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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

いぬ・犬・イヌ

もう会期末になってしまったが、松涛美術館の「いぬ・犬・イヌ」展は本当に犬まみれだった。昨春のリニューアル記念「ねこ・猫・ネコ」展に比べて数は半分ほどだが、普段見ない作品などもたくさんあり、面白い展覧会だった。
来年は「うさぎ」か「ゾウ」かな、と今から期待している。
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展覧会の本当のタイトルは「人間の最も忠実なる友・人間のもっとも古くからの友 いぬ・犬・イヌ」展である。
随分長い冠がついている。
「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」
など色んな長い冠やタイトルを思い出したが、そんなのがなくても確かに犬は人間の友達であり、協働してくれる存在なのは間違いない。

序章
埴輪犬 奈良県四条遺跡出土 古墳時代(6世紀) 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
耳がピンとはねた賢くて元気そうな犬である。
埴輪の犬に対抗できるのは中国青銅器の緑釉犬だろうと思っている。
どちらも東アジアによくいた耳の立った・尻尾の短い中型犬である。

犬形埴輪/猪形埴輪 奈良県荒蒔古墳出土 古墳時代(6世紀) 天理市教育委員会
この犬の鼻は朝顔のような感じがした。

古代から犬はやっぱり首領のお供として立ち働いていたからこそ、こうして埴輪にもなる。
そういえば芥川龍之介の童話「犬と笛」では古代において、美青年・髪長彦の笛の音に感じ入った葛城の三兄弟の神が、お礼にと犬を彼にあげている。樵の髪長彦は三匹の犬を可愛がり、犬たちもよく立ち働く。
後の彼の危機に於いては犬の活躍がなければどうなっていたかしれたものではない。

第一章 イヌのいる生活・イヌのいる情景
このタイトルで思い出したのが二つ。
三原順「ルーとソロモン」と平岩弓枝「犬のいる窓」。
前者では犬のソロモンが「犬の生活も悪くないもんだ」とひとりごちた時、慣用句「ライフ・アズ・ア・ドッグ」=惨めな生活、と言われて凹む。
後者は警察犬訓練者と犬猫病院の医者とのちょっとアブない関係のサスペンスもの。

法然上人絵伝模本第34巻 作者不詳 江戸時代 東京国立博物館  まぁ色々描かれている中に犬もいるわけです。犬は人のすぐそばに暮らしていたという証明。虎猫もいるがね。

犬追物図屏風 作者不詳 江戸時代 東京国立博物館  こういうのはやはり見たくない。

渡し場図 北尾重政(1739-1820) 江戸時代中期 東京国立博物館 白犬が丸くなって寝ている。

犬を象った工芸品をみる。
犬水滴 作者不詳 江戸時代 東京国立博物館  ふんわり系の犬。くるんとして可愛い。
眠犬木彫根付 忠利 銘 江戸時代 東京国立博物館  すやすや…
小犬弊履木彫根付 重親 銘 江戸時代 東京国立博物館 丸々肥えたわんこ。
犬木彫漆塗根付 作者不詳 江戸時代 東京国立博物館  飴色のわんこ。
親子犬牙彫根付 一泉 銘 江戸時代 東京国立博物館  虎柄の親子犬。
親子犬牙彫根付 蘭亭 銘 江戸時代 東京国立博物館  薄飴色のわんこ。
犬蒔絵印籠 閑二 銘 江戸時代 東京国立博物館  母犬にくっつく子犬。
可愛いのう…

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洋画・日本画をみる。

植木棚の少女 渡辺幽香(1856-1942) 明治時代 東京国立博物館 盆栽の隙間から顔を出す狆。

雪の日やあれも人の子樽拾い 戸張孤雁(1882-1927) 制作年不詳 愛知県美術館  雪の降る日、室内で女の子は猫を抱っこしている。外では犬と少年が駆け回っている。

画室の客 金島桂華(1892-1974) 昭和29(1954)年 京都市美術館  これは好きな絵で、モダンさがいい。二匹の洋犬はキョトンとしている。

無題 酒井三良(1897-1969) 昭和28(1953)年 絵葉書が二枚。わんこわんこ。それぞれ茶犬と白犬。

庭前小景 森田沙伊(1898-1993) 昭和6(1931)年  佐久市立近代美術館 農家の庭先らしくセンバコキがある。燕も飛ぶ初夏、ブチで麿眉の犬が可愛い。ランプの火屋磨きする腰巻一つの少女。

散歩 香月泰男(1911-1974) 昭和28(1953)年 愛知県美術館  マチエールが重い。

渡来図 森田曠平(1916-1994) 昭和53(1978)年 横浜美術館  キリスト教のトリプティック(triptych)= 三連祭壇画のような構造。桃山美人たちとパーデレ。犬もかっこいい。

第二章 イヌと美人

犬と美人図 三畠上龍(生卒年不詳) 江戸時代後期 熊本県立美術館  裾噛む麿眉犬。

美人図 吉嗣梅仙(1817-1896) 江戸時代後期 福岡市博物館  裾をクンクンするのはやめてーーー

毛利鏻姫像 狩野芳崖(1828-1888) 安政7(1860)年頃 下関市立美術館  この絵は去年も見ているが、難しい名前の姫様(レイ姫)が愛犬をだっこする図。

第三章 可愛い仔犬たち
府中市美術館の「春の江戸絵画祭」でもわんこと虎は<二大カワイイ>ですわな。

犬図 俵屋宗達(生卒年不詳) 江戸時代前期 西新井大師総持寺  噛んだろかと思うような可愛さがあるね。

一笑図(双幅) 長澤蘆雪(1755-1799) 江戸時代中期 同志社大学文化情報学研究室 竹と犬で一笑。この絵はMIHOさんの芦雪展で見た
可愛いなあ、可愛い。わんこだけでなく全体がいい感じなのだよな。

降雪狗児図 長澤蘆雪(1755-1799) 江戸時代中期 公益財団法人阪急文化財団 これは逸翁美術館におるわんころ。
ちょっと絵の具が普通じゃないのね。 img559.jpg

芭蕉狗児図 森寛齋(1814-1894) 明治23(1890)年 京都国立博物館  根元にコロコロ。
可愛いなあ。

花卉鳥獣図巻 国井応文(1833-1887)+望月玉泉(1834-1913) 明治時代 京都国立博物館  狆がいたりキャベツにウサギという取り合わせ(ピーター・ラビットか)

狗子/草花狗児 山名貫義(1836-1902) 明治時代 東京藝術大学 たんほぽのあるなしの違いがある二枚。どちらもころころしてて可愛い。

菜花狗児図 鈴木華邨(1860-1919) 明治39(1906)年 公益財団法人阪急文化財団  大好きな一枚。賢そうなわんこたち。
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四条円山派とその系譜上の絵師たちはわんこをキュートに描くことに気合入ってるなあと常々思っている。

清閑 竹内栖鳳(1864-1942) 制作年不詳 京都市美術館  まぁほんまにスヤスヤと気持ちよさそうに寝てやるわんこ。
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土筆に小犬 竹内栖鳳(1864-1942) 明治28(1895)年頃 東京国立博物館  こっちは四匹もいる。もう本当に可愛すぎて腹が立つくらい。

狗子 岡本勝元(1868-1940) 制作年不詳 東京藝術大学  目を上げるわんこ。

狗子 安田靫彦(1884-1978) 大正元~4(1912-1915)年 伊豆市  後姿が愛らしすぎる。

柴犬 奥村土牛(1889-1990) 昭和60(1985)年 佐久市立近代美術館 後ろから馬掴みしたろかな~~

生 森田沙伊(1898-1993) 昭和56(1981)年 愛知県美術館 お乳を飲んですやすや。


第五章 洋犬たち
わりと似たのが多かったので、これはもう模写に模写を重ねたとか定型を崩さぬようにしたのかとか、みんな同じ遺伝子の犬なのかとか、色々もやもや。

狗鷹図(双幅) 長谷川等意(生卒年不詳) 江戸時代前期  左の鷹が「ん~~?」なのが面白い。右の犬は黒白で首輪つき。

けっこう似た洋犬の絵が多いのでちょっとあきる。

芥子に洋犬図 董九如(1745-1802) 江戸時代中期 神戸市立博物館  えーと南蘋派の犬だろうか。

西洋人洋犬図 松尾秀山(生卒年不詳) 江戸時代後期 神戸市立博物館  エッチングですかな、元ネタは。犬はにこにこ。

西洋人風俗図(双幅) 松尾秀山(生卒年不詳) 江戸時代後期 神戸市立博物館   「やぁ」「おぉ」挨拶する犬たちがいる。

蘭人図 川原慶賀(1786-1860?) 江戸時代後期  少年も黒犬もにこにこ。

スター 朝倉文夫(1883-1964) 大正8(1919)年 台東区立朝倉彫塑館  これは実在の有名な犬。見てるときご年配の夫婦が「なんだろう」と言われるので色々お伝えする。

護羊犬 三上知治(1886-1974) 昭和11(1936)年  コリーでコワモテって初めて見たよ。二匹ともなかなかの面構え。

犬二匹(仮題) 中島清之(1899-1989) 制作年不詳 横浜美術館  可愛いね、斑と白と。

村田勝四郎の彫刻の犬たちが揃う。
コリー、ダックスフント。みんな整列しているわけでもないがいい感じ。

第六章 有名なイヌたち
そういえば世界一有名な犬って…スヌーピーかな。

西郷肖像 床次正精(1842-1897) 明治時代 鹿児島市立美術館  大きい眼の茶犬。こいつ確か「チョビ」とかなんかそんな感じの名前だったかな。忘れたわ。

西郷隆盛肖像 作者不詳 明治時代 霊山歴史館  こっちは二匹連れ。白と黒斑と。

絵本「花咲爺」原画 鰭崎英朋(1881-1968) 昭和12(1937)年 講談社  この絵本はほんと、いい感じで原画展がある度に喜んで見に行ってます。

絵本「桃太郎」原画 斎藤五百枝(1881-1966) 昭和11(1936)年 講談社  賢そうで働き者。きび団子もらうときの肉球が可愛い。

忠犬ハチ公 安藤照(1892-1945) 昭和時代 鹿児島市立美術館  彫刻。渋谷の象徴だよなあ。

最後に最新作二枚。
春爛漫のボンボンとアンジェロ 中島千波(1945-) 平成27(2015)年 おお、仲良く座って可愛いがな。コーギーとなんかーとかいう種類やな。

花と犬 畠中光享(1947-) 平成27(2015)年  目つきが妖しいのですが…

なんだかもうこういうのを見た後は高橋よしひろ「銀牙」シリーズを読みたくなるね。

5/24まで。
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