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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

みちのくの仏像

東博で「みちのくの仏像」を見た。
わたしは関西の住人なので関西の古い仏像は観ているし、関東の神仏像も案外観ている。
しかし「みちのくの仏像」はよくよく考えれば殆ど知らなかった。
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随分前に松島の瑞巌寺に行ったが、そのときも鬱蒼とした杉並木や寺の佇まいなどに はっ と胸を衝かれるものを感じたが、仏像に一向に記憶がない。
そもそも近年になり仏像を「鑑賞する」ことを始めたので、拝むことはしても「眺めた」記憶がないのである。
その意味で、とても興味を持って会場へ向かった。

平成館ではなく、本館の特別5室での展覧である。
ここでの特別展は不思議に心ざわめくものが多い。
平成館での特別展は最初から「特別展だ」と思いながら向かうのだが、本館での特別展はふと気づけば異界に送り込まれているような心持にされるのである。

「みちのくの仏像」展のためにやってきた仏たちは以下の地域におられる。
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そして驚いたことに皆さん木像だった。
これはわたしにとっては衝撃的だったと言える。
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聖観音菩薩立像 平安時代・11世紀 岩手・天台寺  冠はドングリ型で、両肩からストール、裳裾に至るまで鑿跡が横に厳しく入るのだが、これはもうシマシマだと言っていい。ファッションである。
「鑿めは神を暗示かも」と解説にあるが、埃及の神々のシマシマを思わせてくれる。

如来立像 平安時代・11世紀 岩手・天台寺  茫洋としたお顔で、シンプルな表現。両手は失われている。
ちょっと粘土で拵えたような風情もある。

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並んでいるのは同じお寺のお仲間である。
千手観音菩薩立像 平安時代・10世紀 山形・吉祥院  やや口元が上がっている。顔が大変大きい。

菩薩立像(伝薬師如来) 平安時代・11世紀 山形・吉祥院  首を挿げ替えたのか?唯一、お顔が小さい。

菩薩立像(伝阿弥陀如来) 平安時代・11世紀 山形・吉祥院  やはり大顔。顔の造作が下方に集中。

こちらのお寺は元は天台宗で、ある時から曹洞宗に変わったそうだ。
薬師如来坐像 平安時代・9世紀 宮城・双林寺  額に水晶の白毫、頭には瑪瑙だろうか。ケヤキの仏。

二天立像(持国天・増長天) 平安時代・9世紀 宮城・双林寺  こちらもケヤキ。持国天の鼻の鋭さ。増長天の虫食いが激しいのにも驚く。
踏まれる邪鬼たちは手足を断ち切られたようにも見えた。

薬師如来坐像および両脇侍立像 平安時代・9世紀 福島・勝常寺  なんでも東北初の国宝だったそうだ。三体とも金がよく残っている。薬師如来はどうもヅラをかぶっているかのようにも見えた。素足は裾の中。これは都風らしい。冷え症だとか色々考えたのは寒い日に見たからか。
日光菩薩、とても可愛い。月光菩薩は奈良の天部のようにも見える。

薬師如来坐像 平安時代・貞観4年(862) 岩手・黒石寺  あの大地震の七年前の完成。光背の仏たちもはっきりしている。

日光菩薩立像・月光菩薩立像 平安時代・12世紀 岩手・黒石寺  日光菩薩は細身をくねらせて立つ姿がかっこいい。ジョジョ立ち風にも見えた。綺麗。
月光菩薩はむしろ静かなたたずまいを見せる。
二人とも光輪が光る。

聖観音菩薩立像 平安時代・10世紀 秋田・小沼神社  額の大きな石に目がいった。そしてその頭の中に可愛い顔が。だが、「こぶ」とは思いもしなかった。そぉか、あれは髪とかそんなのではなくこぶなのか。こぶの中に「雪ん子」がいる、というのはもしや間引きされた子への追悼なのかもしれない、とちらりと考えた。
東北の親たちのせつなさを救い、子らをあの世で可愛がる仏さんなのかもしれない。

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伝吉祥天立像 平安時代・9世紀 岩手・成島毘沙門堂  両手が「まぁまぁまぁ」と相手をなだめるようだった。「ね、怒らないの、ね」と言われている気がする。
面白いのは宝冠が二匹のゾウさんだということ。わたしはゾウさんが好きなので嬉しい。なんとなく幼稚園の園長先生のような気がした。
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訶梨帝母坐像 平安時代・12世紀 岩手・毛越寺  やや小ぶりである。
幼子を抱っこしている。髪は優しく垂れてもいる。足元には葉っぱがある。柏のような葉っぱ。神農さんの肩掛けに使われているような柏。
毛越寺、行ったなあ。また行きたい。

女神坐像 鎌倉時代・12~13世紀 青森・恵光院  垂髪をかぶり物で隠す。リアルな感じの女神。黙って じっ とこちらをみつめる。
口元が優しい。唇がとてもいい。綺麗な唇。

イメージ (58) クリックしてください。

十二神将立像(丑神・寅神・卯神・酉神) 鎌倉時代・13世紀 山形・本山慈恩寺  四体それぞれかっこいい。慶派かもしれないそうだが、それでか動きがイキイキしているかのようだ。
丑は赤ら顔。衣の緑青が綺麗。耳朶が立派。独鈷を持つ。
寅がまた最高にいい。この動きを瞬時に捉えたような造形。素晴らしい。表情もいい。辻村寿三郎の人形のような躍動感を感じた。手にはミツマタ。ガラスの眼が活きている。
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クリックしてください。
卯はマッチョで裸にじかに鎧を付けているところが「七人の侍」の三船敏郎のようだった。当然素足のまま。いい筋肉。
酉は両鬢が激しい。歯を見せている。
みんなかっこよかったなあ。

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十一面観音菩薩立像 鎌倉時代・14世紀 宮城・給分浜観音堂  たいへん巨大。3m近くもあるそうだ。手には蓮の入る瓶。十一面の仏たちもしっかりしたお顔ばかり。その顔達から見下ろされているのを感じる。

最後に円空仏が現れた。
そうだ、ここで数年前に飛騨の円空仏の展覧会を見ている。
ちょうど2年前の今頃の話。あれもいい展覧会だった。
その時の感想はこちら

地蔵菩薩立像 円空作 江戸時代・17世紀 青森・西福寺  飾りなし。前組の手には宝珠がある。なんと奥行き15cmだと。後ろを覗くと確かにすごい薄かった。

釈迦如来立像 円空作 江戸時代・17世紀 青森・常楽寺  首が埋もれている。でも優しいお顔で、作家の田辺聖子さんに似ていた。アタマはパイナップルのようである。

十一面観音菩薩立像 円空作 江戸時代・17世紀 秋田・龍泉寺  杉で出来ている。怒りの顔もある。はっきりしていていい。

今も人々の信仰を集めているみちのくの仏像たち。
一日も早い復興を共に願うてます。

4/5まで。
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