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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

こども展 名画にみるこどもと画家の絆

大阪市立美術館に「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」が巡回してきた。
既に東京では森美術館が開催して、人気を博していた。
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大体「こどもとどうぶつにはやられる」というのが芝居の世界の常識である。
大人がええ芝居をしててもちょっと可愛いちびっこが出て来たり、どうぶつが出てきたら舞台をさらわれるものだ。
とはいえよほど子供嫌い・動物嫌いでなければ、大抵は「イャ可愛い」でわかっていても、ついついそちらに肩入れしてしまう。

江戸時代、「七つまでは神の内」ということで夭折する子供らがいることを是認していた時代、浮世絵では子供を描いたものが大量にあった。
むろんどうぶつ絵も多い。やっぱり好きだという人が多いからそうなったのだ。
子供の浮世絵展もつい先般千葉市美術館で開催されていた。
感想はこちら

さて西洋での「こども」画である。
泰西名画からピックアップ、というのではなく、旧いところで1809年、新しいところで1986年までの近代西洋絵画の中に現れる子供らが集められていた。

日本と違い、西洋では子供にもきちんと人格が認められている。自我もはっきりとその存在を許され、子供は子供として親の付属品ではないぞと主張している。
描かれた子どもたちは、日本の子供らとは全く違う表情を見せていた。

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序章
ドニ リザール号に乗ったドミニク 1921 ドニらしい明るさに満ち満ちた絵!青空、青い海、ヨット、金髪で青い目の可愛い少年が楽しそうに立つ。膝小僧が可愛い。

ルイ=レオポルド・・ボワイー 私の小さな兵士たち 1809  油彩でセピア色で描かれているのだがリトグラフかと思った。三人のこどもたちに犬。兵隊さんのようなかっこをしている。軍国主義とかそんなのを措いて、子供というものは<かっこいい>コスプレをしたがる。父である画家は子供らのそんな様子を優しく描く。

ルイ=アントワーヌ・バリー 芸術家の娘の肖像 1830-1840  見返り娘の図。アップにした髪からも彼女がもう少女ではないことを示す。オーガンジーの付け襟が綺麗。水青灰色のドレスにもよく合う。
この娘さんは25歳で夭折したそうだ。

コロー 座るイタリアの少年 1825  コローはなかなか美人な女の人を秘かに大量に描いていたが、少年もこの子を始め可愛い子が多く、あなどれない。
足を延ばしてこちらを向く少年。グレーの上着にグレーのソックス。黒の帽子に黒のパンツ。可愛いなあ。シックな配色がいい。

デュビュッフ一族の絵を見る。代々肖像画家として名を馳せ、多くの画家を輩出した家系。それに、この企画を最初に立案されたオランジュリー美術館の館長さんはデュビュッフ一族の末裔に当たられるとか。
おおーという感じ。

19世紀中葉の肖像画家としてのデュビュッフの作品は当然ながら上流階級の子供の絵になる。
クロード=マリー・デュビュッフ この人はダヴィッドのお弟子。
ポール・デュビュッフの肖像 1848  金髪の幼子が椅子に倚る姿。ナマイキ。
ネリ―・ビュネルの肖像 1850  ヴィクトリア女王と同じ髪型に襟元。ピンクのリボンが印象的な幼女。手には秋の花。

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第一章 家族

クロード=マリー・デュビュッフ デュビュッフ一家 1820  母、妹夫妻、妻子の肖像で、その時代を感じさせるファッションをしている。
真ん中の幼児が後の画家エドゥアール。家庭教師もいる。

ギョーム・デュビュッフ ボーシャン伯爵夫人とその子供たち 1895  裕福な夫人とその子供たち。幼い息子は母によりそい、幼い娘は母の裾の前に座る。
ナマイキそうで、しかも母によく似た二人の幼い子ら。
しかしこの絵は「亡くなったわが子たちの記念に夫人が美術館に寄贈」というエピソードがあった。
早くに亡くなったのか、この幼い子供たち…

カリエール 病気の子供 1885  ドニと並んで子煩悩だったらしいカリエール。数年前の「ロダンとカリエール」展はよかったなあ。
感想はこちら
セピア色というより、ミルクブラウンの世界。低い温度の中で生きる人々。
二人の子供と、病気の子供を抱える母と犬と。

ドニ 夕方に塔の傍らで 1925  やたら子だくさんで、みんな結構好きなことをしている。一番気づきにくい手前にドニ本人。抱っこされる子もいるが、可愛いのはぺたんと座る幼子だった。

第二章 模範的な子供

ギョーム・デュビュッフの作品が数点並ぶ。
カプリ島を背景にした五人の子供たち 1890  確かにカプリ島が遠景として描かれているが、五人の子供らは首だけが大中小と5人並んでぼんやりと中空に浮かんでいるのだ。幻視したとすると怖い絵だ。

レイモン・レヴィ=ストロース 子供のクロード・レヴィ=ストロース 1912  さすがあのレヴィ=ストロースだけに小さいころから見るからに賢そう。お父さんも自慢でしたろうなあ。

