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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ダブル・インパクト 明治ニッポンの美

東京藝大美術館の「ダブル・インパクト」展は面白かった。
「明治ニッポンの美」という副題もついているが、驚いたり感心する方が大きくて、いつものように「綺麗」とか「可愛い」とか思うより先に「おお、楽しいね!」と言うほうが先に来た。
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そもそもこのチラシがまたなにやら凄まじくはないか。
左上の雷鳴の中の人、これは「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」で見たあの方ではないか。
そう、菅公。
あの時のチラシはこれ。img666.jpg
…凄いよなあ。なんかもうほんと、凄い。

それから右下のこちらは神武天皇。日本の初代天皇ですね。大体が壮年として表現される。
神武を若く描いたのは安彦さんの「神武」だけ。
この彫刻は125年前のもの。チラシでも大概「インパクト」があるのだが、現物には本当に驚かされた。
このふたりの2ショット、それを以て「ダブル・インパクト」というのだろうと確信するくらいの凄さがあった。

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プロローグ 黒船が来た!

作者不詳 ペルリ浦賀上陸図  隊列組んでの行進図をロングで。
これで思い出すのが神奈川歴博で開催されたペリーの展覧会。もぉほんまにいろんなペリーの顔があって、浮世絵師たちは一人として実物を見てないから、少ない情報と想像のままに描いて、「誰ですか、あんた」な顔がずらりと並んでいたのだった。

作者不詳 どきやうのはらの上、あわてといふ手 1863(文久3)年  左から巨大な手首・掌がばっ と。戯画。なんかいろんな人のいる図。股火鉢とか三味線弾く女とか…

河鍋暁斎 蒙古賊船退治之図 1863(文久3)年  これがもうえらい迫力で、どかんと大爆発、みんな吹っ飛んでましたわ。

歌川芳虎 蒙古賊舟退治之図 1863(文久3)年  こちらはまた妙な面白さがある。帆船に丸いのがかかり、真ん中には「南無妙法蓮華経」の題目、その周囲の文字がいい。左には「如師子王大毘沙門大王」右には「遊行無界大持国天」。
なんだかカッコいいところへ更に四天王が空から蒙古軍を攻撃中。
そぉか「遊行無界」かぁ、とそこに喜ぶ遊行七恵さん。

河鍋暁斎 海上安全万代寿 1863(文久3)年  これは一種の寿ぎなんでしょうな、先導を狐が務め、その行列のあとには烏天狗、神々、順動丸、その下に蒸気船。幕府所有の順動丸の出航を祝っての絵。

高橋由一 浴湯図 1878(明治11)年  ワーグマンのを模写したそうだが、日本の共同浴場の様子をよく描けていると思う。

古写真も並ぶ。
ベアトの風景、政治家たちの肖像者などなど。
木戸孝允、黒田長知、森有礼、岩倉具視、西郷従道…
黒田はスーツがよく似合っていた。

高橋由一 花魁(美人) 1872(明治5)年  稲本楼の小稲がモデルだが、この絵を見て「私はこんな顔じゃない」と小稲が泣きだしたのは有名な話。
リアルが何も良いとは限らなかった時代の肖像画。

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第1章 不思議の国JAPAN
あああ、確かにそう。開国しても鎖国しても「ふしぎの国」ですわな。
ちょっと前に堺市博物館で開催した「ふしぎの国へようこそ―西洋古地図のなかの日本」展もふしぎの国の不思議な風景が多かったなあ。
感想はこちら

アドルフォ・ファルサリ「京都四条通の眺め」 1886(明治19)年頃   八坂神社の狛犬から見る通り。そしてもう一つ富士講の人々。

亀井至一 流鏑馬天覧図 1879(明治12)年  構図が面白い。こっちに向かって疾駆する馬。

鈴木長吉 水晶置物 水晶:1877(明治10)年・竜置物:1902(明治35)年   けっこう大きめの水晶とそれを載せるのがあるが、銀の波濤に昇り龍に渦巻まで表現されていて、細かい細かい。凄い手だ。

びっくりはまだ続く。
高石重義 竜自在 18-19世紀  …150cmくらいはあるでしょうな。めちゃめちゃ長い。そしてX線写真でその自在さを教わるが、ただただびっくりするばかり。すごいわーーー

柴田是真 野菜涅槃図蒔絵盆 1888(明治21)年  どこでも野菜の涅槃図は必ず大根の死になるな。大根は銀の高蒔絵。たけのこ、なす、くわいとか色々
みんなおいしそう。

濤川惣助 七宝瀟湘八景図額 1893(明治26)年頃  さすが濤川。墨絵ですがな。東西の濤川・並河はまことに素晴らしい。

旭玉山 人体骨格 年代不詳  素敵な椅子に座る骨。人骨。フィギュアですなあ。
凄いリアル…

河鍋暁斎 地獄太夫  この打掛は炎の中にいる七福神と言うまずありえない絵柄。そして彼女の周囲では髑髏たちが喜んで踊っている。
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クリックすると拡大。

