美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

工芸の美いくつか。桜圃名宝・雛人形 雅の世界・型紙の美

素敵な工芸展をいくつかみたのでまとめる。
・桜圃名宝 学習院史料館 12/6まで
・雛人形 雛道具に映し出された雅の世界 文化学園服飾博物館 11/22まで
・型紙の美 武蔵大学蔵 朝田家型紙コレクション 石神井公園ふるさと歴史館 11/16まで

・桜圃名宝 学習院史料館
首相を務めた寺内正毅の持つ様々なお宝を展示していた。
寺内の号が「桜圃」オウホということでのタイトルである。
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明治天皇、大正天皇に仕え、ご下賜品も多く所蔵していた。
いずれも蒔絵の素晴らしい作品である。

旧幕からご維新で明治の世になり、かつての職人(絵師を含む)はみんな用無しになってしまった。
狩野派の絵師の中には車夫になった人もいるくらいだが、中にはじっと耐え忍び、再び元の仕事ができるようになった人々もいた。
なんでもかんでも洋化したものが素晴らしいわけではなく、これまでの日本の美を大切にしようという考えである。
その意味では蒔絵物をご下賜品にした皇室というものは、職人保護の役割を果たしていたということになる。

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どれを見ても大変丁寧で綺麗な仕事をしている。技能の限りを尽くした作品ばかりだった。
菊の御紋がついたものがいくつもあり、それが日の位置にあるとまるで菊の太陽のようでもあった。

面白いのは日露戦争の後のもので、帝政ロシアの旗を打ち破る文様のものがあった。
時勢がよくわかる。

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大将とか総督とか首相になったりしただけに実に多くのご下賜品があり、それを大切にしていたのかよくわかる。
また元々は長州者だったので、高杉晋作の書面なども持っていて、それらも展示されていた。

こんなものもある。イメージ (43)
当時の絵葉書。

一番よかったのは和風ボンボニエール。
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雛道具のようで可愛くて可愛くてドキドキした。
今まで見てきたボンボニエールは銀のものが多かったが、これらは蒔絵螺鈿を施したもの。
それらが雛段飾りされているので、見た目もいよいよよかった。

なお小さいながらも充実した図録がプレゼントもされるので、無料でこんなにも優遇されて申し訳ない気にもなる。
ぜひ見学を!
12/6まで。日曜休み。


次は新宿の文化学園服飾博物館「雛人形 雛道具に映し出された雅の世界」の話。
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二階から展示が始まるが、いきなり首なしマネキンの公家装束がずらりと立ち並ぶのにはびっくりした。
よく見かけるのかもしれないが、関西ではやっぱり首ありマネキン、要するに生き人形に着付けというのがメインだから、焦った。
狩衣や直衣まで出ていたか。

それから毛利家から大村家に入った人が持ち込んだ大名のひな人形・雛道具一式。
大村家とは大村益次郎つまり昔は村田蔵六だったひとの家にかつての君主の若様の一人が養子入り。
・・・・・・ご時勢だわなあ。
御殿づくりで畳敷き。無人の御殿で、人形やお道具はずらりとその右手に並んでいた。

さすがにお大名のお道具だけに楽人もいるし官女も三人ではきかない。舞楽の人も衛士もいる。
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お道具ももちろん愛らしいし、たいへん丁寧な作り。これらは京の細工ではなく江戸のものらしい。
御殿づくりでも天井なしなのでちょっと違和感があったが、納得。

御降嫁された和宮の様々な婚礼道具もよかった。ちゃんと煙管もあり、綺麗な蒔絵作り。
長持もいい。実際の存在感ある長持をみると、妙にドキッとする。
それはきっと岡本綺堂の怪談やわたしの見聞きした長持の怖い話が胸に浮かぶからだろう。
乱歩の「お勢登場」これは池上遼一の描いたお勢が、亭主の入った長持を強く封じる顔の美しさにゾクゾクしたが、怖い話だ。ほかにも八世三津五郎がある留守宅に妹をやると、置かれた長持から帯や長い髪がはみ出ていたという気持ちの悪い話もある。
わたしもあまり気持ちの良い話を知らないな。

この文化学園と縁の深い「虎狩の殿さま」の夫人・徳川米子さんのお雛様なども展示されていた。
こちらも江戸の人形師の雛である。
普段京人形ばかり見ているので、とても新鮮な感じもし、また違和感もある。
とはいえ綺麗であることは間違いない。

それからエリザベス・サンダース・ホームの澤田美喜さんの婚礼道具が並んでいたのも思いがけない歓びだった。
澤田美喜さんは岩崎弥太郎の孫にあたるのだったか、ひ孫にあたるのだったか、名家の令嬢だったが、戦後の混血孤児たちを立派に育て上げた、戦後日本の偉人の一人である。
子供の頃にその伝記を読んで感動したことを思いだす。
万事洋風でハイカイなイメージのある澤田美喜さんだが、お道具は全てかつての大名婚礼道具に批准したものばかりだった。

こちらもいいもの尽くしの展覧会。11/22まで。

最後に石神井公園ふるさと文化館「型紙の美」。
先般、三菱一号館美術館でジャポニスムの画家たちが好んだものと、伊勢型紙の展示をみたが、それとはまた違う地方の型紙を見た。
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宮津市の紺屋・朝田家の所蔵品だった3000点もの内から選ばれた品々。
素晴らしいコレクションだった。
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これ、なにかわかりますか。
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そう、はさみと指ぬき、ですな。
そんなのが小紋になって布一面を染め上げる。
凄い可愛い。

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他にも餅つきとかいきなりの雨に走る人々の姿とか、クモの巣などなど無限に文様があった。
宝尽くしはここではくっきりとコマ割りの中に納められた道具たちが整然と並ぶ図だったし、唐松亀甲文様や嵐文もある。
いちめんにそれだけでなく、組み合わせのものもあるし、無限に楽しめそうだった。

セミは二度染めで複雑な文様を見せるようにできていた。
扇団扇尽くしは突彫りと錐彫りとを併用、多彩な技術にくらくらした。

画面展示だが川越の喜多院に所蔵されている職人尽くし絵に四種の仕事の人々が描かれていて、その画面展示が楽しかった。
型置き師、機織り師、縫い取り師、それらを構築する布を縫い合わせる・・・
素晴らしい。

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こんな見本もあるが、江戸時代の面白さと言うものをこんな側面から見れてとても嬉しい。

11/16まで。




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