美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

酒井抱一 江戸情緒の精華

大和文華館で明日まで酒井抱一の展覧会が開催されている。
つい先般にも千葉でみたばかりと思っていたら、2011年だったので、月日の早さに驚くばかりだった。
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前期後期と展示替えがあり、合わせた感想を簡素に描く。
なお前回の千葉での感想はこちら
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夢・蝶図 抱一&宗雅 弟の絵に兄の書。酒井さんは一家そろって芸術一家だったので、弟の絵に兄さんが書屋さんを添えることも少なくなかった。
なお千葉や細見ではご両親のコラボ作品も展示されていた。
この夢の字が斜めになって寝ているのが楽しい。そこへ蝶々がいるわけだから、ある意味「荘子」ぽい感じもしないでもない。

瓜ばった図 抱一&宗雅 こちらも兄弟の作品。二つの瓜の上にバッタがいて、兄さんがなかなか下世話な狂歌を寄せている。
弟から聞いたのか、自身もお出かけしての見聞からか、なかなか。

若い頃の美人画は概ねが浮世絵で、交友関係も見えてきて楽しい。
風流公子の最たる人。
人麻呂図や西行図もわるくはないが、やはり抱一は花鳥風月を描いた作品の方がずっといい。

燕子花図屏風 出光所蔵でしばしばお目にかかるが、これは時計逆回りを半円した形に花が咲いている。シンプルに描くことですっきりした良さが目立つ。
紺色の花の中に白花も混じり、そこに黒ヤンマがいることもいいアクセントになる。

水葵にトンボ図 こちらも薄墨のいい作品でさっきのヤンマとは逆向き。

大名の弟は書もうまいが、これは千字文の延長ではなく、自分で楽しんで学んだ様子がある。

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瓶花図 いかにも琳派のひとらしく、先達を見習って立葵にアジサイの取り合わせがいい。

観世音図 白衣観音さんの傍らの瓶花も先のそれとほぼ同じもの。

吉原月次風俗画 6月富士詣り 蛇のおもちゃ。これは「半七捕物帳」にも書かれているが、決まりもので、この時期のその土産と言う限定品。可愛いおもちゃ。ひょうきんな顔が書かれている。

11月酉の市 こちらは熊手に絡むように3つの八つ頭(芋)が描かれているが、いずれも心配顔を見せているのが面白い。
ここにも粋 スイな句が書かれている。

雪月花扇面画賛文台 懇意にしている妓楼・大文字楼主人で狂歌師の加保茶元成のために拵えた。二枚の扇をシンブルに描いている。

住吉太鼓橋夜景図 薄墨で月下の太鼓橋を描く。本当に行ったのかどうかは知らんが、いい感じ。

三夕図 和歌を認めた短冊をうまい配置に置いたもの。

橋場渡図 住まいもここらにいた頃のか。静かな町だったとか。

隅田川雪月花図 いいのは中の水面に映る月と都鳥、雪の待乳山聖天の図か。

紅白梅図屏風  右の白梅は枝もくねるくねる。白に緑のしべ。左の薄紅梅は蕾の方が色濃い。
官能を内に秘めているのは幼い方なのだ。
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鳥獣戯画や雪舟の金山寺の写しもある。やはり巧い。若い頃からの鍛練と好きさが技能を上げている。

紫式部石山寺観月図 こういうのはそれこそ頼まれて描いた分かもしれない。

倶利伽羅龍剣二童子図 不動の代わりに倶利伽羅龍がゴーーーっ二人の少年がそばで見物。仏画もこうして眺めると、色々と面白い。

鬼図 てっきりポーズを見せているかと思いきや、そうではなく、ひぇーと逃げてるところを斜め後ろから描いたようだ。顔が怖いのでよくわからんが、どうやら鍾馗に襲われて飛んで逃げたところのよう。

鶴懸松図 八百善の別業に将軍家がおなりで、鶴を懸けたとかなんとか。栄誉だというので、お仲間で絵の達人の抱一さんに描いてもらおうということになったそうな。鶴狩りは庶民は許されなかったこと。

さて陽明文庫のお宝の一つが出てきた。
四季花鳥図屏風 あの鷺が飛んでくるあれ。人気の屏風。
わたし、今回春の野を描いた右を見て、土筆やスミレやスギナやなんだかんだ生えてきてるのを、悉く掘り返したくて仕方なくなった。
なんでかなあ。いきなりにゅっと出ているのがよくないのかもしれない。
全部根こそぎ抜きたくて仕方なかった。
隣の秋のキジやんのいる方はそんな気にならなかったのだが。
これはきっとあれか、いきなり出てきているからかもしれない。

絵巻を二本見る。
四季花鳥図巻 蔦の色の変化が洋風だな。グラデーションと言うより陰影。

四季草花金銀泥下絵和歌巻 銀が参加して灰黒になる、その効果をうまく利用している。宗達よりやはり百数十年後の新しいセンスが光る。

全期間通じてこの東博ほまれの屏風・夏秋草図屏風が出ているのは嬉しいね。
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前期ではお隣に出光の草稿のが並び、その意識の変遷が読み取れて大変良かった。これはいい眺めだとたいへん感銘を受けたのだった。

兎に秋草図襖 びょーんっっっ兎らしく跳ねていた。顔つきはあんまり可愛くはない。

糸桜図 たいへん綺麗だった。繊細優美な桜。こういうのを見ると、御所の近衛桜を見に行きたくなる。ううむ、綺麗。

十二か月花鳥図屏風 これは香雪所蔵分の、11月が可愛らしいミミズクの居るもの。
小さい△耳に丸い目にアイシャドーの入った可愛いフクロウ。あれです。

定家の十二か月の取り合わせ物は大人気で、先達の乾山は工房でさんざんそのパターンを作り続けたが、それでもまだ足らぬのか、抱一も描きまくった。
きっとこれは江戸城内でも「酒井侯、貴殿の弟御に一つご依頼申す」だったのかもしれない。
工房も持ったようで、とにかく描き倒している。いずれもレベルが一定なのがいい。

桜に小禽・柿に小禽 前者は瑠璃鳥が小さいのが二羽、後者は小さいメジロが一羽。みんな幸せそうである。

鹿・楓図団扇 これもくるくるくるくると動かすと面白そうである。

四季草花蒔絵旅箪笥 四面に梅・藪柑子・水葵・烏瓜を描き、上から漆がたらーりとろーり。これは担いでいったのだろうか。

竹製蒔絵椿柳文茶入れ 羊遊斎の作品の中でも特に好きなもの。抱一もいい仕事をしている。

ああ、いいものをたくさん見せてもらい、とても嬉しい。11/16まで。
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