美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

白鹿記念酒造博物館「秋の章」/黒川古文化研究所「円山応挙の門人たち」

これまで交通の便で行きにくかった美術館二つの感想を挙げる。

白鹿記念酒造博物館に久しぶりに行った。
なにしろいつ以来なのかがわからないが、三回目なのは確か。
いいコレクションがたんまりあるのはわかっているが、なかなか足が向かないのは阪神沿線だからかもしれない。
今回、今津から歩いた。帰りはそこから夙川まで歩いた。歩けん距離ではないことがわかったのでちょっとばかり次から行きやすくなるかもしれない。

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「秋の章」という。ここは春は笹部さんの集めた桜一色になる。
笹部さんはあの「櫻守」「櫻男」である。
今は秋なので笹部さんのコレクションは一旦待機。

いかにも灘五郷の酒造家が集めたらしい、おおらかでしかも優美な作品が多かった。

十二か月色紙 上田耕甫ほか そのうちの秋らしい一枚が出ている。赤とオレンジの色めも鮮やかな楓に小禽と、秋の野を飛ぶ黄蝶と。
大坂の絵師らしい良さがいい。

京都勝景図 渡辺祥益 1886 小出楢重は島之内の薬屋の子で、朝な夕なに掛け軸の絵を見ていた。家にかかる祥益の滝の絵がええと気に入り、親に連れられ会いに行ったそうな。
堅苦しさを感じる風景図ではある。北野天満宮、平野神社、四条の夕涼み、長刀鉾、広沢池、御室の山門、栂ノ尾、嵐山、東福寺の通天橋、竜安寺の池…

現時五十四情 国周 源氏五十四帖のパロディタイトルで、中身は「田舎源氏」。光氏と女たちのいる図。紅葉賀などを選んでいる。ほかに鈴虫、宿り木(キノコ狩でそれを示唆)、師宣の三世高尾の絵が掛けられた室内、という設えもいい。

月百姿 芳年 夕顔、大物、稲葉山の三枚が出ていた。
しかしそんなに秋の風情とはいえない。

絵替花蒔絵菓子椀 この菓子椀というのはお菓子を入れる椀やのうて、魚・蒲鉾・椎茸の具入りお汁を入れるお椀のこと。今ではなかなか通じにくい。

雁蒔絵煮物椀 黄土色の綺麗な塗りで、銀の鳥。

隠元豆蒔絵菓子椀 こちらも綺麗な塗り。外はエンジ色にインゲンがグラデーションの美を見せながら描かれる。
内は黒に楓。

三都名所雪月花之図 望月玉渓 1918 雪は嵐峡に筏、月は住吉の灯籠、桜は三囲。 

蝋色月に木賊蒔絵三足菓子盆 底に丸い月が描かれているが、その周囲の縁が月の暈にも見える。

松茸や里芋の大きなのを描いた絵もある。鳳山と楳嶺。どちらも食材の絵がうまい。

鹿紅葉蒔絵手焙り 胴回りに鹿の姿。杉材に描かれている。そして上のホヤ(火屋)に紅葉文様の透かし。
かわいいなあ。

秋草蒔絵二段飾棚 螺鈿と梨地のきらめく棚。朝顔の青の綺麗さにときめいた。

月次図 武部白鳳 武部本一郎の父。月とバッタ、風情があるなあ。

浪華十二ヶ月図 菅楯彦 八月 十五夜見物 物干し台からの見学。ああそういえば恒富の絵にもそんなのがある。そうそう、「雪之丞変化」にも。

十二ヶ月図 庭山耕園 九月 菊売り 十月 松茸狩 どちらも昔の大阪らしさのある絵。楽しそうである。

仲国訪小督図 猪飼嘯谷 左右それぞれに二人。なかなか色遣いも明るい。

白鹿之図 森寛斎 襖絵四枚に偉そうな白鹿、雌、カノコも立派に出ているが、貫録足りない若い鹿がいる。あんな寿老人のお供するような白鹿にはなかなか勝てませんわな。

雲錦透鉢 琴浦桐山 ああ、これはまた色の濃い。乾山らとは傾向が違う。

雲錦吸物碗 高橋道八 こちらは可愛い。ふわふわな感じがする。

四季争妍図 渡辺省亭 1902 藤に牡丹、地には蕨にスミレ蔦に白小菊などなど。綺麗な花々が妍を競う。

南極老人・海辺春景・苫屋秋景 土佐光起 白鹿がすりすり。苫屋の上には名月。春の海、ひねもす のたりのたり。

ああ、よいものをたくさん見せてもらった。
また今度からは通いたいものだ。11/17の月曜まで!


