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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ありがとうブリヂストン美術館、「ベスト・オブ・ザ・ベスト」によせて

ブリヂストン美術館が今回の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を以て、一旦お休みに入る。
これまでも内部の改装などでお休みした時期もあったが、全面的な完全建て替えなので数年間お休みになるそうだ。
東京駅から一番近い美術館。ステーションギャラリーは東京駅舎内にあるからあれだけど、東京駅の玄関前の老舗美術館として半世紀以上がんばってきてくれた。
63年。凄いなあ。63年か。
わたしはそのうちの1/3ほどの期間通っている。いつ来てもいいものを見せてくれる嬉しい美術館なのだ。
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展示されているのはいつものメンバーにプラスして、石橋美術館から「海の幸」「わだつみのいろこのみや」「天平の面影」などなど。
このうち「わだつみのいろこのみや」と「天平の面影」は随分前に6室目で出入り口を挟んで隣同士に展示されたのを見て、たいへん感銘をうけたことがある。
今回は空間を挟んで向かい合っていた。
つまり前回は出入り口の間に立つと二つの絵にはさまれ、今回は6室に佇むだけでこの二枚の世界に入り込めるのだった。

さて今回はここにある名品の感想はあげず、それぞれの作品への想い出について書きたいと思う。
たいへん個人的な話ばかりなので、いつも以上に鬱陶しいかもしれないが、書きたいから書く。
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第一室はブリヂストン美術館の記憶と記録をみせる「ブリヂストン美術館の歩み」。
1952年の開館の映像や多くのポスターなどから歴史をみる。
映像が面白い。3殿下お成りとか色々。
62年のパリ里帰り展ポスターがいい。「コロー」が「コロl」になっている。パリ近美での展覧会。
その様子もいい感じ。

美術館の思いが語られている。
「ブリヂストン美術館は、国立西洋美術館、大原美術館、ポーラ美術館とならび、西洋近代美術のコレクションでは国内屈指の質の高さを誇ります。その主要作品はいつも展示室にあって、都心にある心のオアシスとして、60年以上にわたって美術ファンに愛されてきました。「あそこに行けばいつでも、モネ、ルノワール、セザンヌが見られる」という安心感を多くのみなさまに持っていただいてきたと思います。」
本当にその通り。
わたしの西洋絵画鑑賞修行は大原美術館に始まり、このブリヂストン、国立西洋美術館の三館が主な舞台だった。
特にブリヂストンは立地の良さもあり、往時は茅場町に山種美術館もあったので、必ずセットで鑑賞しては、西洋絵画と近代日本画のよいものだけをみせてもらった。
いわばわたしはブリヂストンに育ててもらったのだ。

最初に行ったのは89年の子供の日だった。
そのときにもらった「クールベ展」のチラシは今もある。
観客数レコードを出した01年の「ルノワール」展のチラシはブックカバーやノートカバーにさせてもらって、今も手元で輝いている。

とりわけわたしの中で印象に残る特別展・特集展示と言えば、以下のもの。
198911 ムンク
199212 藤島武二(200205にも藤島武二の特集があった)
199403 モネ
199611 白馬会の世界
199803 小出楢重の肖像
200308 怖いコワイこわい
200405 山下新太郎
200604 ポラックから雪舟まで
200708 青木繁の六枚の絵
200806 岡鹿之助
200812 都市の表象と心象
200911 安井曽太郎の肖像
201107 没後100年 青木繁展 よみがえる神話と芸術
201201 パリへ渡った「石橋コレクション」1962年、春
201208 ドビュッシー 、音楽と美術 ―印象派と象徴派のあいだで
201405 描かれたチャイナドレス 藤島武治から梅原龍三郎まで

ムンクは吸血鬼が連続して展示されてて、それが怖かった。
「怖いコワイこわい」はHPにアクセスしたら妙なバグが出ていてそれが怖かった。
最初の頃に大がかりな収蔵品図録を購入しているからそれ以後は特別展のだけ買ったりしていた。
「モネ」展は31万人が来場したそうだが、あのときわたしはTDLを途中で引き返して見に行ったのだった。友人には恨まれたけど、出たときにはお互いに満足してたなあ。
図録を買うともらえた紙袋、今も手元にありますよ。

98年の「小出の肖像」、この展覧会はわたしにとっては大きなターニングポイントだった。
いやむしろパラダイムシフトというべきですか(適当なことを言うな)。
劇的な変化が生じたね、小出作品に対する評価が。
それまで正直気持ち悪く思っていたのがいっぺんに好きになり、目が開かれると心が開かれて、それ以後は小出楢重の大ファンになってしもたわけです。
丁度折も折、京都近美も芦屋市も小出の特別展をして、いよいよ小出への愛情が沸き立ったわ。
これはやはりブリヂストンのおかげ。ブリヂストンなくしては小出への愛情は生まれず・育まれず、でした。ありがとう、ブリヂストン。

そして去年の「チャイナドレス」、もう本当によかった。
近所のフィルムセンターで「夕日と拳銃」を見るために時間設定して鑑賞したが、その際には感動もひとしおだった。
結局この「チャイナドレス」展は二度訪ね、今も図録をしばしば眺めては、あの感銘を呼び起こしている。

