FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

前田昌良 小さな動く彫刻の世界

横須賀美術館で前田昌良という作家の仕事をみた。
「小さな動く彫刻の世界」という副題がついている。
イメージ (62)
このチラシを見ると、手製のおもちゃが静かに揺れているらしく、それが不思議に心地よく、いい感じだと思った。

わたしはこの人のことを知らず、小川洋子の本の装幀をされている、というのもこの時に知った。
昔の小説は喜んで何度でも飽きずに読むくせに、現存する小説家には殆ど関心がないので、こんなことがままある。

会場ではゆっくりゆらーりゆらーりと動くおもちゃが並んでいた。
最初は息子さんらのために拵えたそうだ。
こうした手仕事ができる人をわたしは尊敬する。
彫刻家の舟越桂も自分の子供たちに木のおうちや家族を拵え、与えた。
おやつやおもちゃを手製で拵えて子供にあげる。すごく素敵だ。
わたしは子供がいないからそんな楽しみを持たない。
ただ、甥っ子や従妹の子供たちがいるので、幼い彼らに自分の拵えた物語をお話しするばかりだ。
そしてそれは半分以上、自分の喜びになっている。

前田昌良も最初は子供のためにおもちゃをこしらえていたが、今では自分の楽しみのためにおもちゃを(小さな動く彫刻を)拵えるようになったそうだ。
わかる気がする。
子供らがその楽しみを忘れてしまっても拵えた手も目も頭もそれを忘れることはなく、歳月がたつうちに今度は自分の楽しみのために拵えるようになるのだ。

展示作品でひとつボタンを押してもいいのがある。
飛行機である。自分で動く。リモコンではなく遠心力を利用したもので、ゆっくりゆーっくり円周を飛び続け、やがて地について動きを止める。
これが非常に面白かった。
時間があればまた飛行機が飛ぶのを見ていたいと思った。

造られたおもちゃたちは作家の遊び心を形にしたものだった。
不思議な迷路のような町のマケット、自動玉乗りなどなど…
それらを集めた本もある。
ぜんまいで動くのか何が動力なのかわからないものもある。
シンプルな構造なのにとても豊かなのだ。
そしてそのおもちゃたちに囲まれた空間に身を置くと、とても心が休まる。

壁面展示は針金を加工したものが並んでいた。
猫の顔もあればぐるぐる巻きもある。とても楽しそうに見えた。
先端に小さな☆がついたものは夜になると、もしかすればどこかへ飛んでゆくのかもしれない。
それをこうして針金の先の、眼に見えないトリモチが押さえるのかもしれない。

ゾウさんが動く。ゾウさんが揺らぐ。
どこかへ行くわけでもなく、しかし動く。
走る馬もそう。どこかへ駆ける姿を見せたまま動かないこともある。

イメージ (63)

不思議な幸福感に包まれて展示室を出た。
また機会があれば彼の作品に接したいと思っている。
4/19まで。
イメージ (22)
関連記事
スポンサーサイト



最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア