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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

芝川照吉というパトロンと芸術家

大正頃までは、日本にも芸術家の庇護者がいた。その一人が芝川だ。彼は羅紗王と呼ばれたそうだ。実父は五世竹本弥大夫、弟は木谷蓬吟、義妹は画家の千種だ。数年前、千種の回顧展をみたが、大阪らしい、ちょっとあぶない画風に私は惹かれた。

さて芝川は青木繁を支援したようで、現在大原や近美にある享楽と輪廻が出ていた。他に光明皇后があり、孔雀らしき影に今回初めて気付いた。私は学生時代から青木が好きで、後にラファエル前派が好きになったのは青木から来ていると思う。

青木と違い常識的な坂本に、光の素描とでも言いたい作品があり、それが出ていた。きれいな光の線がいっぱいの、幸せな気分の絵だ。
芝川はまた劉生をも愛する。麗子やアクの強い童女たちが並ぶ中、芝川像がある。中高な顔だ。その他に石井兄弟とも縁が深く、木彫のお人形さんにもなっている。河野通勢、木村莊八たち。

工芸家藤井達吉を私は知らなかった。どれを見てもいいのだ、これが。ランプ、屏風、壁掛けなんでもござれで、しかもハイレベルなのだ。
本を買うたのも彼の作品がほしかったからだ。暮らしに則したか否かは別にして、これらがあれば嬉しいだろうなと思えたのだ。
工芸作品は残念ながら三次元的世界のものが多いため、図録になるとたちまち色褪せる。それでもわたしは本が欲しかった。藤井達吉のために。

芝川の邸宅や社屋写真を見る。レンガ造りのものは既に失われているが、その跡地にやはり今となっては『近代建築』の芝川ビルがある。
こちらもとても素敵だ。

ところで芝川の実父は文楽座の大夫で、五世竹本弥大夫だということだが、表記では『大夫』が『太夫』つまりチョボになっていた。
これでは文楽ではなく、歌舞伎の方の義太夫語りのチョボの方のかただということになる。

指摘してもうるさがられるだけだろう。芝居好きな一部の大阪人にしかわからないことなのだから。

それにしても劉生の静物は色合いがとてもよかった。
繻子の布の色がたまらなくいい。これは眼にも記憶にも刻まれる色だ。
青。
素晴らしい青。

他にこの展覧会で印象的な青色は、石井柏亭のハガキの『浅草の観音』だ。背景が蒼く、仏像は黒い。なにかしら、アジャンターの岩窟寺院のようにもみえる。

こうした視点からの展覧会と言うのも、面白いものだ。
閉館直前に出ると、青黒いような空が狭く、そこにあった。
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コレクター芝川照吉と岸田劉生

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