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さて、まずは彫刻ギャラリー。通路をうまく使っていて、いつもうずうずとさせられる。
触りたくなるのだよ、本当に。
この誘惑を打ち払うためには横目でみることですな。

第四室 印象派の誕生 
やはり日本人の一番好きな洋画はやはり印象派だろうとつくづく思う。
そしてそのように意識が固まったのは前述の三館のがんばりからだと思う。
明治の白樺派のみんなが夢みた美術館の半分以上は、この三館で具現化しているようにも思う。具体的な作品をいうのではなくに。

今の室内になる前の90年代の頃、あるときモネの睡蓮の紫の多い縦の絵(睡蓮の池)、あれが照明の加減で床に反射して、床に紫の池が広がっていた。
以上に綺麗な景色を目の当たりにした。
その影を踏むのが惜しくて、手間に立ち止まり、じっとみつめたあの時間は、まさに至福だった。

今はもう照明がそんな悪戯をすることもなくなったが、あれは小さな事件として大事に胸の底に秘めている。

あの当時、茅場町の山種も同じことがあり、御舟の「炎舞」の影が黒い床に落ちかかり、床が燃えているのを見た。どちらも異様なまでに美麗だった。

第五室 印象派と象徴派
ここではやはりモローの「化粧」について想いが募る。
高校生の頃、モローなど知らない時代を過ごしていた。
一年の秋だったか、真言宗系の女子高に通っていた友人から高野山土産に、なぜかモローの「雅歌」の絵葉書をもらった。二人で「綺麗なー、綺麗なー」と言い合っていた。
何故高野山の売店にモローのそんな絵葉書があったのかは知らない。
今も手元にあるが、その後はずっとモローの絵を見る機会がないままだった。
やがて大原で実物を見て感動したが、ほかにモローの絵がどこにあるのかわからないまま大学を出て、ある日東京に出て、ブリヂストンでモローの「化粧」をみつけた。
嬉しかったなあ。この気持ちは今も残っている。
だから今こうして絵の前に立つと、あの頃のドキドキが蘇ってくる。

それからルノワール。ルノワールの可愛い幼女やふっくらお姉さんやぽかぽかカーニュ。
和むねえ。神経が休まるのはやっぱりルノワール観てるときとかかも。

そうそうドニ「バッカス祭」も最初に見たとき、本当にびっくりしたなあ。
ドニの中でも特別大好きな作品。
これがブリヂストンにある、というだけでも嬉しいことです。
虎も黒豹も象も人間もみんないい。

第六室 日本の洋画1
浅井忠、黒田清輝の御大お二人。
それから武二の「天平の面影」と青木の「わだつみのいろこのみや」は冒頭に挙げたとおり。

武二ではほかに「黒扇」もあって、本当に綺麗で、大好き。
昔の図録の表紙にもなったし、日本人の描くイタリア婦人というのを集めたら、間違いなくこの人が一位になるね。

わたしが「わだつみのいろこのみや」を知ったのは実は山岸凉子の作品から。
タイトルとカラー表紙がそれで、まぁ話は全然無関係なのだけど、その模写を見てときめいてから実物を見ていよいよ大好きになったのでした。
そして「海の幸」は諸星大二郎「失楽園」から。あの「失楽園」は絶望的な話で漁帰りのところも暗い鬱屈した日常の描写の一つだったのだが、実物を見たとき、何とも言えないさわやかさにどきっとした。
何がどう爽やかかというと、これはやはり明治という時代に生まれたからこそのものかと。20世紀初頭の早朝の清々しさ。それだ。

山下新太郎の良さを知ったのもここだったなあ。彼の奥さんがとても美人だと知ったのもここでの特集展示から。
その奥さんが持ってるのはザクロ。「供物」は即ち鬼子母神への供物。

3月末まで小出も出ていたのね。

第七室 日本の洋画2
藤田の猫、安井の薔薇、佐伯のテラス、岡の発電所、関根の子供。
皆本当にすばらしい。

安井はずっと苦手だったのだけどこの「薔薇」で一挙に好きになった。
でも風景画はいいが肖像画はなあ、と思っていたのが彼の人物画ばかり集めた展覧会でたまらんのばかり見て、なにやら吹っ切れてしまった。
ははははは。

セザンヌとピカソ、マティスと20世紀美術、いずれもいろんな楽しい思い出が浮かんでくる。ピカソへの関心が生まれたのも、この「涼しげなまなざしの美貌の若者」であるサルタンバンクを観てからだもの。
マティスのいいのもここにあるしねえ。

ドンゲンもそろそろここで展覧会が見たいので、リニューアル後にはぜひ!!

戦後美術はさっぱりわからんけれど、2013年にザオ・ウーキーが亡くなった直後に見た「07.06.85」、すごく感銘を受けたなあ。今も綺麗だと思うが、あの時に受けた感銘の正体は何だったのだろう。

第三室 古代美術
埃及のミイラ、神像、モザイク、ギリシャの瓶などなど。
やっぱり猫ね、青銅のにゃんこさん。

2020年くらいまでサヨナラか。
再オープンの時にはまた来ます。本当に楽しみ。
ありがとう、ブリヂストン美術館。
ああ、楽しかった。

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