アンリ・デティエンヌ 娘、あるいはS嬢の肖像 1913  赤いワンピースに黒ソックス。花を飾った帽子に三つ編み。おしゃまな12歳、くらいな感じ。 

シャルル・リュシアン・レアンドル 画家の姪マドレーヌの肖像(14か月) 1902  美赤子。 レースに包まれている。

アンリ・ルソー 人形を抱く子供 1904-1905  すごいよな、この存在感。レゴでこの子が再現されてたが、なんかもうすごい。日露戦争の頃のフランスの幼女。

ジョフロア 教室にて、子供たちの学習 1898  マジかと思うくらいみんなまじめ。つまりあんまり面白くない。

第三章 印象派

モネの長男はジャン、二男はミシェル。
チラシの子供はミシェル。上の子も下の子も奥目だな。当たり前か。
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青いセーターを着たミシェル・モネ 1883  紺色のセーターを着た細い少年。いかにもヨーロッパに生まれるような子供。ちょっと惹かれた。

ルノワールの息子たちはみんな女の子の装いをさせられている。流行。
ジャン・ルノワールの肖像 1899  これは『ルノワール+ルノワール』展でも見た。
あの展覧会はよかった。父の絵と息子の映画と。
感想は父と息子と二つ分けた。
父はこちら

息子はこちら

道化姿のクロード・ルノワール 1909  朱色の衣の少年。昔オランジュリーに行った時、この絵ハガキを喜んで買った。いいなあ、ルノワール。

ジュリー・マネの肖像あるいは猫を抱く子供 1887 イメージ (8)
ベルト・モリゾの娘のジュリー。幸せそうな顔でこちらを見ている。
もっと幸せそうなのは抱っこされてる猫。表情にすべてが現れている。
可愛いなあ。イメージ (9)
ルノワールが描くネコは幸せそうな顔のが多い。

この少女は母にも描かれ伯父にも描かれ、親の友達のオジサンにもこうして描かれて幸せそうな表情をみせているが、後に相次いで両親を亡くす。
しかしこの絵を描いたルノワール小父さんが後見人になった。

モリゾ 庭のウジェーヌ・マネとその娘 1883  夫と娘とをルノワール風に描いたいい感じの作品。幸せがこぼれている。

モリゾはルノワールのファンで、彼によって描かれたこの猫抱っこの娘をドライポイントで作成してもいる。向きは逆だからまるまるその通りに写したのか。

後にジュリーは画家になり、ルノワール風の絵で甥っ子オーギュスタンを描いてもいる。
そして大人になった彼女を描いたエルネスト・ルーアールの絵もここに出ていた。立派に一人立ちした女性の横顔が描かれていた。

第四章 ポスト印象派とナビ派

ボナール 子供と猫 1906  テーブルに向かう幼女の隣や膝にいる猫たち。この絵も大好き。愛知県美で絵ハガキを購入したがやはり嬉しかった。

ドニ 海辺の更衣室 1913  姉弟がその入り口に立つ。弟はマッシュルームにセーラー。姉は両脇にリングのようなくくり。可愛いね。

ドニ ボクシング 1918  この絵も前にドニ展で見た。可愛らしいちびっこ兄弟が林の中でポカポカ殴り合い。
感想はこちら
可愛いなあ。ほのぼのする。

ドニ トランペットを吹くアコ 1919  嬉しそうにも誇らしそうにも見える。

第五章 フォービズムとキュビズム

マティス ピエール・マティスの肖像 1909  次男。不機嫌。「呼ぶなよな、遊んでるのに」という顔つき。いいなあ。少ない線ですごくよく伝わる。

ピカソの子供の絵は長男次男くらいまではフツーに可愛いなと思うのだが、この時代のクロードとパロマの絵は本当によくわからない。
とはいえ、ささっとした線で描かれた幼児たちの特徴を捉えた絵はさすが。
しかしパロマは喜んでいたそうだが、異母兄らの愛らしい絵を見て「パパにはわたしはこう見えてたのかしら」と思わなかったろうか、とよそごとながらついつい考えてしまう。

その当時のピカソの妻で二人を生んだフランソワーズ・ジローの絵もあるが、やっぱり…1940年代の話。

第六章 20世紀のレアリスト

レンピッカ 初めて聖体拝領する娘 1929  キリスト者にとってとても大事な儀式で晴れ着を着て行う。この少女も真っ白な衣裳を付けている。

キスリング オランダ娘 1933  民族衣装の刺繍の豊かな…いいなあ。

パスキンの少女は見たくない。

アルヴェール・ブライトゥー・サラ ヨーヨーの肖像(芸術家の甥) 1927
可愛い黒髪の子供。黒の幼児服を着ている。チュニジア人か。だからこんなにはっきりした顔か。しかしこの子はアウシュヴィッツで死を迎えるのだった…

フジタ フランスの48の富 1960-1961  口をつぐむ子供たち。しかし楽しそうに48のシーンを見せる。ツール・ド・フランス、機械操作・料理…
タイルになって販売されても楽しいだろうといつも思っている。

自分の子供時代はよくなかった。
しかしこどもの絵を見るのは楽しい。
いい展覧会だった。10/13まで。
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