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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

はとづくし 鳩をめぐる美術品

八幡市松花堂美術館で「はとづくし 鳩をめぐる美術品」展を見た。
イメージ (23)
八幡市の市章は鳩である。
石清水八幡宮を擁する八幡市。
鳩は八幡神のお使いである。
神使いは神によりいろいろあるが、八幡神の神使いは鳩、大黒さんはネズミ、天神さんは牛、弁天さんは蛇、諏訪さんは白蛇、お稲荷さんは狐などである。

なんで八幡神が鳩なのかはよくわからないが、この石清水八幡宮だけでなく関東だと鶴岡八幡宮も鳩のマークが使われている。
あちらは豊島屋の鳩サブレなどがあるが、こちらは特に鳩のお菓子はない。

しかし市のマンホールにはこのように鳩が活躍する。


1.神使いの鳩 八幡神のお使い

板絵僧形八幡神像 1614 正法寺  写真パネルだが3羽のハトがいる。

一の鳥居古額 原作・藤原行成 1600 石清水八幡宮  既に行成のいた平安時代から「八幡」の額の八の字は二羽の鳩になっていたわけです。向き合うか外向きかは別として。

本殿蟇股彫刻(レプリカ) 2009 石清水八幡宮  二つの橘の実を中に鳩のカップルがいる。右は緑色で阿。左は青で吽。
この本物は本殿の特別公開の時に見せてもらった。春秋の「京の非公開寺社」見学のときね。それまで石清水八幡宮は本当に行ったことがなかった。わたしは京阪者やなくて阪急だからこちらにあまり縁がないのだ。
しかし石清水八幡宮は男山ケーブルもあり、いい感じのところだと思って、それから大好きになったわ。無論この彫刻や女神像などが特にすばらしいしね。

男山蒔絵笙(霊元天皇奉納雅楽器一式の内) 辻近寛 1715 石清水八幡宮  蒔絵に鳩がある。可愛いわ。男山に石清水八幡宮がありますのさ。

供花神饌のうち松の台 染司よしおか 2007 松花堂美術館  吉岡幸雄さんの工房のお仕事。これは石清水八幡宮でも見てます。可愛かったなあ。あれは撮影可能だったから撮らせてもらったのでした。
これは松に藤の花が挿さり、ツツジも咲いて、そばに鳩もいるという造り。

都林泉名勝図会 巻5「安居神事」の項 秋里籬島 1799 松花堂美術館  練り歩き。これは幕末まで続いていたそうな。

神鳩 中西弘馨 1960 石清水八幡宮  木彫。木目が鳩の筋肉をリアルに見せる。
原本は貞観元年860に宇佐八幡宮で造られたとか。すごいなあ。
これは一刀彫。1100年大祭の折に作られたもの。

木彫鳩 明治時代 鳩居堂  楠のご神木から。

鳩置物 宮崎隆 2009 石清水八幡宮  白鳩。伏見人形と同じ構造。可愛い親子の鳩。こちらは1150年大祭の時の製作。

石清水八幡宮奉納 鳩図絵巻 河村文鳳 江戸後期 石清水八幡宮  二枚あり、一は何かをひらう様子。リアルな鳩。

三宅八幡絵馬 昭和初期 京都文化博物館  子供を守る三宅八幡。二面とも4歳の子どもの無事を祈るもの。どちらも素朴でいい。

2.家紋の鳩 神使いを家に

実に多くの鳩紋がある。びっくりした。
向鳩、舞鳩、「寓生=ほや=寄生木など」に鳩、鴛鴦もいる、鳥居と一緒の鳩など。
鳩の家紋は昭和11年にきちんとまとめられたそうで、本にあるものが紹介されていた。
ここでは11種が紹介されていたが、ネットには13種紹介されているものがあった。
こちら


八幡太郎尊像 亀岡規礼 江戸後期 石清水八幡宮  おお、八幡太郎。かれき向鳩紋。

芝居絵「熊谷陣屋」 芳瀧 江戸後期  上方の絵師。池田文庫にこの絵師の絵はわりにあると思う。さてこれは陣幕に向鳩が描かれている。
熊谷直実は鳩の紋の人で、そのご子孫が鳩居堂さん。
京博の近くに通称「烏寺」というお寺がある。正式名は「熊谷山専定寺」ここは説明によると、熊谷(蓮生坊)が極楽往生すると烏が話すのを通りかかった専定坊が聴いたとか。
熊谷は鳩の家紋、このお寺は烏の紋。ちょっと面白い。
2007年夏に撮った写真。IMGP4719.jpg


熊谷は向鳩を家紋としていたから、子孫の鳩居堂さんは向鳩紋の什器をたくさん持ってはるわけで、それらが並んでいた。
ただし、全てが同じ鳩というわけではなく、代々のご主人の趣味が反映されていて、鳩たちもエレガント系からキュート系、はては剽軽なのもいた。
朱塗りの祝い膳、衣裳盆、暖簾等々。染もいい感じのものばかり。

全然関係ないが、あの鳩山家の紋は雁金文だという。鳩ではないのだ。
音羽御殿は鳩の意匠を使ったステンドグラスなどがキレイだが、そういえばあそこは知恵の神様のお使いのフクロウ像も鎮座していたな。

3.玩具の鳩 神使いを手元に

半山画譜(松柏堂蔵版)第一冊 松川半山 1895  鳩笛の絵があった。

鳩のおもちゃの代表はやはり鳩笛でしょう。これは洋の東西を問わず同じようで、長谷川潔のマニエール・ノアールで表現された作品にもスペインかフランスの鳩笛のようなものがあった。
日本では土製か木製。
石清水八幡宮と三宅八幡の鳩笛がいくつも出ていたがいずれも可愛らしい。
三宅八幡のは伏見で造られたもの。
これらは京都文化博物館に管理されているが、もしかすると日本有数の玩具コレクターの朏(みかづき)コレクションのものかもしれない。

ところで鳩笛というとわたしは必ず楳図かずおのめちゃくちゃ怖い話を思いだす。
「サンタクロースがやってくる」
簡単に記す。
鳩笛づくりのおじいさんが孫の少年を溺愛して暮らしていたが寝たきりになる。
厳しい叔母さんが二人を引き離すと、おじいさんは懸命におもちゃを拵えて大きな袋に詰め、やがて臨終間際に孫に「いじめられたり苦しいときはこの鳩笛を吹け」と言い残して死ぬ。
孫はその後、叔母さんの厳しさはきちんとした人に育ってほしいという躾だと知り、叔母さんのもとで立派な社会人になる。
家庭を持った孫はもうおじいさんの鳩笛のことなど忘れていたが、彼の息子がそれを見つけ出し、吹いてしまう。
坊やのもとへ現れるサンタクロース姿の老人。袋からおもちゃをもらい続ける子供。
不審に思った父から問い詰められても頑なに老人のことを話さない坊や。
やがておもちゃが尽きる日が来た。
全てのことを思いだした父親はわが子を守ろうとするが、そこへサンタクロースの恰好をしたあの祖父がやってくる。
そして坊やを自分の孫だと思い込んでいるので、その子を抱きしめる父の手から坊やの首を捻じ刳り捥ぐ。
坊やの首を袋に詰めて去ってゆく老人。もう二度とその姿を現さなくなる。
首のない坊やの体だけを残して。

本気で怖い…

4.象徴の鳩 平和・夫婦和合

確かに平和の象徴としての白鳩だが、三原順「はみだしっ子」にそのことへの言及があったのを忘れない。
鳩の喧嘩はとてもエグいらしい。
言われれば飯盛広一「レース鳩0777」でも鳩の喧嘩はひどかったなあ。
どちらも1980年以前だった。
わたしはそれを知ってから鳩を見てもあんまり喜べない。
もともと鳥が苦手だと言うこともあるのだが。

祇園祭山鉾 八幡山前掛け 円山応祥・下絵 1957 八幡山保存会  綴錦織。綺麗な織りで鳩たちの元気そうな様子が描かれている。

祇園祭山鉾 八幡山鳩 伝・左甚五郎 江戸時代 だいぶ傷んでますわ。その隣に今出来の復元品があるが、キュートでした。

「光琳画譜 坤」より「雀と鳩」 中村芳中 1802 光琳ぽく描くよ的な作品集だが、芳中だけに丸まっちくて可愛い。ぽてぽて。

双鳩図 栖鳳 1930 鳩居堂 白鳩と普通の鳩とが仲良くしているところ。これはご主人の熊谷さんに贈ったもの。

鳩居堂の所蔵する袱紗や進物台が並ぶが、みんな妙にとぼけた顔だった。楽しい。
リアルな置物もあるが。

イメージ (24)
展示品を双六仕立てで楽しめるようにしてある。

5.身近な鳩 花鳥画や工芸品に
石清水八幡宮のある男山を「鳩が嶺」と言うたそうだ。

松平定信が編纂した冊子を見る。
徽宗の桃鳩の写しが出ていた。鳩の絵は多くの人が描いている。
鳥好きの松篁さんは当然としても、高山辰雄にも名品がある。
わたしはあんまり苦手なのだが、それでもこれだけたくさんの鳩の絵や工芸品を見ると、やっぱり愛情がわいてくる。
いや、実物よりもずっといいなと思いもするのだった。

長山孔寅、吉村孝敬、松村景文らの鳩の絵、南山焼の鳩の香合や絵茶碗などなど。
それから丸瓦に鳩の置物も。
鳩の飾り瓦と言うものも初めて見た。民家の家に長くいたらしい。

最後に鳩時計や清方が描いた平和紀念絵ハガキや紙幣などがあった。
本当に最初から最後までずっと鳩だった。

今となってはやっぱり鳩サブレが食べたくなっている。
2/22まで。
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