FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

錦絵にみる茶の湯 前期

茶道資料館で今日庵所蔵の明治の錦絵展が開催されている。
「錦絵にみる茶の湯」として前後期に分かれての展覧会である。
その前期を見にいった。
イメージ (27)

文部省発行の錦絵というものを今回初めて知った。
二世国輝が「茶植附図」「茶摘図」などを描いている。
こうしてみると文部省というものは明治の時点で現代と案外変わらないところがあるようにも思う。
なんにせよ日本茶というものを大事にしないといけない、という気持ちを育てようとしている。

旧幕時代の絵が一枚。初代広重の「東都旧跡尽 神田お玉が池の故事図」である。
桜花で野点をする下げ髪の女を描いている。大きな釜を据え風炉もあり棚には棗もある。

楊洲周延が「千代田の大奥」シリーズを描いたのは明治半ば過ぎ、間もなく20世紀に入ろうかという頃だった。
大奥での行事をやや大仰に描くことの多い、しかし戯画にはならない綺麗な絵である。
茶の湯とお花をする絵が出ていた。
水仙を切ったり、立派な拵えの美しい女たち四人を客にしたり色々。

双六もある。大奥の様子を想像したもの。梅堂小国政 12コマの双六では茶の湯・生け花・音曲・書画・お召し替え・人形遊びなどなどが描かれている。

安達吟光 女礼式之図 数点出ていて、茶の湯の図はこのチラシ。背景は失くされているが原画はなかかな背景にも凝っている。
生け花のところでは束髪で三つ編みもした令嬢がいて、日本髪をやめてこちらにしようという啓蒙の意図があったようだ。
イメージ (28)

抹茶の部 「流し点」というお点前だという。何かというとごく親しい人たちだけでの茶会で、おしゃべりしながら行うものだという。婦人たちはきちんとしてはいても気軽な面持ちでお茶を楽しんでいる。
屏風は秋草と鶉が描かれ、鶴首に蒜型の瓶には白椿が一輪。

中古倭風俗 幕府之姫君茶湯花月の図 三世国貞 秋、立派な庭の一隅に茶室が開き、婦人たちが集う。秋草が可愛く庭を彩り、女郎花が殊に愛らしく、石榴もある。
猫の形の枠内に版権云々の文字が詰められているのも可愛い。

水野年方は清方の師匠で芳年の弟子。
連作物が多く、三越のための仕事などは三井記念美術館で絵葉書として今日も販売されている。
表紙を含めて16点の連作「茶の湯日々草」のうち10点ばかりが出ていた。
イメージ (29)
道具調べ、水屋拵え、座迎え、席入、挨拶、献立、炭の支度…広間での濃茶、薄茶などなど。
いずれも丁寧で綺麗な絵によって、茶会の手順がわかるようにもなっている。
道具調べなどはわたしも参加したいと思った。水屋拵えの大切さも改めて納得する。
亭主も大変だが、水屋を司る半東の仕事の大変さもしのばれる。
イメージ (31)

茶の湯は旧幕時代、男性の楽しみであったが明治も半ばを越えると婦女のたしなみとなり、上流階級だけのものでもなくなった。

教草女礼すごろく 14コマで酒の飲み方、手水の使い方、外出の折の拵えなどを描く。
こうした遊び心のある教育はいいものだ。

豊原国周 現時五十四情第三十二号 梅枝 源氏物語五十四帖の見立てである。室内で一人黙って床の間を見る女。外には紅梅。しっとりした時間を過ごす女。

周延 幻燈写心競 茶の湯 幻燈もまた明治の世になって広がったもの。今丁度当時の幻燈を集めた展覧会が早稲田で開かれている。
これは幻燈で人の心が映されますよということで、茶会に出席するわくわくさが描かれていた。灯りを持ち、枝折戸を閉め、露地へ入ろうとするところが心に浮かんでいる。
庭には芭蕉も咲いて、いいココロモチ。

茶の湯 茶杓を握りながら棗を開ける。4人の女客がじっとその様子を見守る。幼女二人もその中に含まれ、みんな静かにほほ笑む」金銀箔がチラチラと飛ぶ。

真美人 明治30年代の女学生かもしれない。イメージ (30)


楊斎延一という絵師は絵の中の建具や小物にも手を抜かず、独創的な形の用具などを描き込む。
貴顕令嬢茶の湯集楽 楓が赤々と照る頃、茶室に集まる上流階級の婦人たち。庭から幼女の手を引いて現れる人もいる。出迎える幼女は狆と遊んでいる。
手あぶりも楓柄。床の間の軸は鯉。円窓を斜め紗綾型の細枠で装飾する。
そして移動式の小さな棚は外線だけみれば茶壺に猫足のような形で、それが細い朱漆製という贅沢な拵えなのだ。
イメージ (26)

三枚続きを一枚ずつ。
イメージ (27)

イメージ (28)

イメージ (29)

東風俗 名所競御茶ノ水はし 背景には雪景の橋。街灯がある道。傘をさす人やホッカムリの人もいる。

宮川春汀 小供風俗 茶の湯 姉さんと二人の幼女。オカッパとリボンの子ら。鉢盛のお菓子は何かはわからない。富士山型の釜が掛けられている。大鉢に白梅の木が植わる。

当世風俗通 茶の湯 上流階級のやや年若な令嬢たちの遊びシリーズ。まだ未婚の娘ら。
お菓子はどうも干し柿に見えて仕方ない。四客の着物のきれいなこと。こちらに背を向け眼娘の帯は若松に鶴。指遊びの娘もいて和やか。
軸は富士山。政治の壺には梅。

「昔遊び」という絵本を妹が幼稚園の時にもらっているが、その絵は明らかに浮世絵系だった。どこかこの春汀の絵にも似ている。久しぶりに読もうか。

安達吟光 小学女礼式図解 二点ある。生け花と茶の湯の楽しさが絵からあふれてくる。
芭蕉の木もいい。
この安達吟光は今回初めて知った絵師だが、なかなかいい感じの絵が多い。

最後に旧幕時代の宇治茶摘み絵巻、茶の湯絵巻などをみる。茶摘みはみんな揃いの赤手ぬぐいを使い、ニコニコとよく働き、おいしそうに弁当を遣う。
また茶の湯を楽しむのはおじいさんだった。燈籠に火を入れたりお軸を見たり。

今では習い事で茶の湯をするのも女の方が多いと思うが、明治の頃は錦絵に描かれるほどだったのだ。
面白く思った。

5/17まで。後期は5/21-6/18.
関連記事
スポンサーサイト



最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア