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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

東京富士美術館で見た浮世絵

東京富士美術館が所蔵の浮世絵を前後期にわけて大々的に展示した。
わたしは前期は行けなかったが、後期は大いに楽しめた。
おまけにありがたいことに撮影可能なので、好きなものだけを集中的にパチパチした。

五代目松本幸四郎の赤堀水右衛門、二代目岩井估三郎の芸者おまつ  歌川豊国 文政6年(1823) 大判錦絵二枚続  9月 中村座「御注文高麗屋縞」
KIMG0888.jpg
「亀山鉾」の世界の書き換えかと思う。
やっぱり芝居はこういう実悪がどんどんヤラカシてくれるのが面白くて仕方ない。

鼻高幸四郎はいい役者でその風貌から実悪を演じたが、人柄は練れていて温厚だったとか。
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話はとぶが、先般刊行された一ノ関圭「鼻紙写楽」にもこの幸四郎は出演していて、それがなんとも嬉しかった。

以後、全て拡大できますのでクリックしてください。

二代目岩井估三郎の芸者おまつ


中村歌六の額の小さん、七代目市川団十郎の高崎甚内  歌川国貞(三代豊国) 文政12年(1829) 大判錦絵二枚続 1月河原崎座「江南魁曽我」


 
小さんは手ぬぐいをかぶり、蓆を持つ風俗から夜鷹と思われるが、この話そのものを知らないのでどんな状況なのだろう。芝居絵の楽しみは<知る場面>と<知らない場面>があることで色んなワクワクが生まれるところかと思う。

二代目中村芝翫の奴梶平後に汐沢丹三、五代目瀬川菊之丞の梶平女房月小夜、三桝源之助の雷鶴之助  歌川国貞(三代豊国) 文政12年(1829) 大判錦絵三枚続 1月中村座「紅葉鹿封文曽我」

中の絵の女の着物の裾が素敵な構図になっている。

9 二代目岩井估三郎のかさね、三代目坂東三津五郎の伊達の与右衛門、片岡市蔵の羽生の金五郎 歌川国貞(三代豊
国) 天保1年(1830) 大判錦絵三枚続 3月市村座「金盛陸奥山」

累の書き換えか。殺し合いをする二人の男を見守る女。どろどろ系は楽しいなあ。

本朝武者鏡 白縫姫 歌川国芳 安政2年(1855) 大判錦絵
実際にはこんな場面はないが気持ちはわかる
丑三つ参りの最中の事件の様子、ということで。
白縫姫は夫の復讐のために凄い拷問をしてのけるのです。
数年前の国立での上演でみたとき玉三郎さんが優雅なる冷酷美を発揮されてましたな。

ここからは上方絵。
これだけ上方の芝居絵をたくさんお持ちやとはびっくりした。

四代目嵐小六のいてふのまへ、坂東重太郎の桂之助と二代目沢村長四郎の茶坊ちん才  戯画堂芦ゆき 文政6年(1823) 大判錦絵二枚続 1月中「けいせい品評林」

もっちゃりしてみえるだろうが、そこがまたいいわけです。

三代目中村歌右衛門の自来也 柳斎重春 天保3年(1832) 大判錦絵 8月角「棚自来也談」
ずんずんずん。
後に続くのはばばちい手下たち。

2 二代目嵐橘三郎の女房かさね、二代目沢村国太郎のお竹 戯画堂芦ゆき 文政11年(1828) 大判錦絵二枚続 8月角「粧水絹川堤」

累ものは人気があるね。わたしも大好き。
二人の女の不穏な状況に、さらに天候の悪さが拍車をかけて、惨劇必至。
これとはまた違うものの、松浦だるま「累」もすごく好きだな。

二代目沢村国太郎の遠城治左衛門女房おきわ、三代目中村歌右衛門の児雷丸 丸丈斎国広、寿好堂よし国 文政6年(1823) 大判錦絵二枚続 9月角「敵討崇禅寺馬場」

今でも阪急京都線にその名を残す崇禅寺。
この仇討は成就せず、返り討ちに遭うのだよ。
それも村人たちが敵を支援して、村上兄弟の眼に塩粒を掛けたとかなんとか。

わたしはこの三代目歌右衛門がとても好きで、彼の芝居絵を見るのがほんと、楽しい。
この人は江戸にでも出て、とうとう役者としては最高の「兼ネル役者」の称号を得たくらいです。
ライバルは永木の三津五郎こと三代目三津五郎。
いい時代だよな、もしこの頃に生きてたら絶対見に行ってたよ。

今の眼からはかっこいいな。

浅尾額十郎のしつかノ前、二代目沢村国太郎の狐忠信  寿好堂よし国 文政8年(1825) 大判錦絵二枚続 8月中「義経千本桜」
「さてはそなたは」
忠信が狐だということが露見した時。今でも人気の演目。

三代目中村松江のかづきのお杣、二代目中村芝翫の仁木三郎国定  西光亭芝国、寿好堂よし国 文政9年(1826) 大判錦絵二枚続 7月中「木下蔭狭間合戦」
女の手にガンドウ
照らし出された男。

三代目中村歌右衛門の地蔵ノ五平次、二代目沢村国太郎の女房小女郎  柳斎重春、丸丈斎国広 文政12年(1829) 大判錦絵二枚続 1月角「花雪歌清水」

比較的この芝居を描いた絵が多く出ていた。

三代目中村歌右衛門の梅の由兵衛、五代目市川団蔵のでっち長吉  柳斎重春 文政10年(1827) 大判錦絵二枚続 3月中「隅田春妓女容性」


二人の駆け引きがかっこいいですがな。
 

五代目市川団蔵の牛若丸、三代目中村歌右衛門の武蔵坊弁慶  柳斎重春 文政11年(1828) 大判錦絵二枚続 3月中「鬼一法眼三略巻」

大きな月と薙刀の刃がギラリ。

5 三代目中村歌右衛門の宇治常悦、二代目嵐璃寛の金井谷五郎  柳斎重春、丸丈斎国広 文政12年(1829) 大判錦絵二枚続 5月京四条北側「碁太平記白石噺」
三日月の夜、林のお社の前で殺しあう二人。シチュ萌ですなー。かっこいい。


三代目中村歌衛門の毛谷村六助  柳斎重春 天保1年(1830) 大判錦絵 8月中「彦山権現誓助剣」
六助がお園の甥をだっこ。
正味この絵を遠目に見たとき「乳貰い」を描くとはある意味スゴイな、と感心したのだった。
そうでなく毛谷村の六助の話でしたわ。

二代目嵐璃寛のあこぎの平治、三代目中村歌右衛門の平瓦ノ次郎蔵  柳斎重春 天保1年(1830) 大判錦絵二枚続 8月中「勢州阿漕浦」

そう言えば一度もこの芝居を見たことがない。

二代目嵐富三郎のうすゆき姫、二代目沢村国太郎の女房小女郎と中村鶴十郎のふけんの権兵衛、三代目中村歌衛門の地蔵の五平次、三代目中村松江の娘おみつ、嵐舎丸のみろくの他人と浅尾額十郎の園部伊織
春曙斎北頂 文政12年(1829) 大判錦絵五枚続 1月角「花雪歌清水」

ドラマティックなシーン。
大切なお軸の一巻。

二代目尾上多見蔵のの舟頭小平治 画遊軒春勢 文政期(1818-30) 大判錦絵
決めてる!
この多見蔵の息子だったかな、この次だったかな、すごいウケたエピソードがあるのだが。

二代目市川白猿の団七九郎兵衛  春梅斎北英 文政12年(1829) 大判錦絵 5月中「夏祭浪花鑑」
釈放されて小ざっぱりとしたところ
床屋さんですっきり。それから住吉の場。

三代目中村歌右衛門の地蔵ノ五平次、二代目沢村国太郎の女房小女郎  春梅斎北英 文政12年(1829) 大判錦絵二枚続 1月角「花雪歌清水」


二代目嵐璃寛の唐橋作十郎、浅尾内匠の大道寺学太郎  春梅斎北英 天保2年(1831) 大判錦絵二枚続 9月角「忠孝誉二街」

二人が闘うのは多分合邦の閻魔堂のところですな。
大概大坂が舞台だとここで敵討ちがあったりナンダカンダ。
元々この天王寺の閻魔堂は頭痛にてきめんに効くとか言うて幼子なんかもよくお参りしたとか。
今もあるようですが、わたしは行ってません。
ただ、通天閣から見たことがある。

三代目中村歌右衛門の礒ノ藤弥太、三代目中村松江のしづかのまへ 春梅斎北英 文政11年(1828) 大判錦絵二枚続 10月中「御所桜堀川夜討」

三味線で戦う静御前。

三代目中村歌右衛門の奴蘭平  春梅斎北英 天保1年(1830) 大判錦絵 6月宮島「倭仮名在原景図」

この芝居は先般亡くなった三津五郎丈が本当に良かったなあ。
「蘭平物狂」ね。刃物の光を見るとアタマがおかしくなるという詐病、そして見顕し。

ほかにも広重の五十三次が出ていて、それも改めて楽しんだ。
わたしはもともと子供の頃に最初に見た浮世絵がこの五十三次だったので、北斎よりは広重の方が絵師としては好きだというのがある。
北斎のぶっ飛びすぎのギャグより、広重のコメディが楽しいというところもある。
尤もオバケ絵はやっぱり北斎がよいが。
今回はその場面に現れる人々についての解説が大変よかった。
たとえば「沼津 黄昏図」などは天狗の大面を背負った男ばかりに目が行っていたが、そこにいる二人の女が比丘尼だというのはスルーしていた。
また「二川 猿ケ馬場」では名物の柏餅屋へ向かう三人の女が瞽女だというのはこれまた気づいていなかった。三味線を背負って歩いているので何らかの門付芸人だというのは分かっていたが、瞽女さんだとは思っていなかったのだ。杖を突いているのは旅のためかとばかり。
「草津 名物立場」は今も名代の姥が餅、「大津 走井茶店」もなにやらよさそう。

鑑賞もこうした細かいところをきちんと踏まえていないといけない。
いい勉強にもなった。

あとよかったのはこの2点。
教訓親の目鑑 憎振  喜多川歌麿 享和2年(1802)頃 大判錦絵  女が按摩さんに揉ませている。これは客なのか按摩の妻なのかは不明。
ナマナマしさがある。そして何が教訓かというと「イヤな女になるなよ」というのがそれらしい。
「怪談蚊喰鳥」などを思い出す。

新吉原桜之景色  歌川豊国 文政期(1818-30) 大判錦絵五枚続  大きな台に御馳走がずらり。犬もいる。賑やかで忙しそう。
鈴木あつむ「花魁ねえさん」で、料理上手な散茶女郎がそのおかげで今の見世にいられるという話があった。これは豪遊する図だが、普通に遊ぶ分ではそんな大仰なのではないのが食べたいよなあ。

3/29まで。
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