かき金(涙)
口惜しいことにわたしは、牡蠣アレルギーがまだ治っていないのだ。
くそ?
その分、蟹を食べるけどな。


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