黒川古文化研究所も以前は本当に行きにくいところだった。
ところがありがたいことに土日だけだが30分に一本の送迎車が出て、本当に通えるようになった。真に助かります。
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円山応挙の門人たち。
特別高名なのは芦雪、四条派の呉春、それから素絢に源琦が浮かぶが、あとはなかなか世に出ない。作品や知識などはむしろアメリカのコレクターの方がよく持っているのではないか。

応挙 芭蕉童子図屏風 一曲 芭蕉と童子の取り合わせはフルカラーのものがあるが、こちらは淡彩で、あっさり可愛く描いている。目隠しする子に葉影から顔を出す子など。優しいキモチになる。
 
応挙 雨中山水図屏風 一曲 どちらも元は円満院のもの。こちらももあぁとしたところを描いている。

嶋田元直 関羽図 きちんと座った関羽。傍らには大青竜刀。関係ないがついこないだ、わたしが鼻風邪を治すのに飲んでいた薬は小青竜湯だった。

山本守礼 美人機織図 円窓の外には柳、中には唐美人の機織り姿。雲鬢花顔。傍らには小さい瓶にサンゴ、煎茶とおやつ。

源琦 鶴図 首の辺りは付け立。毛並みがリアル。

芦雪 美人図 和風美人。指先を袖内に隠す。しっとり美人。
芦雪の死は諸説あるがここでは大坂で自死の縊死をしたとされている。

芦雪 松に双鶴図扇面 松がいかにもの松。

中村則苗 虎図 これが可愛い。丸顔で耳が▲で目が大きくとがっているが、どうしてもにゃあとしている。

白井直賢 立美人図 緑地の着物の裾がグラデーションで白くなり、そこに大量のナデシコと小さな蝶が飛び交う。ああ、綺麗なあ。

イメージ (2)

素絢 靭猿 狂言を友禅に描く。黒地に無邪気な猿回しの猿と大名と猿回しと。
これも無残な話なのだが丸く収まってよかった。

素絢 美人図 竹の柵をつけた窓から外を見る女。白い蝶が舞う。
この絵は随分前に大阪市立美術館でここのコレクション展が開催された時に知った絵。

素絢 唐美人図 赤い欄干に寄りながらカーテンを開ける女。前髪には大きな鳳の髪留めが挿されている。

恩田石峰 西王母図 これはまた綺麗な。こちらの西王母も素絢の唐美人と同じ形の鳳型髪留めを挿している。もしかすると手本が同じなのかもしれない。

渡辺南岳 美人図 和美人が炬燵に寄りかかり、ちょっと困っている様子。
花魁かもしれない。イメージ (26)


渡辺南岳 鯉図屏風 ああ、大きな鯉。どーんんー…どーん…と泳いでいる。

森徹山 国道真景図 随分長い巻物で、田に川に民家が街道沿いに広がる様子が延々と…

吉村孝敬 唐美人図 朱き机に倚る。立てた鏡を見つめる。女の時間。

橘公順 鍾馗図 チラシのおじさんは鍾馗でした。全身像。シンプルに立つ姿。

亀岡規礼 麻花図 ああ、大麻みたい…

三谷五雲 松に猿図 ぼえーとした猿が松に座る図。なんだろう、ぼえー。

土岐済美 唐美人図 襟が詰まる衣裳を着ている。琵琶を持つ少女と共に。

源章 西王母図 石に豹皮の毛皮を敷いて座る。靴には赤い蝶々がついている。
桃を持った侍女も西王母も共にその足元をじーっと見つめている。

植松応礼 藍采和図 八仙の一人。いつも破れた藍色の衣に片方とか靴を履いていないとか。
ここには若くて可愛い藍采和くんがいるばかり。

呉春 雪松図屏風 小さい屏風だが、そこに雪に埋もれた松が静かに描かれている。それがかっこいい。

恩田石峰 西王母図 伏せ目がちの二重瞼にアップした髪。少しばかり剛力彩愛に似ている。

大原重成 雪中常盤図 胸をはだけすぎている。寒そうな子供ら。まだまだ苦難は続く。

国井応陽 虎図 こちらもまた可愛い虎ちゃん。しっぽが前にくるりと巻いているのが可愛くてならない。

こちらもいい展覧会だった。11/16まで。見れて本当に良かった。 
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