美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

日本国宝展

東博の「日本国宝」展の凄さというのは、どっちを向いても国宝、どこまで行っても国宝、国宝以外は何もない、という所だと思う。
日本の国宝の1/3は関西にあるという。
京都・奈良・滋賀の寺社関係、大阪、兵庫のミュージアムやコレクターの持つコレクション。それらで日本の国宝の1/3。
関西人として大概それを誇りに思っていたが、今回も関西から実にたくさんの国宝が出ていて、すごくうれしかった。
(尤もラインナップがたまたまそうなっただけなのかもしれないが。)
本当に今回の展覧会で改めて<国宝>の底力にびっくりしたのです。
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先般、京博の「京へのいざない」展でなにげに国宝バンバン並ぶのを見て、ちょっと神経がマヒしたり、三井記念の「東山御物の美」展で中国・高麗から来て国宝になったものを目いっぱい見てやっぱり呆然となったけど、本当に「国宝」の凄味・オーラというものには太刀打ちできませんなー。
平成館の二つの展示室が完全なる国宝ジャックで、見る側はもうクラクラするばかりでしたわ。

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第1章 仏を信じる

仏足石 1基 奈良時代・天平勝宝5年(753) 奈良・薬師寺 . 仏様の足の裏から始まりましたか。魚の目とかじゃなく尊い渦巻きとかあるのです。

玉虫厨子 1基 飛鳥時代・7世紀 奈良・法隆寺 . これは実物観るの本当に久しぶり。いつも高島屋史料館の模造品を見ています。ジャータカが四面に描かれている。それともちろん玉虫の羽が無限についていてキラキラ。模造品も暗闇の中で発光してたから、本物もまた闇の中でもキラキラしてますでしょうなあ。
観てる皆さんのおメメもキラキラ。

竜首水瓶 1口 飛鳥時代・7世紀 東京国立博物館 . 以前からここで見ているものでも国宝仲間と一緒にいる姿を見ると、龍の首から胴も現れ、羽まで出てきそうな勢いがある。そうして飛んでゆくかもしれない。

絵因果経 巻第四下 1巻 奈良時代・8世紀 東京芸術大学 . 奈良時代のはやはり絵が妙に可愛らしい。色も綺麗に残っているので楽しいが、一度全国に散らばる絵因果経をあるだけ集めた展覧会が開催されたら、さぞ楽しかろう。

大般若経 巻二百五(和銅五年十一月十五日長屋王願経) 1帖(142帖のうち) 奈良時代・8世紀 滋賀・太平寺 . この辺りを見ると妙に親しい気持ちが湧いてくる。長屋王の邸宅は後に奈良そごうになり、今はイトーヨーカドーになった。
この人の怨念で藤原4兄弟が死んだという噂が、当時の都でまことしやかに囁かれたそうな。

東大寺金堂鎭壇具のうち .
(1)金銀荘大刀(陽剣) .
(2)金銀荘大刀(陰剣)
光明皇后が愛する聖武天皇を想い、そしてこの二振りの剣を隠したという話を思うと、それだけでも古代への愛情が胸に浮かんでくる。
みつかった当時のニュースを思い出す。
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片輪車蒔絵螺鈿手箱 1合 平安時代・12世紀 東京国立博物館 . ガラスケースの中で螺鈿が煌めいていた。本館一階でおなじみの手箱なのだが、改めてその尊さを知る。そう、やはり国宝なのですよ。

倶利迦羅龍蒔絵経箱 1合 平安時代・12世紀 奈良・當麻寺奥院    よくよく見たら竜は剣の頭を噛んでいる。
左右のセイタカ・コンガラは上下をむいて拝んでいる。
蒔絵も丁寧で二人の衣の模様が別々なのもいい。
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院政期のお経の美を楽しむ。
法華経がよく流行ってたのがわかる。
竹生島経、浅草寺経、久能寺経、それぞれとても美麗。

扇面法華経冊子 1帖 平安時代・12世紀 東京国立博物館 いつのどの展覧会だったか、この冊子が「冊子」だということを改めて知ったときがあった。ページをめくれば次の絵があるのだ。
四天王寺蔵のカップルの絵がいちばん有名だが、ここにある雀捕りとか庭先の人々とか、どれも楽しそうな様子がいい。