河鍋暁斎 竜神 1879-80(明治12−13)年 鮑杯を差し出す。クールでカッコいい。迫力がある。そしてこの絵は淡彩だというのがスゴイ。

河鍋暁斎 狂斎百図 1863-66(文久3-慶応2)年  丑三つ詣りとか髑髏の悟りとか色々描かれた新書版。

壁面に花いっぱい。
柴田是真 千種之間天井綴織下図 1886(明治19)年  素晴らしい!一枚一枚が本当にきれい。フジバカマ、山吹、紫玉蘭、莞花に流水、小百合・鹿の子百合・姫百合、くるくるの時計草、連翹、夾竹桃、若松、糸桜、河骨に流れ、吾亦紅、桔梗…
この図版のでスカーフなどが作れそうですな。素敵。

作者不詳 猿蒔絵盆 19世紀後半 明治時代  面白い図柄が入っていた。
ニホンザルたちが絵巻を開くと中国の丸顔猿たちがずらり。
あわてて逃げだす猿たち。

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第2章 文明、開花せよ
明治の浮世絵がずらり。
この展覧会でも小林清親をたくさん見ている。

浅草公園遊覧之図、大日本内国勧業博覧会製糸器械之図、上野公園内国勧業第二博覧会美術館并猩々噴水器之図 、明治廿三年国会議事堂之図などなど…
明治の世に現れたるイベントや新しいものがわんさとある。

清親 猫と提灯と鼠 ここにも出ていた。可愛いなあ。
この絵は現在都内三カ所で見ることが出来る。版画の嬉しさですな。

そうそう、まだ少年時代の大正天皇がとても可愛らしかった。浮世絵の美少年。

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第3章 西洋美術の手習い

高橋由一 司馬江漢像 19世紀後半 横顔。ルネサンスの絵画ポイ雰囲気で。

印藤真楯 美人弾琴図 19世紀後半  くらーーーい室内で肘をつく美人。背後には琵琶の袋が見える。これは聴いているところなのかな??

第4章 日本美術の創造

狩野芳崖 悲母観音 1888(明治21)年
岡倉秋水 悲母観音 20世紀初め
本歌とカバーと。こうして並ぶと妙に楽しそうに見えるのだった。

小林永濯 七福神 1860-1880年代 船に乗る他の仲間にせかされてるのに布袋さんが少年と…絵自体は引き札みたいね。

小林永濯 菅原道真天拝山祈祷の図 1860-90年頃  これですがな、菅公。
そのお顔のアップをよくよく見てみると、貴族らしく鉄漿なんだが、それがやはり怖いな。髭も眼も…なんだかもうやっぱりぎゃっとなるね。
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狩野芳崖 竜虎 19世紀後半 龍は白で目が枇杷の実のよう。虎は等伯ぽいのが細面。痩せた虎で、秋竜山の絵の人みたい。

菊池容斎 九相図 1848(嘉永元)年  ああ…桜花爛漫の時期も過ぎて…外は秋、貴女が野に打ち捨てられて相好を変えてゆき、やがては…

横山大観 猿廻 1892(明治25)年
横山大観 村童観猿翁 1893(明治26)年
どちらも院の人々をモデルにしている。
わたしが最初にこの絵を見たのは92年だったかなあ…

下村観山 熊野御前花見 1894(明治27)年  悲痛な面持ちの熊野(ゆや)が車から降りてくる。大勢の人々が彼女をじぃっとみつめている。

横山大観 月下の海 1904-05(明治37-38)年頃   ああ、綺麗な色。
波打ち際の美。

菱田春草 月の出 1904-05(明治37-38)年頃  山・山・日の出。色の配置と言い、非常に良い作品。

西村五雲 熊図屏風 1907-08(明治40-41)年頃  右は白クマたち、左は黒ちびの熊。可愛いなあ。

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第5章 近代国家として

ここ仰天したのが冒頭の神武。
めちゃくちゃ巨大な像。文字通り見上げたわ。
すごいなあ。そしてこの神武を<復活>させたことで、日本は再び神国とかそういうことを…

初代五姓田芳柳 明治天皇像(画稿) 1873(明治6)年  凛々しい。

安田半圃 青山御大葬式場総門前の図 1912(大正元)年  八瀬の童子はいるのだろうか……

小林永濯 天瓊を以て滄海を探るの図 1880年代半ば これも久方ぶり。イザナギとイザナミのカップル。

小林清親 冒営口厳寒我軍張露営之図 1895(明治28)年  これを見るといつも「敵中横断三百里」を思い出すのですよ…

橋本邦助の絵ハガキサイズ戯画たちが可愛い。
号外に集まる人々、号外売、自転車レース。
ちょっとばかりフランスぽくもあるオシャレさ。

松田権六 草花鳥獣文小手箱 1919(大正8)年 ああ、さすが権六。鹿や小鳥が跳ね回る。墨絵風などうぶつたちと明るい草花と。いいなあ。

そして西洋婦人像。
山本芳翠 西洋婦人像  1882(明治15)年
百武兼行 ブルガリアの女 1879(明治12)年
藤島武二 イタリア婦人像 1908-09(明治41-42)年頃
アカデミックな婦人たち、今では逆に描けないのではないだろうか。

吉田博 妙義神社 1900(明治33)年頃 水彩。古めかしさがいい。稚児髷の少女らがくつろぐ。

中川八郎 仁王 1900(明治33)年頃  こちらも水彩で、仁王さんの下でくつろぐ人々。

眼を見開かされる作品が多かった。
本当にびっくりすることばかり。

5/17まで。
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