美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

国宝 鳥獣戯画と高山寺

記録的な大ヒットとなった京博「鳥獣戯画と高山寺」の前期・後期に行った。
展覧会は11/24に終了したが、本当にこの待ち時間の長さにはまいった…
前期は閉館間際、後期は開館直後に行ったが、やっぱり長かったね。
とはいえ表示されてる時間よりかなり早かったのは大ラッキーでした。

しかし前期はとりあえず鳥獣戯画を観ようとがんばったので、ほかのが見れなくて残念。
今回はじっくり見て回ったので、その感想をまとめる。
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ところで例によって個人的な話をすると、鳥獣戯画が伝わった栂ノ尾・高山寺を最初に知ったのは「♪京都~栂ノ尾 高山寺~♪」という歌からですな、わたしの場合。
デューク・エイセスの人らが「懐かしの昭和歌謡」などで綺麗に合唱してたのを聞いて覚えるわけです。
あれは一番が「京都 大原 三千院」で二番がこの「栂ノ尾 高山寺」なのですが、実はあんまり続きを知らず、いや、正直なところ、出だしがサビのここしか知らんという体たらく。
ちょっと調べたら歌詞があった。
三番は大覚寺か。恋に破れた女が一人、それぞれの場所でええべべ着て散策しているわけです。全部洛外なので、戻ったら(どこへや?)また都会に埋もれて働けばいいさ。

それで「鳥獣戯画」自体は小1のこくご教科書に掲載されてて、授業では「自分の考えた言葉をつけてみましょう」というタイプだな。
わたしはウサギが猿の背中流してるところに台詞つけたけど、先生に当ててもらえず悔しい思いをしたもんです。←いまだに忘れていない。

高名な「甲の巻」以外は殆どの人は絵巻の構成も知らないのではないかな。
実はわたし、今回ほんまに知らないんですよ、甲乙丙丁の丙も丁も。
だから今回見るのが本気で楽しみだったのでした。
(2007年にサントリー美術館で展覧会があったそうなが、記憶がないので行ってないみたい)
散逸した断簡部分などはちょこちょこ見たり、たまにどこぞで「をを」と見たりしたけどね。
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Ⅰ高山寺の開創―華厳興隆の道場

「日出先照高山之寺」額一面 建永元年 丙寅11/8。神額というのかな、立派な縦書きの表札(!)がある。左右に昇り竜降り竜がついている。雄渾な字だと思ったら、書いたのはサインの通り「別当民部卿 藤原長房」だけど、元字は後鳥羽天皇。納得。

明恵上人像(樹上坐禅像)十三世紀前期 
sun362.jpg
この画像、実は2011年の世田谷美術館「白洲正子 神と佛、自然への祈り」展の前期のから。その時の感想はこちら
今思い出したけど、見てる最中に震度3の地震があって、展示品が揺れてたな…

明恵上人書状  これはごく親しい手紙で、叔父さんに宛てていて、「お茶の実、まだ熟してないから出来てる分だけ送りますね」という内容。
高山寺の明恵さんには例の栄西禅師から「お茶プリーズ」と茶の種が贈られておるのです。
栂ノ尾茶というて人気らしい。

その種を入れてあったのがこちら。
柿蔕茶入 南宋時代の同時代のもの、リアルな感じがするね。直接宋の国のが来た、みたいな。

次の領域地図はたいへん価値のあるものということだが、こういうのを見ると八瀬と高野、八瀬と比叡山の領域きっちり分けた地図を思い出す。
どちらもご近所の高尾・神護寺の所蔵。寛喜二年 (1230)時点の領域地図。
神護寺絵図 /高山寺絵図 神護寺と高山寺の境界がくっきり・きっちり分かれている。そういう風に明示されているのがいい。寺の配置もわかりやすい。
高山寺の方が松山に囲まれている。神護寺はまた別な木の山。 

学問印信・課業印信掛板 明恵筆 二枚 建仁元年  板にぽつぽつと穴が開いている。ここにまち針ではないが、出席の棒をさすのだ。これは今でも使われているシステム。文楽劇場もそうだったような。

蘇婆石・鷹島石 附宝珠形合子箱二合、蒔絵箱一合二個  湯浅でひろた石。宝珠形の箱もいい。明恵上人はここが北インドへ続くという気持ちで拾ったらしい。
そういうのをきくと、「やしの実」の歌が思い浮かぶ。あれは知多半島だったか、そこへたどり着く南洋の植物。

仏眼仏母像 一幅 鎌倉時代  この絵の前で悩める若き明恵上人は耳を切り落としたそうな。あやうく無耳法師になるところでしたな。
母と見立てた像。その絵への深い執着と愛情。

夢記 明恵筆 一冊 承久二年  明恵が夢に見た仏を描いた、仏画のページがでている。さらさらとなかなか。

菩薩像(伝弥勒菩薩像)一幅 鎌倉時代  雲に乗る。その仏の指に幡が引っかかっている。「引路菩薩」と呼ばれる、冥途へ引導する仏。
そういう仏がいてはるのですねえ。

阿字螺鈿蒔絵月輪形厨子(鏡弥勒像)一基 貞応三年 楕円の鏡とその半月形の扉、そこに描かれた明王たち。月形には降三世明王、二等辺三角形には不動が。その裏には螺鈿で△○□と梵字。

文殊菩薩像 一幅 鎌倉時代  耳を切った後に明恵の前に出現したという。緑の毛の獅子。文殊は手に剣を持つ。
幻覚とは言い切れない。こんなことを行う一途な僧の前にはやっぱり本当に仏が現れたに違いない。

達磨宗六祖師像 一幅 鎌倉時代 いつものように頭巾してました。

白光神立像 一躯 鎌倉時代 「天竺雪山」ヒマラヤと読む。そこの神様の像。だから雲母で白く塗られキラキラしている。

華厳宗祖師絵伝 元暁絵巻 何者かに大事な書を盗まれてあたふた。
国王の姫君の病気平癒のためにこしらえた書が効を奏する。
元暁の顔、嶺岸信明「天牌」のキャラ・井河拓真によく似ている。

華厳宗祖師絵伝 義湘絵巻 こちらは何度も出ているので親しみがある。
義湘を愛し、彼との婚姻を望んだが果たせぬことを知り、来世に望みをかけた善妙女。新羅の義湘が帰国するのを見送る唐の善妙女。彼女は愛する男の乗る船が嵐で転覆しそうになるのを知るや、海に飛び込み竜になり、その船を背中に乗せて嵐を泳ぎきる。
男を追って蛇になる女もいれば、男を守るために竜になる女もいる。

善妙神立像 一躯 鎌倉時代  唐美人スタイルの像。綺麗な像。明恵が大事にしたのもわかる。その心根を彼は愛したのだ。

宋版のお経などがあり、やはり書体がいい。
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構成としてはこの後の中央室で「鳥獣戯画」があるのだが、そちらも堪能できてよかった。
改めて甲の巻なぞじっくり見たら笑えるところが多い。
相撲取るうさぎとカエルでも、カエルに耳噛まれてるし、ウサギw
烏帽子かぶる猫も長いしっぽもって歩くのが可愛い。
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乙の巻はどうぶつ図鑑で、虎の家族とか山羊の群とかゾウさんとか色々楽しかった。
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人物戯画は小人の道化とか、首っ引きとか、賭事でスッテンテンとか色々。
別な巻のエグイ面付きのカエルとか、こちらはやはりあんまり面白くはなかったな。
賭事の絵は、京都文化博物館がかつて展示していた映像資料「都市の光と影」にも使われていたなあ。

来年には別なバージョンの鳥獣戯画展が東博で開催されるし、それを楽しみにしよう。

さて断簡があるくらいだから散逸して失われてしまったものもある。
それを少しでもみれるのが、探幽縮図なのだった。

鳥獣人物戯画模本探幽縮図のうち一巻 ウサギと猿の囲碁。
…あれ?この構図はほかでも見てるぞ。そうだ、香雪美術館で見た目抜きだ。
全く同じ作りのだから、これをモデルに作ったのかもしれない。

将軍塚絵巻 一巻 鎌倉時代  素朴な墨絵で詞書なし。大きな武人像を拵えて埋めましょうというところ。

神鹿 一対 鎌倉時代  可愛いなあ。賢そうな鹿ップル。

獅子・狛犬 三対 鎌倉時代  みんな個性的。

馬 一躯 鎌倉時代  たいへん静かそうな像。

子犬 一躯 鎌倉時代sun359-1.jpg
これも白洲の展覧会でみて、絵ハガキ購入。
可愛くて可愛くてならない。

ああ、がんばって観に行ってよかった。来年の東博も行くぞ~~
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