FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

墨美 頴川美術館の水墨画

頴川美術館に水墨画を見に行った。
ここは小さな美術館だが、そこが魅力でもある。
イメージ (64)

昔は水墨画がたいへん苦手だった。
特に山水画などはもぉ侘しい侘しい。
洛中洛外図の賑やかさが好きなものが、あんまり可愛くもない高士がだーれもいなさそうな山の中をトボトボ行く姿を見たら「日暮れて、道遠し」あの鬱屈と絶望と諦念が押し寄せて来ますがな。
だから二十代のわたしは水墨画を弾いた。
しかしそれから歳月がすぎると、水墨画の佳さをちょっと感じるようになってきた。
それはやはりこの頴川美術館と正木美術館のおかげなのは確か。
どうも水墨画の良さを堪能するには、わたしの場合だと本格的に見るようになってから数えて20年の歳月が必要だったようだ。

寒山図 可翁 南北朝 左手を挙げて何かを指さす。顔はにやりと人を食った笑いを浮かべてゐる。
拾得はどこかに行ってしまったが、絵ではもしかすると「見てみぃ」「どらどら」だったのかもしれない。

白衣観音図 赤脚子 室町 補陀落の山中にいる。それで山の上の滝の根源のようなところの岩に倚っている。
ちょっと物思いにふけっている。いつまでもこんなことしてていいのかしら、ということを考えているのかもしれない。

蓮図 式部 室町 全体に薄墨の濃淡で描く。伸びた敗荷の茎に止る小禽。小さくて可愛くハシカソウ。葉の下にやや大きめのまだまだ開いている蓮がある。やや濃いめの墨一色で描かれた蓮は華やかではないが、強さがある。

元は六曲一双屏風だったのが軸になり、そのうちの二点がここに並ぶ。
長谷川等雪、ちょっと狩野派風なところと長谷川派風なのが同居する画家。
豊干図 いかにも長谷川派ぽい濃い眉の下の白目が大きい粒眼の虎ちゃんに、狩野派なツラツキの爺さんが座る図。
寒山拾得図 二人が松の下に立つ。岩の下は流れが速い。そしてこの二人はどう見ても水練の手つきで合掌している。
親指を上にして拳をきゅっとした手つき。
どう考えてもこの二人は泳ぎ方の話し合いと稽古をしていたのだ。

薔薇に山鳥図 長谷川等雪 山鳥の長いピンピンした羽が何本もいい位置に。その鳥が首を延ばして薔薇の木を見る。薔薇の木に薔薇の花咲く。何の不思議もなし。

雁と鴨が並ぶ。
雁に枯れ蓮図 谷文晁 これは着水しようとする雁と、へたっている蓮の葉などの図。薄墨がいい。
鴨図 宗達 玄澄賛 こちらは飛び立つ鴨。鴨大好きな宗達。
来るのと行くのが並ぶのも楽しい。

叭叭鳥 乾山 円形の中にムッとした顔で止まっている。誰が描いても叭叭鳥は不機嫌そうで、誰が台詞つけてもイワトビペンギンはワルモノ風。

月夜山水図 芦雪 この月影の松の木はいつみてもいい。ほかの月夜の松も全てこれから始まっている。
松は没骨法で描かれている。

重山雲樹図 中林竹洞 シゲヤマ・ウンキではない。縦長の画面に山が重なり重なり・・・所々に民家もあるが、なにやら妙な迫力がおしてきて、小さい民家もなにも吹っ飛んでしまう。なお、これは米芾に倣うということをサインにも記した通り、その<米法技法>独特の迫力のせいかもしれない。

古松喜鵲図 山本梅逸 墨絵に明るい淡彩の木花に鳥というパターンの多い梅逸。
二羽のカササギが嬉しそうに呼びかけあう。そばには糸のようなものが垂れる松の古木と木の根元には白い小さい方のクチナシと橙朱色の野萱草。いいなあ、墨絵でもカラフルな感じがする梅逸。

猪図 応挙 皆川淇園賛 ささっと描いた線が活きている。ブヒッといいそうな猪が可愛い。

梅に月図 芦雪 これまたスピード感のある絵。枝は付け立かな。さっさっさっと描いたような絵。

花火線香図 岡本豊彦 薄暗長い絵は軸のためだとしても、なんとなくうらぶれたような感覚がある。
香炉に線香のような・線香花火のような、のを立てて火をつけたら金の光がぱちぱち。
「ああ、昔の線香花火って立てても楽しんだのか」と思ったが、もしかするとあれは<花火>を線香にした絵だったのか。
やたら薄暗いのはお盆仕様?
線香を 香炉に活けし 夏の宵 遊行
なんてね。

仁阿弥道八の寿老人の置物や長次郎の赤樂に奥田頴川の赤絵片口などやきものもよかった。

3/29まで
関連記事
スポンサーサイト



最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア