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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画

国立新美術館での「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」を楽しんだ。
次には京都市美術館に巡回というから、泰西名画を見る、ということでは京都のあの空間はよりムードを高めてくれるだろう。
しかし、国立国際美術館の広々とした場所で見る楽しみもわるくないのだ。
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ルーヴルの所蔵品を全て見ようとすれば何年もかかるという話がある。
それほど膨大なコレクションの中から、この展覧会のテーマにふさわしい作品を選んで、というのも大変な労力だ。 
それを思うと安易には見られない。

プロローグ1「すでに、古代において…」風俗画の起源

シドンの彩色墓碑 BC2-BC1 フェニキアの都市にあった母子の絵のある墓碑。
文化が発達していたからこその絵。

古代エジプトのオストラコンがいくつもある。いずれも牡牛と牛飼いを表す。リアルに働く人と牛のいる風景。

やきものの上に絵を描くことが多かった時代。
ブランコする絵のアンフォラ。男二人の中で女がブランコを楽しむ。三角関係、女が主人、などなど妄想はいくらでも膨らむ。

ギリシャの壺には思わせぶりな肩車の絵もあり、これらばかり見て歩くことがあれば、それはそれで秘密の歓びがあるだろうと思ったり。

ジョゼフ=マリー・ヴィアン アモルを売る女 ロココだのう。香炉から煙が静かに立ち上るその室内で、女が籠に眠るアモルのうち青羽のついたのをつまんで取り出して勧める。
籠には他に赤羽、白羽のアモルがいて、それぞれ寝入ったりぐずったり。
青布を巻いた女主人は「うーん」と考え中。この青羽アモルでいいかどうか。侍女は黙って背後で笑う。
これって仕入れはどこからだろう。そしてあれかな「売れ残っちゃったね」とか言いながら帰るのだろうか。

プロローグ2 絵画のジャンル

シャルル・ル・ブラン キリストのエルサレム入城 青衣のキリスト。その様子を見る人々。斑犬と仲良しの幼子。その子の母は弟にお乳を与えている。おばあさんがそのひとと話す。
一応「歓呼にどよめく」状況なのか。

クロード・ロラン 夕暮れの風景 1639 牛とか山羊とかようけいてます。

リュバン・ボージャン チェス盤のある静物 半折にしているから携帯できる盤なのかな。というか、チェス盤の様相を殆ど知らない。マンドリンはひっくり返る。カーネーションにワインにパンなど。これがメメ・モリとかキリスト云々とかそうした裏情報のある絵だとしたら、また意味合いが違ってくるのだろうな。

ル・ナン兄弟 農民の食事 1642 パンとワイン。そう、キリストの肉と血とか。バイオリンも流れてちょっとは楽しそう。白犬はポメラニアンぽいなあ。
真ん中奥にいる坊や、一人だけ顔が違うなあ。どういう人間関係なのだろう…

風俗画のいいところはゴシップ的な妄想が次々と湧き出すところかもしれない。

第一章「労働と日々」―商人、働く人々、農民

正直、ここらの絵を見ていると鬱屈するのだよ。もっとこう活気のある職場ってないのかとか。それは絵が巧いからよけいにそんなことを思ってしまうのだった。
絵の水準は高いのだろうけど、ある種の閉塞感に見ていて息が詰まる。

クエンティン・マセウス  両替商とその妻 1514  せこい亭主にはまともな嫁がくるようで、亭主がずるをしないか監視中。
鏡に映る窓イメージ (9)

マルタン・ドロリング 台所の情景 1815 床は亀甲文。人形が忘れられている。幼女は猫と遊ぶ。女たちは案外ゆとりで家事をしている。

ドラクロワ 鍛冶屋 1822 力強そうでいいなあ。

ミレー 箕をふるう男 1855 えべっさんのサラエと箕をすぐに思い出すが、これは世界中で使われているもの。ざっざっざっとよく働く。

ヘリット・フォン・ホントホルスト 抜歯屋 1627 大道芸の一種にみなされていたのか。人々の表情や様子が雑多で面白い。物を盗んだりなんだかんだ。

ピーテル・ブリューゲル1世 物乞いたち 1568  みんな足萎え。

ムリーリョ 物乞いの少年 のみばちんばちん。足元にエビが落ちている。
この絵の少し後年、ボヘミアでは物乞い禁止令が出ていた。

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第二章日常生活の寓意 風俗描写を超えて

ダーフィット・テニールス2世 トランプ遊びに興じる人々のいる衛兵詰め所での聖ペトロの否認  全然焦りもせず、悠々と暖炉に手をかざしながら「…
いや、わし、知らんで」と言っている(ようにしか見えない)。
なんかもう切迫感はないわ罪悪感はないわで…

ジョバンニ・パオロ・パニーニ 神殿から追い出される商人たち あわてる人々。鳥も羊も大慌て。
草野大悟が太宰治「駆け込み訴え」を朗読してるが、丁度そのシーンの声が蘇ってきた。

レンブラント 聖家族または指物師の家族 ニスを塗ったそうだ。ヨセフは一人黙々と働き、マリアはお乳をあげ、アンナもその様子を優しく見守る。
なんだかやはりヨセフが可哀想な感じがある。

ニコラ・レニエ 女占い師 1626 群像劇。盗み・盗まれ。チョコレート色の肌の女たちが艶めかしい。ぬめぬめした肌の色にやられた。

フェルメール 天文学者 細かいところが色々楽しい。ステンドグラス、壁にかかった絵、天球儀、時計などなど。
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グールズ 割れた水瓶 あーらら…いろいろあったのね、あーんなことやこーんなこととか…

第三章 雅なる風景 日常生活における恋愛遊戯

ピエール・ユベール・シュブレイラス 鷹  大騒ぎのあと。犬が理由を持って吠える。椅子には猫がいる。知らん顔の猫。
ジャン=バチスト・イレール 幸福な囚われ人 ベッドに裸婦。犬もいる。気楽そうな様子。

ヴァトー 二人の従姉妹 ああ、三角関係というかなんというか。
どこかにせつなさが埋まっている。
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第四章 
あんまり狩猟とか好きでないのでパス。

第五章
ティツィアーノ 鏡の前の女 なまめかしいね。
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ブーシェ オダリスク 正直なことを言うとロココだろうがバロックだろうが、こういう女を見たら、思いっきりベルトでそのむきだしのお尻をぶちのめしてやりたくなる。

シャセリオー 風呂から上がるムーア人の女性、またはハーレムの室内 これはいい女で、かっこいい。

コロー コローのアトリエ  1873 キャンバスで女はニッコリ笑う。マンドリンのあるアトリエ。

第六章 

オクターヴ・タサエール アトリエの情景 暖炉には鍋。白ネコの後姿がとても可愛い。

ユベール・ロベール ルーブル宮グランド・ギャラリーの改修計画 ああ、天空の光が差し込んできている。

ほかにもいろいろ見たが、やはり自分としては同時代の東洋の風俗画、浮世絵などの日常の方が好みなのだった。

6/1まで。

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