地獄草紙 1巻 平安時代・12世紀 奈良国立博物館 近年「鬼灯の冷徹」というマンガのおかげで妙に地獄に親しみを感じるようになった(?)。
お客さんも大勢集まって地獄を見ている。
まぁ天国の描写より地獄のほうが面白いわな。
働く鬼達の勤勉な勤めぶりがいい。
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辟邪絵のうち 3幅(5幅のうち) 平安時代・12世紀 奈良国立博物館  いやもう、ほんと、好きだわー。
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餓鬼草紙 1巻 平安時代・12世紀 東京国立博物館 そういえば町ナカのスカトロ餓鬼たち、この絵がやはりいちばん有名だが、出産のところにも餓鬼がいるのだなあ。
今回、風葬地帯での餓鬼や死者、骸骨らの様子を描いたものを初めて見た。昔は本当に直葬だったのだ。

華厳五十五所絵巻 1巻 平安時代・12世紀 奈良・東大寺
当麻曼荼羅縁起絵巻 2巻 鎌倉時代・13世紀 神奈川・光明寺
善財童子、中将姫らの物語もある。どちらも面白い物語。

十二天像のうち 4幅(12幅のうち) 平安時代・大治2年(1127) 京都国立博物館  十二天像は前に大きい展覧会でゆっくり眺めた。
見覚えのある神仏たちに黙礼しながら見歩くのも楽しい。 .

金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 2幀(10幀のうち) 平安時代・12世紀 岩手・大長寿院 世田谷美術館でみた時も驚いたが、今回もやはり目をみはる。建物はすべてありがたい文字で作られている。
マニアックやなあ。

雲中供養菩薩像のうち北13号・南14号 2軀 平安時代・天喜元年(1053) 京都・平等院 .  こないだのサントリー美術館では新たに掲げられる菩薩にそぉっと触らせてもらい「結縁」した。嬉しい気持ちが甦ってくる。

第2章 神を信じる .

土偶も数体。それに対し銅鐸もある。縄文と弥生の対立の構図。
馬具などは藤ノ木古墳出土品のもの。
あの発見の時のニュースを今も覚えている。びっくりしたものなあ。

沖ノ島の出土品をみると、出光美術館での展覧会を思い出す。本当にいい展覧会だった。

小桜黄返威鎧 1領 平安時代・12世紀 広島・嚴島神社 台風被害で急遽「厳島神社」展が開催されたのは何年前だったか。奈良国立博物館でみた鎧がここにも来ていた。
その後本当に厳島神社に行けるようになって、喜んで宝物殿にいった。そこでもこの鎧をみた。立派な鎧。

第2章 文学、記録にみる信仰


日本書紀、類聚国史 巻第二十五、金光明経料紙下絵(目無経)、後撰和歌集 藤原定家、元暦校本万葉集、栄花物語、日本霊異記、今昔物語集、そしてこの度世界遺産に登録された東寺の百合文書。
きちんと読むことはできないけれど、字面を追うだけでも何かしら誇らしい。
日本に生まれてよかった。

源氏物語絵巻 柏木(二) 正直、当時の再現のよりやはりこの状態のがいい。

信貴山縁起絵巻 尼公巻 1巻(3巻のうち) 平安時代・12世紀 奈良・朝護孫子寺 尼公が弟に会いに来ようと旅をする。長い絵巻なのでちょっとしたロードムービーのようにも感じられる。
懐かしい再会は尼公と上人だけでなく、わたしもこの絵巻とは懐かしい再会になるのだった。

第4章 多様化する信仰と美 .
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後鳥羽天皇像 伝藤原信実筆 1幅 鎌倉時代・13世紀 大阪・水無瀬神宮 肖像画の後鳥羽天皇には実感はない。四天王寺でみたその両手の朱の印の大きさにびっくりした。あの手の主がこの人なのか、という感慨がある。

六道絵のうち 4幅(15幅のうち) 鎌倉時代・13世紀 滋賀・聖衆来迎寺 会えると思ってたが、上述の「地獄」と同じ理由で云々…ふふふ。

一遍上人伝絵巻 巻第七 法眼円伊筆 1巻 鎌倉時代・正安元年(1299) 東京国立博物館
法然上人伝絵巻 3巻(48巻のうち) 鎌倉時代・14世紀 京都・知恩院
一遍、法然らの絵巻も近年しみじみ眺めることがかない、とてもよかった。
こうしてここで見ると、あの時の素直が感動が蘇ってくる。

観楓図 狩野秀頼筆 6曲1隻 室町~安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館 国宝室でこんにちはの絵もここにあると、改めて「国宝」なのだと実感する。今の時期に丁度いい。

慶長遣欧使節関係資料のうち (1)1面 17世紀 宮城・仙台市博物館 .
(1)支倉常長像 (2)1個 .
(2)十字架
これも世界記録遺産になったのでしたなあ…

琉球国王尚家関係資料のうち 第二尚氏時代・18~19世紀 沖縄・那覇市歴史博物館
(1)黄色地鳳凰瑞雲霞文様紅型紋紗衣装
(2)白地牡丹尾長鳥流水菖蒲文様紅型木綿衣装 .
(3)白地流水菖蒲蝶燕文様紅型苧麻衣装 .
(6)黒漆雲龍螺鈿東道盆 (7)1冊 .
紅型は先般大阪市立美術館などで立派な展覧会を見て感銘を受けた。
ところでやはりわたしは螺鈿が好きだ。琉球の螺鈿は中国の影響が強く、さらにその地の鮮烈な気候が関連してか、とても派手で綺麗だ。ガラス越しにドキドキした。

飛青磁花生 龍泉窯 1口 中国・元時代・14世紀 大阪市立東洋陶磁美術館 おお、来てたね。

玳玻天目 吉州窯 1口 中国・南宋時代・12~13世紀 京都・相国寺  これも元は萬野さんだったなあ。

大井戸茶碗 銘 喜左衛門 1口 朝鮮時代・16世紀 京都・孤篷庵  この「喜左衛門」を見ると、溝口健二のエピソードを思い出す。日活のプロデューサー児井英生の自伝「日本映画黄金時代」の中で、「西鶴一代女」の頃に溝口健二がこの茶碗を見たがるので、伝のある児井が骨を折り大徳寺でご対面になったという。溝口の喜ぶ様が素直に伝わり、彼のわがままに辟易していた児井もその様子にほっこりしている。
カイラギがたまらない、大井戸。

志野茶碗 銘 卯花墻 美濃 1口 安土桃山時代・16~17世紀 東京・三井記念美術館  三井の誉れのお茶碗。
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第5章 仏のすがた

広目天立像(四天王のうち、金堂所在) 1軀 飛鳥時代・7世紀 奈良・法隆寺  奈良博で大きな法隆寺展が行われたとき、四天王を揃ってみたが、この空間の中に一体だけがあると、寂しそうと言うよりも、どこか異様な感覚があった。周囲のどの仏よりも古い時代の彫像だからだろうか。

善財童子立像・仏陀波利立像(文殊菩薩および眷属のうち)  快慶作 2軀(5軀のうち) 鎌倉時代・建仁3年(1203)~承久2年(1220) 奈良・安倍文殊院 チラシの人気者・善財童子の可愛らしい姿がある。髪のお団子はロールパンのようだった。

元興寺極楽坊五重小塔 1基 奈良時代・8世紀 奈良・元興寺  今回、なにより一番びっくりしたのは元興寺。
これを持ってくるかーーーーーっっっ
本当にびっくりした。.

正倉院宝物特別出品
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紅牙撥鏤撥(北倉28) 1枚 奈良時代・8世紀 正倉院宝物 バチの表面を彩る数種の鳥や麒麟や植物、いずれもとても愛らしい。

鳥毛立女屏風 第1扇 第3扇(北倉44) 2扇 奈良時代・8世紀 正倉院宝物 今年の正倉院展では鳥毛立女屏風の四人をみたが今回はここでも二人が出ていて、六人揃って見ることができたのも嬉しいことだった。

楓蘇芳染螺鈿槽琵琶(南倉101-1) 1面 奈良時代・8世紀 正倉院宝物  琵琶もいいのが来ていたし、ほかにも好きなものがあって、とても幸せな気持ちになった。

緑地彩絵箱(中倉155-31) 1合 奈良時代・8世紀 正倉院宝物 ああ、これも大好き。唐風の綺麗な箱。

本当にどっちを向いても国宝、どこまで行っても国宝、最初から最後まで国宝だった。すっかり満足して、大きく息をついた。
見知っていたものも、ここで改めてその美に撃たれたのだった。
12/7まで。
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